アジア太平洋と海洋安全保障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 14:01 UTC 版)
「海洋安全保障」の記事における「アジア太平洋と海洋安全保障」の解説
国際政治において主に海洋安全保障が重要性を帯びるのは、アジア太平洋地域である。アジア太平洋は、その広大な領域を海洋が占め、海洋資源も豊富であるとともに、海洋を通じた全世界との経済交流が盛んである。 故に紛争要因も多く、1974年には西沙諸島において中国・ベトナム間の武力衝突があり、1988年にも南沙諸島はじめ島嶼をめぐる中国・ベトナム間の武力衝突があった。 1992年には中国が領海及び接続水域法を制定し海洋権益の擁護を国家目標として明確に打ち出した。これに対してASEAN外相会議が南シナ海宣言を出して、同海域における海洋権益をめぐる国際紛争の平和的解決を要望したが、同年には江沢民中国国家主席による演説によって、改めて海洋権益の擁護が謳われ、その海軍力増強を打ちだした。 一方で、極東をはじめとするアジア太平洋地域において太平洋艦隊を展開し同地域バランサーとしての地位を保持した世界最強のシーパワーを誇るアメリカ合衆国がフィリピンのスービック海軍基地から撤退し、勢力均衡が空洞化すると、ASEAN各国はより安定的な国際秩序を形成しようと、ASEAN及び域外大国を巻き込んだARFにおいて安定的な海洋秩序を目指した。 近年では、ASEAN地域フォーラム(ARF)においてインター・セッショナルグループ(ISG)の中で海洋問題専門家部会合が開かれ、また、アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP)という研究者を主体としたトラックⅡ外交の場が形成され、「地域海洋協力のガイドライン」「海洋の法と秩序に関する協力」という提言をまとめるなど、海に関する地域レジーム形成に向けた政府・企業・有識者・NGO・市民など多様なアクターから多元的かつ重層的な取り組みが展開されている。
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