よさん‐きょうしょ〔‐ケウシヨ〕【予算教書】
予算教書(よさんきょうしょ)
予算教書とは、議会に対する政府予算案の勧告という形式で、大統領によって提出されるもの。予算教書を受け取った議会は、予算関連法案を独自に作成して審議する。
予算教書には、政府予算案のほか、長期的な財政運営の指針や国防予算などが盛り込まれている。議院内閣制を採用している日本では、政府予算案が国会における審議の対象となるが、大統領制を採用しているアメリカでは、政府予算案の勧告といった程度に過ぎない。したがって、実際の法案作成作業は議会に任されている。
アメリカでは、大統領が議会に法案を提出することはできない。その代わり、議会に教書を送付することによって、政策を勧告しているわけだ。一般教書、予算教書、大統領経済報告は、まとめて三大教書と呼ばれている。
アメリカの会計年度は、10月から翌年9月までの1年間。2003年度の場合、2002年10月から1年間が会計年度となる。議会は、予算教書を受け取るとすぐに関連法案の作成に着手し、9月末までにすべての審議を終える予定だ。
2003年度の予算教書では、停滞するアメリカ経済の回復を目指した大型減税や、同時多発テロ事件など「新しい戦争」に対応するための国防予算の増強を求めている。税収の落ち込みと歳出の大幅な増加によって、クリントン政権で黒字転換した財政は、再び赤字に戻ることになるようだ。
(2002.02.06更新)
予算教書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/23 15:47 UTC 版)
予算教書(よさんきょうしょ)とは大統領制を取る国において大統領から議会に対して予算について勧告する文書のこと。
概要
主にアメリカ合衆国の政治において用いられる。
厳格な三権分立の政治制度であるアメリカ合衆国では行政権の長である大統領は議会に議席を持たず、議会に対する議案提出権もない[1]。代わりにアメリカ合衆国憲法第2条第3節第1項で「大統領は議会に情報を与え、必要と思う政策について議会に審議を勧告できる」と規定されている[1]。この規定に基づいて大統領は議会に文書という形で教書を送付する[1]。アメリカ政治において10月から始まる来年度予算の編成方針に関する教書が予算教書である。予算教書は一般教書(一般教書演説)、経済教書(大統領経済報告)と並ぶ三大教書の一つである[2]。
通例は1月又は2月に議会に送付される[3]。1年間の歳出方針だけでなく、歳入に関する税制方針や中長期的な経済・財政運営や向こう5年間の歳入・歳出見通し等も示される[4]。
第二次世界大戦終了後は世界の大国であるアメリカ合衆国における大統領の予算教書はアメリカ合衆国の国家としての経済・財政の指標になるのをはじめ、国防費や対外援助費等も含まれているため、毎年世界中から注目されている[5]。
予算教書には拘束力はなく、予算決議案は9月までに上下両院がまとめる。なお大統領には議会が作った予算案に対する拒否権を行使することができ、両院3分の2以上の再可決がないと拒否権を覆すことはできない。そのため、大統領と議会が予算について互いにけん制しあう形になっている[4]。実際には、大統領の拒否権構造もあるため、議会は予算案について大統領の予算教書の中身を尊重し相当程度反映する政治情勢となっている[6][7][8]。一方で大統領が議会が可決した予算案に拒否権を行使する一方で議会が大統領に妥協しないような双方が譲歩しない場合は予算空白となり政府閉鎖という事態が発生することもある。
脚注
関連項目
予算教書と同じ種類の言葉
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