漢和辞典
漢和辞典(かんわじてん)とは、漢字や、漢字を用いた熟語について日本語で説明した辞典のことである。「漢和字典」とも表記する。「漢字辞典」「漢字字典」もほぼ同義として用いられる。「漢和辞書」「漢和字書」ともいう。「漢和」と略称する。
「漢」は中国語、「和」は日本語を意味し、「漢和」は中国語を日本語に翻訳したもののことである。「辞典」は明治時代に辞書の書名として用いられたのが一般化した語であり、「辞」は言葉、「典」は書物を意味している。
現代の漢和辞典は、ふつう漢字1文字を見出しとし(これを親字という)、その音訓、意味、成り立ちを示し、さらに親字から構成される熟語を列挙してそれぞれの意味を記す。書籍のものでは、配列は部首の画数によるものが多いが、読みによって配列したものなどもある。検索の便をはかるため、音訓、総画数、部首などによる索引を設けている。
漢和辞典は漢文の読解を目的として編纂されてきた歴史があり、中国古典に見出せる語を扱うものが中心的である。一方で、日本で用いられる漢字語に特化したものや、現代中国語を取り込んだものなども刊行されている。
現存する最古の漢和辞典とみなせるのは、平安時代前期に昌住が編んだ『新撰字鏡』である。室町時代に成立した『和玉篇』は、簡便な漢和辞典として江戸時代にかけて広く用いられた。今日の漢和辞典の特徴を備えた近代的漢和辞典は『漢和大辞典』(1903年)が最初である。
現在刊行されている主な漢和辞典に、小規模の『角川新字源』『新漢語林』『漢字源』『全訳漢字海』、中規模の『学研新漢和大辞典』『新潮日本語漢字辞典』などがある。諸橋轍次著『大漢和辞典』は全15巻(修訂第2版)からなる日本最大の漢和辞典である。
(執筆:稲川智樹)
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