あなたが死んで宿り木に雪我に雪
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 冬 |
出 典 | |
前 書 | |
評 言 | 原雅子さんは矢島渚男「梟」の同人。俳句仲間の女性たちが原さんを囲んで作った「扉」句会の代表でもある。1973年から加藤楸邨に師事して「寒雷」に入会。当時、「寒雷」の編集長をしていた平井照敏のお宅に伺い、直接厳しい指導を受けたそうである。そこで、俳句は事実や写生を超えて普遍性、象徴性を獲得する詩としての言葉が生まれる現場をいきいきと体験させられた、と言っている。 その後、俳句から一時遠のいていたが、再会してからの活躍はめざましく、2002年現代俳句年度賞、2005年第51回角川俳句賞を受賞。女性俳人の指導的位置を獲得した。 掲句の「あなたが死んで宿り木に雪我に雪」発表したとき、「梟」代表の矢島渚男氏から、何事かありましたかと心配の電話があったそうである。それほどこの句にはドラマ性があり、読んだ者にも迫真の衝撃を与えるものがある。事実は小石川植物園に吟行した折、目にした印象を句にしたもので、あなたというのは早稲田露文化卒の年輩の男性で彼女が最も尊敬していた人のようである。その人が亡くなったときの悲しみが宿り木に降りかかった雪に結晶したのであろう。 彼女は「月日は人の生死に関わりなく束の間に過ぎますが、顧みれば俳句はその束の間の刻を危うく言葉に繋ぎ止める」営為であると言っている。この句はそのような彼女の代表句であると言っても過言ではない。 |
評 者 | |
備 考 |
- あなたが死んで宿り木に雪我に雪のページへのリンク