日本通運 事業

日本通運

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 04:10 UTC 版)

事業

法人向け輸送事業

鉄道コンテナを引く通運トラック
UD・コンドルをベースとした、特殊仕様の集配車の一例。
荷台の高さが現状より数十cm程度低くなる(仕様によっては、運転席と同等の高さまで下がる車種もある)ために、進入時の高さ制限のある集配先にも比較的対応しやすい。イメージとしては蓋つきギフト箱の要領で、荷台屋根を被せている構造。
  • 貨物フォワーダー(利用運送事業)
    • 文字通り自らは輸送手段を所有せず、他社の輸送機関を用いて貨物を輸送する事業である。
    • 航空輸送(国内航空貨物輸送・国際航空貨物輸送)、海上輸送(国際海上貨物輸送・国内海上貨物輸送)において、荷主に代わり輸送に必要な手続きから集荷・配送を代行するフォワーダーと呼ばれる貨物の取扱い代行業務を行う。
    • 海上輸送と連携し港湾での輸出入を鉄道貨物と通運を利用して行うサービス(港湾への輸送と集荷・配送は通運、長距離輸送は鉄道が行う)も登場しており、国内大口貨物の輸送手段の一つとしてだけでなく国際輸送にも対応している。
    • 通運(つううん)- 鉄道貨物輸送を用いた、ドアツードアの輸送サービス。
      • 荷主から依頼された貨物を鉄道コンテナ(液体品(化学薬品)や粒状の原材料(食品などの原材料)など梱包されていない貨物を輸送する際には、専用のタンク型コンテナを用いるなど荷主の状況に応じた様々なコンテナを用いる事が出来る)を積載したトラックで集荷、最寄の鉄道貨物取扱駅まで輸送して貨物列車(コンテナ列車)に長距離輸送を託す。配送先に最も近い貨物駅で再びコンテナをトラックに積載して、配送先に輸送する。街中などでよく見かける鉄道コンテナを荷台に積載したトラックは、通運業務での集荷・配送に向かっている車両である。
  • トラック輸送
    • 貨物をトラックを用いて企業間で輸送する業務。
    • 貸切トラック輸送
    • 特定の荷主の依頼を受けてチャーターしたトラック(主に中〜大型車で1車単位)を用いて、特定の貨物や特定の配送先への輸送を行う。
  • 特別積合せ輸送
    • 郵便物運送委託法に基づく郵便物輸送業務
    • 複数の荷主から集荷した、大口貨物をトラックに混載して輸送する。荷主から集荷した貨物を各地のトラックターミナルに集約させ、ターミナル間を結んで定期的に運行される路線トラックで長距離輸送し配送先に最も近い支店・営業所から納品先へ配送される仕組み。日通では特別積合せ輸送(正確には、混載便)を「アロー便」の名称で展開)。
    • 一部地域では自社配達せず、「名鉄運輸」に中継又は委託を始めた。
    • 主に企業向けの大口貨物を扱う事からパレット単位、ボックス単位の出荷が可能である。
    • ヤマト運輸・西濃運輸が共同出資したボックスチャーター社にも参画し、他の大手・中堅トラック輸送業者12社と共に「JIT BOX チャーター便」も展開している。
  • 航空、船舶を利用した輸送
  • 内航海運
    • 船舶を用いた国内の海上輸送は内航海運(ないこうかいうん)と呼ばれる。自社名義の船舶もあり、子会社の日本海運などと共に事業を展開している。宇高航路では以前、日通フェリーとしてカーフェリーの運航を行っていた(実際の運航は地元の津国汽船に委託)。
    • 予め定められた航路を定期的に貨物船で運航する、定期船事業を行っている。
  • 国際業務
    • 日本企業の海外生産拠点での物流業務の請負いや日本と海外・海外と海外の拠点同士を結ぶ輸送業務などを行う。
    • 海外の拠点同士を結んだ日本を経由しない輸送業務は「三国間物流」と呼ばれる。少子高齢化による国内物流量の減少、生産拠点の海外移転、企業の売り上げに占める海外売上高の比率増などの環境変化により、国際物流における海外での輸送事業は物流における成長分野の一つとして注目されている[要出典]
    • 日通航空扱いの海外向け発送の宅配商品。
  • 美術品輸送
    • 絵画や陶器など、美術品に代表される、温度湿度・振動・据え付けなど、特別な注意が必要な輸送業務を行う。
  • 重量品・特殊輸送
    • 建設用機材、大型工場設備や特殊貨物の輸送(発電機変圧器、巨大プラント鉄道車両)など、特殊な条件や専門的な取扱いが求められる輸送。例えば発電所への大型タンクの大量輸送[28] など。
    • この場合、条件によっては輸送車両をその輸送のためだけに制作することもあり、輸送のための道路を作ることもある。山梨リニア実験線へ車両搬入を行ったのも、すばる望遠鏡を輸送したのも日通である。
  • 倉庫事業
    • 近年では、倉庫業に求められる事業の性質が変化している事もあり[要出典]、単に物品を保管するだけではなく流通加工在庫管理を荷主に代行して行う業務も行われている。荷主企業の「物流センター」の運営請負もこの業務の範疇に入る。
  • 荷役業務
    • 港湾、空港、鉄道貨物取扱駅工場・倉庫内において貨物の積み込み・積み下ろし(荷役と呼ばれる)、梱包作業を行う業務。

引越・移転事業

日通のトラックの一例(いすゞエルフ)

航空会社総代理店事業

日本通運では、航空会社の総代理店として空港の地上業務も行っている。

全日本空輸

全日本空輸 (ANA) 関連では仙台・秋田・稚内地区での総代理店を受託、函館地区では関連会社函館エアサービスで受託している。このほか、札幌丘珠空港の空港業務を受託している。

かつてANAが山形空港に就航していた当時、山形地区総代理店も担っていた。

日本航空

富山空港では日本航空 (JAL) から直接受託総代理店業務を受託していたが、同社の富山撤退で契約解消となった。また、かつては旧 日本エアシステム (JAS) の地方空港での総代理店業務を多数受託していたほか、一時期は関西国際空港における同社の屋外地上業務も「関西エアーサービス」という関連会社で請け負うほどであったが、両社の合併に伴う影響で受託空港数が減少した[要出典]

今日では北海道地区の旭川釧路帯広、東北地区の花巻、青森、秋田、関西地区の南紀白浜などの空港においては引き続き日本通運が地上業務を行なっている。

このほか山陰米子空港でも受託していたが、JASの米子撤退とともに契約解消となった。広島ではJASの前身である旧 東亜航空時代から受託していた関係でオフラインの時代は電話予約業務などを含む総代理店であったが、現 広島空港供用時にJTB系の会社に委託先が変わり契約解消となった。

駅業務の管理・運営

名古屋市営地下鉄

  • 日通名古屋支店では2011年3月の桜通線延伸開業以来、利用者が少ないと見込まれる一部の駅(名港線桜通線の一部。桜通線は徳重駅を除く延伸区間にある各駅を開業時から)の業務を受託して運営している。

福岡市地下鉄

京都市営地下鉄

かつて行っていた事業

宅配便事業

日通時代の「ペリカン便」トラック(いすゞ ビギン

貴重品輸送警備

2023年1月より、NXキャッシュ・ロジスティクスにて取扱いを開始する。

日本銀行京都支店裏口前に停車中の日通警備の現金輸送車

旅客航路事業

1972年から2020年の間、青函航路では、栗林系の共栄運輸と当社系列の北日本海運が青函フェリーの名称でよりフェリーを共同運航していた。就航当初より乗船をトラックとその運転者に限っていた貨物フェリーだったが、2000年10月の海上運送法の改正により一般旅客定期航路の許可を得て旅客航路事業も開始した。2020年9月、北日本海運の全株式を栗林商船に譲渡し、旅客航路事業からは撤退した。

旅行業

沿革

旅行事業としては、1950年(昭和25年)3月、ノースウエスト航空(現デルタ航空)とBOAC航空(現ブリティッシュエアウェイズ)との旅客代理店契約から国際旅行業務が始まり、翌年9月に日本航空との国内旅行業務が始まり、以後、時代を重ねると同時に、単なる旅客航空券の代売業から総合旅行業へと発展した(参考文献:社史、「航空支店のあゆみ」「日通旅行の歩み」)。

旅行事業歴史と概要

国内旅行商品は旧国鉄JRグループとの関係が深いながらも、みどりの窓口に代表される国鉄券の販売が立ち遅れた。国鉄商品は1982年(昭和57年)からの参入と遅めである(貨物も旅客も日通に握られることを嫌った国鉄側の考えとも言われている[独自研究?])。海外旅行商品は「ルックワールド」を中心に展開していたが、シェアダウンにより厳しい販売状況が続き、「ルックワールド」は、2006年(平成18年)9月末に撤退する。

事業全体として、コンシューマ向け事業が不得手な体質を抱えており、全国での店舗展開は他社と比較しても小規模であった。 法人向けの手配業務(海外への視察旅行や出張、企業の海外赴任者への手配)では、1980年代までは業界トップであった。かつて JTB とのパッケージツアー「LOOK」を共同主催し、海外旅行の日通、あるいはヨーロッパ旅行のエキスパートの日通と言われた事もあった。[要出典]

しかし、JTBとの業務提携解消後は販売力不足から、シェア低下に歯止めがかからず、「ルックワールド」の起死回生を目指し、東京へのコールセンター、オペレーションの集約を図ったが業績は好転しなかった。そして、「ルックワールド」は2006年9月末をもってホールセール(他旅行会社への委託販売)から撤退し、旅行情報誌「旅のソムリエ」、インターネット、及び自社店舗(※)を販売媒体とする直販ブランドとして展開していくことになった。

2012年10月に日通旅行株式会社として子会社化したが[9]、「ルックワールド」の看板を「旅のソムリエ」に架け替えたに過ぎない状態で、特に通年全方面のパンフレットは存在せず撤退に追い込まれた。

日通旅行営業拠点 はホームページには、多数の拠点があるように見えたが、実際拠点は7拠点までに激減し全国ネットワークは崩れた。

2021年3月31日をもって営業を終了[9]


  1. ^ 日通及びJPEXのサービスであった「ペリカン便」はその後、郵便事業に承継され、「ゆうパック」に統一された。2012年の郵便事業会社と郵便局会社の合併に伴い、現在は日本郵便に継承されている。






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