それぞれの地域の風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 09:00 UTC 版)
各地方にはそれぞれ特徴的な風が存在し、これを地方風という。 海岸付近では、日中と夜間で風向が逆転することが多く、これを海陸風という。これは、日中は暖まりやすい陸地において上昇気流が発生し、涼しい海から海風が吹き込むのに対し、夜間は熱を保った海に冷えた陸地から陸風が吹き込むために発生する。同様に、山と谷の間でも風向が逆転することがあり、これを山谷風という。山谷風の発生メカニズムも海陸風とほぼ同じで、日中は熱せられた谷の斜面から谷風が頂上へと昇るのに対し、夜間は頂上付近の冷気が谷へと下っていくことにより発生する。 湿った風が山を越え反対側に吹き下ろす場合、山を越える際に水蒸気が雲となるため潜熱が発生し、さらに雨も降るため、山脈の反対側においては乾燥した高温の風となり、山麓に猛暑をもたらすことがある。これはアルプス山脈での呼び名を取ってフェーン現象と呼ばれるが、アルプスだけでなく全世界的に発生し、日本でもこれによる高温はしばしば発生する。北アメリカ大陸においてはロッキー山脈から吹き下ろすチヌークがこれにあたる。これとは逆に、山中の盆地から寒気が山脈を越え吹き下ろす場合、山越えによっても温度が上昇しきらず、冷たく乾燥した強風となって山麓に吹くことがあり、アドリア海東岸の地方風の名を取ってボーラと呼ばれる。日本においてはこの現象は颪と呼ばれ、六甲山から吹く六甲颪などが著名である。 代表的な地方風としては上記のもののほか、日本ではからっ風、春一番、木枯らし、やませ、海外ではミストラル、エテジアン、シロッコ、ハブーブ、滑降風(カタバ風)、ブリザードなどがそれにあたる。大規模なビルの間では強い風が吹くことがあり、これをビル風という。また、風の吹いてくる方向によってそれぞれ北風、南風、東風、西風と言う呼び方が広く使われる。こうした風向別の呼称は、単に方角を付けただけではなく、その風のイメージが付加されることが多い。日本では、北風は冷たい冬の風、南風は暖かい夏の風として認識されている。 一般的に、地表は地形の影響を受けて風速が弱まり、風向も乱れが多い。上空に行くほど風速は速くなり、風向も規則的に並ぶようになる。また地表においても、遮蔽物のない海上では風は強く、摩擦の大きい陸上に入ると風は弱まる。
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