アポローニオスのラミアー退治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 09:00 UTC 版)
「ラミアー」の記事における「アポローニオスのラミアー退治」の解説
代表例はピロストラトス著『テュアナのアポローニオス伝』(第4巻第25章)の挿話である。 女性になりすました一体のラミアー(俗称)に門弟をたぶらかされた哲人アポローニオス(英語版)は、その正体を暴露し、門弟を救った。 この怪異の名称だが、まず悪霊(パスマ)の一種とされており、哲人が門弟にいわく「そいつはエンプーサだ、周りではラミアーやらモルモリュケーやらと呼んでいる奴だ」とあるように、正しい呼称がエンプーサ、俗称がラミアー等とされる。"ラミアー"は本来このような意味では用いられないとの指摘もある。また、最後には彼女自身も自分がエンプーサという種類の悪霊であると認めている。挿話は、これが世間にいうアポローニウスによる「コリントスのラミアー」を退治したという風聞の全貌である、と締めくくられる。 このラミアーは変身能力だけでなく、住まいまでも豪邸に見せかける幻影術を所持していたが、二人の婚礼の席でアポローニオスが彼女の正体を宣言すると、豪奢な杯などが幻と消え、嘘が発覚した。 蛇体 また、哲人が書生に対して諭した台詞「おまえというやつは、蛇なんぞに恋焦がれているのだ」は、現代の読者からすれば比喩と捉えがちであるが、これは彼女が実際に蛇体であることの言及だと主張する研究書がある。 英国ロマンス派の詩人キーツの『レイミア』はアポローニオス伝の話の再話であるが、キーツのレイミアははっきりと蛇体である。 血を好む このラミアーは、その肉体を喰らうために青年を太らせていたのであり、「その血が新鮮で純粋」な美青年を狙って常習的に喰らっていた、と白状した。これを現代風に言えば血を吸うヴァンパイアだと解釈する近代の参考書もある。 血を吸う行動を思わせる描写は、ローマ版の説話にあると言われる。一般に血を「吸う」魔女が登場するのは、アープーレイウスが著した2世紀のラテン語小説とされる(#黄金のロバ参照)。
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