その他の役人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 23:14 UTC 版)
国家が統制する事業には様々な役人が関与していた。そうした役人の中で重要視されたと考えられている役職として軍用の家畜を司る役人がいた。大官の下には財務官(ユクタ)、行政官(プルシャ)、上奏官(プラティヴェーダカ)、書記官(リピカラ)などの役人がいた。メガステネスの記録によれば、行政は都市行政、地方行政、軍隊の3部門に分かれていた。 カウティリヤの『実利論』には馬政長官と象政長官の役割が詳細に述べられている。これらはその名の通り馬や象の飼育を担当していた。馬と象が軍事に直結することから国家の管理下に置かれていたことは確実であり、特に象の飼育はマウリヤ朝時代には王の独占事業であった。当時マウリヤ朝が膨大な数の戦象を有していたことはギリシア人の記録に詳しい。インド産の象はセレウコス朝を介して地中海方面でも軍事運用された。 アショーカ王の詔勅には飼象林(ナーガヴァナ nāgavana)に言及するものがあり、実利論に述べられたものと同種の官職が存在したことが類推される。 こうした官吏の任用がどのように行われたのか、即ちインドに存在するカースト制との関係がどのようなものであったのかについては議論がある。カウティリヤの『実利論』では能力主義的とも言える人材任用が説かれてはいるが、これがそのまま実践されたとは考えられていない。メガステネスの記録には「戦士」・「高級役人」・「監督官」などの「カースト」が記録されており、少なくても出自が官吏任用に影響しなかったとは考えられない。最近の学説においてもカーストは人材登用において大きな比重を占めたという説が有力である。
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