『世界の大型鱗翅目』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 16:17 UTC 版)
「アダルベルト・ザイツ」の記事における「『世界の大型鱗翅目』」の解説
『世界の大型鱗翅目』は各生物地理区に鱗翅目を網羅しようとしたもので、刊行は第一次世界大戦や不況などの影響で遅れ、ザイツ没後にも刊行が続く。出版元も変わり、多色刷りの図版とドイツ語、英語、フランス語の解説のそれぞれの版もある。ザイツの言葉が伝わっている。 「既知の大型鱗翅目の同定という発想は編集子がオーストラリアにて故ウィリアム・マクリーと観察行に同行したときに触発されたものである。この自然誌研究者の提言については翌年、当時、リオデジャネイロ動物学博物館館長をしておられたエミリオ・A・グェルディの助言を求め、さらにO・シュタウディンガー博士にご連絡を差し上げて、外国の蒐集家各氏に問い合わせをする手間に対し果たして実現性をどう評価されるか協議するに至るのである。博士はまさにご著書『Exotic Lepidoptera』の脱稿を控えておられた。 技術的な不備に加え、必要不可欠な予備調査のいくつかに手を付けていないことを鑑み、その時点では出版事業の着手は見送るべきという結論に至る。しかしながら将来の実行を期して作業を開始した。可能な限りすべての生物地理区ならびに小区を自ら訪問することが何よりも重要と考えられ、1887年11月にオーストラリアを出立、南米はブラジル (1888年-1889年)で重点的に採集を行い、インドから中国 (1890年) 経由で日本に滞在 (1891年-1892年)、インド亜大陸 (1892年) を歴訪、ついには数次にわたりアフリカで採集を行った。これに加え島しょ部にも入念に配慮し、カーボベルデ諸島、カナリア諸島、マデイラ諸島、カンガルー島、さらにインド洋から中国沿岸の外洋に浮かぶさまざまな島々も対象にしたのである。」
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