その他の後期作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 01:56 UTC 版)
「シェイクスピア別人説」の記事における「その他の後期作品」の解説
1969年と1977年に刊行されたペリカン叢書(Pelican Books)版のシェイクスピア全集において、編集責任者のハーバード大学教授アルフレッド・ハーヴィッジ(Alfred Harbage)は、従来シェイクスピアの後期作品と見なされてきた『マクベス』『アテネのタイモン』『ペリクリーズ』『リア王』『アントニーとクレオパトラ』の執筆年代はいずれも1604年を越えるものではないという見解を示した。本当の執筆年代は従来考えられてきたよりも前であると主張するオックスフォード派研究者は他にも多い。執筆時期を特定するための証拠として、作品中に現れる時事的な隠喩を判断材料とするのは当然のこととされているが、こうした時事的な問題を反映させたり、特定の人物や政治的事件に敬意を表したりするために、俳優や劇団の配慮で台本が修正されるという、舞台芸術の世界では伝統的に行われていた改変が加えられている可能性を無視しているというのがその論拠である。 しかしオックスフォード派研究者の中にも、『ヘンリー八世』『アテネのタイモン』『ペリクリーズ』といった後期作品の推定執筆年代は従来の見解と大きく異なるものではないと考える者はいる。これらの戯曲はシェイクスピアの未完成作品であり、1604年に作者が没した後に別の人物が補筆して完成させたのだという立場からである。事実、これらの作品がシェイクスピア単独の著作ではなく別人の手が入っている(『ヘンリー八世』はジョン・フレッチャー、『アテネのタイモン』はトマス・ミドルトン、『ペリクリーズ』はジョージ・ウィルキンズ(George Wilkins)による)ことは主流派研究者の間でも共通の見解である。シェイクスピアが1604年以前に単独で完成させたのか、1604年に没してから別人が加筆したのか、あるいは1604年以降も存命のまま別人と共同執筆したのかを断定する決定的証拠はいずれの学派も発見していない。
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