石油収入税(英国の)
【英】: petroleum revenue tax
略語: PRT
北海での石油操業の利益に対して英国が油田単位で課している特別税。 第一次石油危機を契機とする原油価格の高騰を背景として、国際収支の悪化と経済の停滞に悩む英国政府は、政府の税収増加と北海での石油操業における石油会社の過剰利益吸い上げを目的として、1975 年の Oil Taxation Act によって PRT (petroleum revenue tax)を導入した( 1975 年以前にガス公社:BGC が独占的に購入する契約が締結された天然ガスは適用除外)。当初、税率は 45 %であったが、第二次石油危機以降税率の引き上げが措置され、1978 年に 60 %、1979 年に 70 %、1983 年以降は 75 %になった。また 1981 年には新たな付加税である supplementary petroleum duty(SPD)が新設されたが、PRT との二本立て課税に対し業界からの不満が強かったため、1982 年末に廃止され、PRT の前払税(APRT)が新たに導入された。(→サプリメンタリー・ペトロリアム・デューティ)。なお、APRT の当初税率 20 %は年々漸減し、1987 年以降はゼロとなる。PRT は所得税課税前の収入に課せられ、所得税計算上は公租公課として扱われる。PRT は、総収入からロイヤルティ(12.5 %)、操業費、当該期間中の資本支出(一定限度まで)、アップリフト(割増償却)、オイル・アローワンス(石油控除:当該期間 6 カ月で 250 千トン、累計 5 百万トンを限度)、北海における他地域での探鉱費および過年度からの繰越損失などを控除した課税所得の 75 %(税率)が税額となる。また、ある一定の利益水準に達しない中小規模の限界的油田またはその生産量に対しては PRT を減免する措置としてセーフガードが導入されている。すなわち、ロイヤルティ支払い後の法人税前利益が既往投資額の 15 %に満たない場合は PRT は免除され、これが 15 %を超える場合、15 %を超えた当該利益に関してはその 80 %相当額と PRT 税額のうち小さい方を納付することになっている。なお、セーフガード発動の前提となる法人税前利益は「調整所得」という考え方によって捕捉され、収入-(ロイヤルティ+操業費)により算出される。 |

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