国境なき医師団 構成

国境なき医師団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 14:07 UTC 版)

構成

ボランティアと常勤職員で構成されており、活動資金の多くは一般個人・非営利組織・企業・欧米政府からの寄付で賄われている。資金の8割は一般個人からの寄付となっている。活動は5か国のオペレーション支部が担当し、他に14か国のパートナー支部がある。

オペレーション事務局

活動の運営を担当し実際の医療チームを編成、派遣する。

オランダスイススペインフランスベルギー

パートナー事務局

活動に参加するボランティアを募集、派遣する。広報、募金活動を行う。

アイルランドアメリカアラブ首長国連邦アルゼンチンイギリスイタリアインドオーストラリアオランダカナダ韓国ギリシャスイススウェーデンチェコデンマークドイツ日本ノルウェーフランスブラジルベルギー香港南アフリカ共和国メキシコルクセンブルク、インターナショナル
(日本事務局はフランスのオペレーション事務局のパートナー)

MSFインターナショナル

事務局間の調整および対外折衝を代表して行う。(スイス)

付属組織

MSFロジスティック

物資の調達管理を行う。(フランス、ベルギー)

エピセンター

疫学研究組織。(フランス)

評価

国境なき医師団の活動は広く評価され、多くの賞を受賞している。その中でも著名なものは、1999年ノーベル平和賞受賞である。1996年にはインディラ・ガンディー賞ソウル平和賞、2015年にはメアリー・ウッダード・ラスカー公益事業賞を受賞している。

事案

婦女暴行・児童買春・性的嫌がらせ

2018年2月14日、国境なき医師団は、職員が被災地で患者や避難民に対し、性的暴行や児童買春、性的嫌がらせを行っていたことが告発されたことにより、19人を解雇したことを公表した[16]

参加資格

ボランティアとして参加するには、臨床経験・実務経験が必要である。

求められる資質と能力

国境なき医師団(MSF)の活動理念への賛同
MSF憲章へ賛同することが求められる。
異文化の環境に適応し、チームの一員として活動する能力
MSFの海外派遣スタッフは共同で生活し、活動を行う。活動が忙しく、生活環境が厳しい地域もあり、プライバシーが確保できない時もあり得る。そのような環境の中で、さまざまな国籍・文化のチームメートと人間関係をうまく築いていく能力が求められる。
指導・管理業務の能力
海外派遣スタッフの職種のほとんどは、現地スタッフの指導・監督業務を伴う。自らの業務を行うだけでなく、適切な指導力も求められる。
ストレスに対処できる能力
援助プログラムの多くは、紛争地域またはその近隣で展開している。厳しい状況の下、援助を必要とする人々も多く、活動地ではさまざまな問題が生じている。海外派遣スタッフは、困難かつ予測のつかない環境の中で、うまく自分のストレスに対処していくことが求められる。
柔軟性
活動地の状況は急変することがあり、それに伴ってチーム編成や各自の業務内容も変える必要がある。現場のニーズに対応した活動を行う、極めて高い柔軟性と適応力が求められる。
語学力
MSFの公用語は英語とフランス語で、いずれかの言語ができることが参加の条件となっている。しかし、スペイン語など公用語以外で活動を行う国・地域もあり、これらの国・地域への派遣は、該当する言語の能力を持っているかどうかが考慮されることがある。いずれの職種においても、少なくとも英語またはフランス語で業務上必要とされるコミュニケーションが支障なくとれることが大切だが、職種によっては、より高い語学レベルが求められる。
独立して働く能力
海外派遣スタッフは一人一人が責任を担う。各自がプロフェッショナルとして、必要最小限の指示のもとで、自分の業務内容を整理し優先順位をつけながら率先して行動していくことが求められる。
自信を持って取り組む姿勢
新しいことに挑戦する姿勢と、今まで直面したことがないような問題に対しても自信を持って解決していく姿勢が求められる。
その他
年齢制限は特に無い。派遣期間は職務および現地の医療・人道援助ニーズによって異なる。また、派遣地によっては生活環境が厳しい地域もあり、十分な体力と環境への適応力が求められる。

望ましい経歴、知識

以下の知識や経歴はあれば望ましいが、必須ではない。

開発途上国での経験
国境なき医師団(MSF)のプログラムの大半は開発途上国で展開している。過去に他の非政府組織(NGO)の人道援助活動に参加し、類似した役割で現地活動を行った経験がある場合、その経験はMSFの活動においても大変役立つ。また、カナダやオーストラリアなどの遠隔地で働いた経験、バックパッカーとして途上国を長期旅行した経験も役立つと考えられる。
他言語の知識
派遣地域によっては他の言語の知識も役立つ。(スペイン語、アラビア語、ロシア語、中国語、ポルトガル語など)

募集職種

国境なき医師団(MSF)は以下の医療従事者、非医療従事者を募集している。なお、欠員の有無は活動地のニーズによる。

医療従事者

非医療従事者

国境なき医師団(MSF)の活動は、医療従事者のみならず非医療従事者の仕事にも支えられている。非医療従事者との連携やサポートなしに医療活動を円滑に実施することは不可能である。非医療従事者は全派遣者の約40%を占めている。

  • 非医療スタッフ
    • ロジスティシャン(物資調達管理調整員)
    • アドミニストレーター(財務・人事管理責任者)
    • 水・衛生管理専門家
    • 建築、建設専門家など

注釈

  1. ^ 国際事務局の本部所在地[5]
  2. ^ 支部間の連絡調整機関・MSFインターナショナルの所在地[7]

出典

  1. ^ a b c 宮崎繁樹. 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年3月15日閲覧。
  2. ^ a b c 百科事典マイペディア. コトバンク. 2019年3月15日閲覧。
  3. ^ 沿革. 公式サイト日本語版. 2019年3月15日閲覧。
  4. ^ a b 国境なき医師団とは. 公式サイト日本語版. 2019年3月15日閲覧。
  5. ^ a b c 最上敏樹. 知恵蔵. コトバンク. (2007年) 2019年3月15日閲覧。
  6. ^ 朝日新聞掲載「キーワード」. コトバンク. (2009年9月2日) 2019年3月15日閲覧。
  7. ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2019年3月15日閲覧。
  8. ^ 倉方秀憲ほか編 『プチ・ロワイヤル仏和辞典 [第4版]』 旺文社、2010年、965, 1406, 706頁。ISBN 978-4-01-075309-5
  9. ^ フランス語発音: [medsɛ̃ sɑ̃ fʁɔ̃tjɛːʁ], メドサン・サン・フロンティエール[8]
  10. ^ a b All Nobel Peace Prizes” (英語). NobelPrize.org. 2024年4月20日閲覧。
  11. ^ “アフガン病院誤爆 国連、「戦争犯罪の可能性も」”. CNN (CNN.co.jp). (2015年10月5日). http://www.cnn.co.jp/world/35071433.html 2015年10月12日閲覧。 
  12. ^ a b 福井 2005, pp. 315–328.
  13. ^ 国境なき医師団「東北地方太平洋沖地震:MSFチーム被災地を調査(3月12日)」
  14. ^ 2004年10月29日の発表内容による
  15. ^ よくあるご質問 | 国境なき医師団”. www.msf.or.jp. 2023年11月3日閲覧。
  16. ^ 「国境なき医師団、性的虐待などで職員19人解雇 昨年」AFP2018年2月14日付






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