地下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/11 01:24 UTC 版)
地下の生物
地下に住む動物を地中動物と呼ぶ。モグラは地中に穴を掘り、地中の昆虫などを食べて生きている。プレーリードッグやマーモットは地中に巣穴をつくり、巣穴と地上を使い分けて暮らしている。
昆虫には地中で暮らしているものも多数いる。アリは巣穴を地下につくる。一時期だけ地中で過ごし、ある段階から地表に出るものもある。地中では幼虫、さなぎの姿で生きていて、地上に出ると脱皮し羽で飛行するようになる昆虫もいる。周期ゼミ(素数ゼミ)は17年もしくは13年の一生の99%を地中で幼虫の姿で樹木の根などから養分を吸って生きており、特定の年の夏になると一斉に大量に地表に出てくる。また、生まれてから死ぬまでずっと地中で過ごす昆虫類もいる。ミミズが地中で栄養をとり排泄することによって農業に向いた良質な土壌が作られている、と言われている。
メタン生成菌などの微生物は、地表や海底から2000メートル以上の地下からも発見されている[2]。
地下・地底に関わる信仰・伝承
地下に死後の世界があるとする信仰・伝説は世界各地にある。ギリシア神話でハーデースが支配する冥府、北欧神話のヘルヘイム、キリスト教や仏教の地獄、日本神話の黄泉の国はいずれも地下にあるとされた。
チベットの伝説ではシャンバラという名の理想郷が地下にあるとされ、近代ヨーロッパのオカルト界ではアガルタという高度な地下文明が考え出された。またヨーロッパではエドモンド・ハレーなど天文学者や自然哲学者・自然科学者らによって地下には巨大な空間があるとする地球空洞説が唱えられた。
地下や地底文明が登場するフィクション作品
19世紀以降、地底深くに理想郷あるいは地上侵略を企む地底人国家があったり、地底に怪獣や怪物がいたり、地球人類が地下に巨大な基地・都市を築いていたりする設定のSF・ホラー作品が欧米や日本で多数発表されている。地底への探査や攻撃のため、巨大なドリルを装着した地底戦車や人型ロボットが登場する作品も多い。
- ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』:1864年発表のSF小説で、映画化(『地底探検』『センター・オブ・ジ・アース』など)やアニメ化もされている。
- エドガー・ライス・バローズ『ペルシダー・シリーズ』:1914年以降のSF小説シリーズ。1976年に『地底王国』として映画化。
- ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』:1933年発表の小説で、映画化もされた。シャングリラという理想郷が登場する。
- 手塚治虫『地底国の怪人』:1948年発表の漫画。
- ウルトラシリーズ:多数の地底怪獣が登場する、1966年に始まる特撮シリーズ。
- 『鋼鉄ジーグ』(1975-76年)、『ゴワッパー5 ゴーダム』(1976年):地底文明による侵略と戦うロボットアニメ。
- いしいひさいち『地底人』:1979年初出のギャグ漫画シリーズ。
- 『スーパーロボット大戦シリーズ』:一部作品に地底世界「ラ・ギアス」とそこを起源とするロボット(魔装機神)が登場する。
- 『ザ・コア』:2003年公開のSF映画。
- 『ディセント』シリーズ:2005年に初作が公開されたホラー映画。
比喩
「地下」は、地面の下にある部位ということから、転じて「表に出ない」という意味にも使われる。
- 地下放送とは、番組放送の送り手側の姿を隠した放送。
- 地下経済は、政府や財務当局などによって把握されない経済活動。「アングラ経済」とも言う。犯罪組織が密接に関っていることが多い。
- 地下銀行は、銀行法の免許を持たず、不正に海外に送金する(銀行法違反)業者。本人確認が必ずしも必要でなく、また、正規の銀行よりも格安、迅速なので、おもに不法残留外国人が利用し、不法就労や犯罪で入手したカネを母国に送る。
- 地下組織は、秘密裏に行動する組織(秘密結社)。
- 地下アイドルは、テレビなどのメディアに露出しないアイドル。最近はライブアイドルに言い換えられる傾向があり、死語になりつつある。
- 地下芸人は、自主興行を行なったり、そのライブに出演する東京のインディーズ芸人の通称[3]。地下階にあるライブハウスでの開催も多い[4]。
- 地下本、地下ビデオ、地下小説は内容が過激なため、一般的な方法で販売しない。裏本、裏ビデオ、裏小説とも言う。これらとは異なる政治的用語として、検閲が厳しいナチス・ドイツやその占領地域、ソ連・東欧社会主義諸国などで製作・配布された体制批判文献を地下出版(ロシア語ではサミズダート)と呼ぶ。
- アンダーグラウンド (文化)とは、地下運動、反権威主義などを通じて波及した1960年代に起こった文化・芸術運動のことを指す。アングラと略される。
- また、これらに限らず政治的な反体制や政府転覆を目指す極左などを説明する文脈で、表に出ないで活動する個人や組織の有様を「地下活動」であるとか、「地下に潜る」などと表現することもある。
- ^ 大深度地下利用技術指針・同解説
- ^ 「地下深く 微生物の大帝国/不毛の地適応、他の星にも存在?」『日本経済新聞』朝刊2019年3月3日(サイエンス面)2019年3月7日閲覧。
- ^ “「地下ライブ」から生まれた芸人たち アルコ&ピースが見つけた境地”. withnews (2021年5月13日). 2023年8月6日閲覧。
- ^ “関東のお笑いの聖地「中野Studio twl」”. まるっと中野. 中野区文化振興・多文化共生推進課 (2021年12月20日). 2023年8月11日閲覧。
地下と同じ種類の言葉
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