アポローンの息子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/10 16:38 UTC 版)
このキュクノスはアポローンとヒュリエー(もしくはテュリエー)の息子。ヒュリエーはアムピノモスの娘である。彼はプレウローンとカリュドーンの間にある地に住み、狩猟をして暮らしていた。彼は神の如く美形だったので、多くの若者たちが魅了され、彼の注意を惹きつけようとしていた。だが彼は思い上がり、その若者たちを蔑ろにする態度をとったので、彼のもとから人々は離れた。それでも、ピューリオスだけは彼のことを深く愛していたので、彼への思いは尽きなかった。だがキュクノスは彼の献身にも心を動かされず、むしろ邪魔に思っていたので、3つの難題をピューリオスに課した。 第一の難題は、隣地を脅かしているライオンを素手で仕留めることであった。ピューリオスは大量の食料とワインを自分の腹に入れると、ライオンがしばしば現れる場所でそれを吐き出した。獣はそれを食べたので酒に酔い、その隙にピューリオスは自らの服を用いライオンを倒した。 第二の難題は、同じく隣地を脅かし、人間を喰らったという二匹の巨大なハゲワシを再び素手で仕留めることであった。彼がどうやって課題をやり遂げようか思案していたところ、ふいにワシが獲物のウサギを地面に落としてしまった。ピューリオスはそのウサギの血を身体に塗りたくり、死体を装い地面に伏した。するとワシたちは彼をついばみに来たので、その脚を捕らえ、キュクノスのもとに持っていった。 最期の難題は、雄牛を素手で捕まえ、ゼウスの祭壇に捧げることであった。この仕事を達成する方法が思い浮かばなかったので、彼はヘーラクレースに助けを願った。そうしているうちに、二匹の雄牛は雌牛をめぐって争い、地に倒れたので、一匹の足をつかんで祭壇まで運んだ。この時ヘーラクレースは、ピューリオスにもうこれ以上キュクノスの言うことを聞かぬことを薦めたので、彼はそうすることにした。キュクノスがこのことを知ると恥辱を感じたので、コノペーと呼ばれる湖に身を投げて自殺した。キュクノスの母ヒュリエーも後を追って同じく死んだ。そしてアポローンは二人を白鳥に変え、そこは白鳥の湖として知られるようになった。ピューリオスも死後その近くに埋葬されたという。
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