「画の六法」と気韻生動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:09 UTC 版)
「中国の絵画」の記事における「「画の六法」と気韻生動」の解説
中国絵画においては伝統的に「気韻生動」ということが重視されている。「気韻生動」とは南北朝時代・南斉の謝赫(しゃかく)が著書『古画品録』において唱えた、画の「六法」(りくほう)の第1番目に出てくる語で、「気韻」は「生命力」「人を感動させる力」「すぐれた精神」「風格」などと訳されている。この「六法」は、後世の絵画制作や画論にも強い影響を与えた。謝赫のいう「六法」とは、「気韻生動」「骨法用筆」「応物象形」「随類賦彩」「経営位置」「伝移模写」(伝模移写とも)の6つである。「骨法用筆」とは、描法や運筆がしっかりしていること、「応物象形」、「随類賦彩」、「経営位置」とは、それぞれ、物の形を正しく写すこと、ふさわしい色彩を施すこと、構図や構成がしっかりしていることであり、「伝移模写」とは伝統に学ぶことを指す。つまり、絵画においては運筆、形体、彩色、構図がしっかりしていることや古典に学ぶ姿勢も大切であるが、そのうえに「気韻」が生き生きとしていなければならないということである。「六法」のうち2番目の「骨法用筆」以降は実際の絵画制作にかかわる具体的な指針であるが、1番目の「気韻生動」のみは何を指しているのかが曖昧で、「気韻」に関してはさまざまな解釈がある。 なお、以上のような「書画同源」「気韻生動」を中国絵画の特質として過度に強調することに対しては懐疑的な意見もある。「気韻生動」という句自体の意味について、謝赫自身は何も説明していない。古原宏伸は、「気韻」に代わるべき新しい用語や概念が生み出されないまま、「気韻」という曖昧でいわくありげな語が後世に拡大解釈され、新たな意味が付加されたものであろうという。
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