アイルランドとの国境―「バックストップ協定」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:56 UTC 版)
「イギリスの欧州連合離脱」の記事における「アイルランドとの国境―「バックストップ協定」」の解説
アイルランド島のアイルランドと北アイルランドの国境が、税関と出入国管理をともなう「ハードな国境」になるか、そしてこれが北アイルランド問題に平和をもたらした「グッドフライデー合意」に、影響を与える可能性があるのかどうかについての懸念が生じた。 これを未然に防ぐため、EUは離脱協定案の中で、国境検問所の必要性を未然に防ぐため、北アイルランドをEU規則の下に置くことになる「バックストップ協定」を提案した。英国政府は提案を承認したが、EU規則を北アイルランドで適用することは、英国の国家としての統一性に対する脅威としてもとらえられる。同時に英国全体が、EU規則や関税同盟に無期限に従うことは望んでいない。2018年10月下旬、国家監査局は「ノー・ディール・ブレグジット」だった場合に、必要なアイルランド国境警備検査を準備するには、既に遅すぎると警告した。 2020年末までは移行期間なのでイギリスとアイルランドは同じ関税同盟と単一市場であった。コモントラベルエリア内にいる全てのEU市民には移動の自由があり、国境には税関や出入国管理が存在しない。2005年以来、国境は本質的に見えなくなっている。 移行期間が終了すると北アイルランドとアイルランド間に商品のなどを伴う「EU」と「非EU」の国境が復活するため税関インフラストラクチャーのある厳しい国境である「ハード・ボーダ」が復活することになる。この問題をEUとイギリスの双方が、これを避けるべきだと同意した。2019年2月18日、アイルランドの上院議員マーク・ディリーと2人のユネスコ議長によって発表された研究は、「ハード・ボーダー」の復活が「暴力の復活」をもたらす事を示した。 2020年12月、イギリスはEUと離脱協定を合意。その協定には北アイルランドは引き続きEUの単一市場に残留するバックストップ協定が盛り込まれていた。 2021年1月1日、ハード・ボーダは復活せずに事実上の国境はアイルランド島とグレートブリテン島を隔てるアイリッシュ海に敷かれた。ただし小包の郵便などは猶予期間がある。
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