【海防艦】(かいぼうかん)
戦闘艦艇の一種で、主に沿岸・領海警備、船団護衛、対潜警戒などに当たる艦のこと。
国際基準に照らし合わせた場合の用語訳が定かでなく、基本的に日本国内独自の概念とみて良い。
日本においても現代では正確な定義が存在しない、旧日本海軍のみのローカルな用語である。
元々は区分の定かでない、または既存の区分で用いるべきでない例外的艦艇に対する暫定的な扱いであった。
例えば型落ちした古い艦や、輸入・鹵獲された国内規格外の艦などが「海防艦」と呼ばれた。
そうした艦は兵站面でも戦術面でも組織運営上問題が生じるため、一隻のみで行える任務が割り振られた。
「海防」という響きはいかにももっともらしいが、実際のところ、閑職であった事は否めないという。
その後、太平洋戦争時に通商・漁業保護用のフリゲートが量産された際、この艦種も「海防艦」と呼ばれた。
ただし、旧来の規格外艦とは異なり、これらの艦艇は数隻で連携して任務にあたっていた。
この当時に造られた海防艦のうち、終戦まで生き残っていた艦は戦後、復員輸送や機雷掃海に使われた後、ほとんどが「戦時賠償」として連合国に接収されるか国内でスクラップとして処分された。
これ以後「海防艦」と呼ばれる艦そのものは建造されていないが、設計コンセプト自体は海上自衛隊の護衛艦や海上保安庁の巡視船に活かされている。
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