ブライトリング ブライトリングの概要

ブライトリング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 09:10 UTC 版)

Breitling Montres S.A.
種類
非公開会社
業種 時計製造
設立 1884年 (1884)
創業者 レオン・ブライトリング
本社
主要人物
ジョルジュ・カーン
製品 腕時計
所有者 パートナーズ・グループ
ウェブサイト www.breitling.com
ナビタイマー

戦前には航空業界とのつながりが強く、コクピットウォッチ、ストップウォッチを主力としていた。現在においてもパイロットウォッチやミリタリーウォッチを得意とし、「プロのための計器」「時計ではなく(航空用)計器である」という理念のもとに、製品はすべてクロノメーター検定に合格したものである[1]。実際に、現代においてもパイロット向けの腕時計として「エアロスペース」「エマージェンシー」が販売されており、高い評価を受けている。

気球による無着陸世界一周を初めて成功させたブライトリング オービター 3ジェットエンジンを乗せた翼を背負って飛行するイブ・ロッシーなど、航空界へのスポンサー活動を積極的に行っている。

近年、ブライトリングは同社の1915年発表のモデルを世界初のクロノグラフ腕時計と自称していたが[2]、実際は1913年にロンジン[3]オメガ[4]が製造した物など複数社による先行事例がある[5]。そのため「クロノグラフ腕時計」「専用プッシュボタン付クロノグラフ腕時計」いずれの条件でもブライトリングは世界初ではない。

かつては専らETAから供給されるムーブメントを採用していたが、現在は自社開発・自社製造ムーブメントcal.B01を採用した時計を中心に、cal.B20をケニッシから、cal.B25をコンセプトから、その他をセリタから供給を受けている。特にETAおよびセリタ製ムーブメントについては各部品の個体差にまで配慮した徹底的なチューニングが施され、圧倒的な高精度化に定評がある。

ムーブメントを自社製造する「マニュファクチュール」という言葉を他社と異なる意味合いで使う事があり、外部から購入したムーブメントを使っていてもマニュファクチュールと主張する事がある。

沿革

コスモノートを身につけたスコット・カーペンター
  • 1860年1月26日 - 創業者レオン・ブライトリングLeon Breitling )がサンティミエ(Saint-Imier )にて産まれる。
  • 1884年 - レオン・ブライトリングが時計工房「G. レオン・ブライトリング」(G.Leon Breitling )を開いた。
  • 1884年 - レオン・ブライトリングに息子ガストン・ブライトリング(Gaston Breitling )が産まれる。
  • 1892年 - ラ・ショー=ド=フォンのモンブリラン(Montbrillant )通りに移転し「レオン G.ブライトリング」(Leon G. Breitling S.A. Montbrillant Watch Manufactory )に改名。
  • 1914年8月14日 - レオン・ブライトリング死去。ガストン・ブライトリングが後を継ぐ。
  • 1915年 - レマニア製の16リーニュ 懐中時計用クロノグラフムーブメントを搭載した腕時計を製造[2]第一次世界大戦でニーズを増したパイロット向けの時計であった[6]
  • 1927年7月30日 - ガストン・ブライトリング死去、1932年まで社長不在となる。
  • 1932年 - ガストン・ブライトリングの息子ウィリー・ブライトリングWilly Breitling )が後を継ぐ。
  • 1939年 - イギリス空軍が大量のコクピットクロックを発注。
  • 1942年 - 対数表記の四則演算用の回転計算尺を付けたクロノグラフ、初代「クロノマット」発売。
  • 1952年 - AOPA(Aircraft Owner and Pilot Association)と提携し航空航法用の回転計算尺を付けたクロノグラフ、初代「ナビタイマー」発売。電波航法の普及に伴い高い評価を確立した。工場をラ・ショー=ド=フォンに残したまま本部をジュネーヴに移転。
  • 1962年 - マーキュリー計画のミッションMA7でオーロラ7号の乗組員スコット・カーペンターScott Carpenter )の私物としてコスモノートが宇宙に行った。
  • 1969年3月3日 - ホイヤー・レオニダス(Heuer-Leonidas 、現タグ・ホイヤー)、ハミルトン・ビューレン(Hamilton-Buren 、現ハミルトン)、デュボア・デプラとの4社共同で腕時計用自動巻クロノグラフキャリバー「キャリバー11」(Caliber 11 )を開発、発表。
  • 1975年 - クロノマットにクォーツモデル発売。
  • 1976年 - ナビタイマーにクォーツモデル発売。
  • 1978年 - ナビタイマーに発光ダイオードモデル発表。同年、全従業員を解雇して工場・本社・生産設備や在庫部品等の資本を売却。
  • 1979年 - 4月、ウィリー・ブライトリングが保有していたブランド商標権をMontres Sicura SAの経営者アーネスト・シュナイダーErnest Schneider )に売却[2]。8月にブライトリング社が精算手続きを完了し廃業した。同年ウィリー・ブライトリング死去。[2]
  • 1982年 - アーネスト・シュナイダーがブライトリング・ジュネーブ社(Breitling Genève SA )を設立[7]。Montres Sicura SAの本社工場を改装して、ブライトリングの本社とする。[2] なお、ブライトリング家が経営していた同名の会社とは法人格・人員・工場や生産設備等において繋がりは無く、全く新しいチャレンジであった。
  • 1983年 - Montres Sicura SAがBreitlingを商標として登録。[8]
  • 1984年 - イタリア空軍のアクロバット飛行隊が主催したコンペに入札し、「クロノマット」の名を継承する新モデルを発表。開発にあたってはパイロットや関係者にアドバイスを仰ぐ等の取り組みが行われ、同飛行隊の公式モデルとなった。
  • 1985年 -「ナビタイマー・エアロスペース」、「オールド・ナビタイマー(手巻き)」発表。後者は、翌年自動巻きモデルが発表される。
  • 1993年 - Montres Sicura SAの社名をBreitling AGに変更。[9]
  • 1994年 - アーネスト・シュナイダーの息子セオドア・シュナイダーがCEOに就任。
  • 1997年 - クロノグラフ等複雑系ムーブメントの製造会社であるKELEKを子会社化。[10]
  • 1996年 - 初代クロノマットのデザインを踏襲した「モンブリラン」発表。
  • 1999年 - 全モデルに搭載されるムーブメントの100%クロノメーター化を宣言。
  • 2000年 - KELEKの社名をBREITLING CHRONOMETRIE SAに変更。(KELEK時代とBREITLING CHRONOMETRIE時代で住所に変更なし。[11][12])
  • 2003年 - ベントレール・マン復帰に際し、パートナー契約締結。Breitling for Bentleyシリーズ発表。コンチネンタルシリーズの内装にブライトリングデザインのアナログ時計が据えられる。
  • 2009年 - ブライトリング初の完全自社開発・自社製造ムーブメント「キャリバー01」を発表。モデルチェンジしたクロノマットに搭載し発売。自社製キャリバーの開発・製造のために工場「クロノメトリー (BREITLING CHRONOMETRIE)」の南側に新工場を増設した。
  • 2017年 - 会社をCVC キャピタル・パートナーズに売却。
  • 2022年 - スイスの投資会社パートナーズ・グループがCVCより株式の過半数を取得した。
  • 2023年 - 12月12日、香港資本の傘下となっていたユニバーサル・ジュネーブを買収[13]。ブライトリングとは別個に運営されるとしている。

代表モデル

  • クロノマットChronomat 、1942年発売) - 初代モデルは回転ベゼルが計算尺になっている手巻クロノグラフ。1975年にはクォーツモデルが発売されている。1984年に発売されたモデルは回転ベゼルに4つのライダータブが付いた機械式自動巻クロノグラフ。
  • クロノマット・エボリューションChronomat Evolution ) - 回転ベゼルに4つのライダータブが付いた機械式自動巻クロノグラフ、クロノマットの大型ケース版。リューズとクロノグラフ用プッシュボタンはネジ込みロック式で300m防水、18Kゴールドモデルは100m防水。
  • クロノ・コックピットChrono Cockpit ) - 立体的なローマ数字のインデックス、詳細なギョーシェ加工の文字盤が特徴的な機械式自動巻クロノグラフ。100m防水。
  • クロノマチックChronomatic 、1969年発表) - 初代モデルは世界初の自動巻きクロノグラフ。2005年に復刻版として再登場。ケースの左側にリューズが配置されているのが特徴。回転ベゼルはナビタイマーと同様に航空計算尺になっている。
  • コスモノートCosmonaute ) - ナビタイマーの24時間表示版。初代モデルから2000年まで手巻ムーブメントが使用されていたが、2001年以降から自動巻きムーブメントに変更された。
エマージェンシー
  • エマージェンシーEmergency ) - 緊急信号発信装置を内蔵したモデル。121.5MHzの手動型航空機用救命無線機を内蔵し、ケースの右下にある保護キャップのネジを外し、アンテナをいっぱいまで引き出すことによって国際航空遭難信号を48時間発信する。航空法第24条に定める航空従事者かつ電波法第40条に定める無線従事者でなければ購入できない。購入後は航空機局無線設備としての登録を行い、年1回電波法で定める定期検査を登録点検事業者であるブライトリング・ジャパンにて行わなければならない。スティーヴ・フォセットが使用していた[14]
  • モンブリランMontbrillant ) - ムーンフェイズやカレンダーを組み込んだドレッシーなモデル。初代モデルは1940年代に製造され、二代目は1995年に18金ローズゴールドケース、シルバーダイアルで発売され後に黒文字盤、及びステンレスケースモデルが追加された小型版の機械式自動巻クロノグラフ。現行モデルは初代クロノマットのデザインを継承する自動巻きクロノグラフとなっている。以前工場があった地、モンブリラン通りより命名される。
  • ナビタイマーNavitimer 、1952年発表)- 回転ベゼルがフライトコンピューター操縦士向けの計算尺)になっているクロノグラフ。フライトコンピューターとしての機能は、発表当時のアメリカで普及していたE6B英語版をそのまま移植している。最初のモデルは手巻で、古典的名機であるキャリバー"ヴィーナス178"を使用していた。1969年に自動巻モデルも発表される。一時は超大型の防水モデル、LEDや液晶によるデジタルモデルも造られていたが、1985年に初代モデルの雰囲気を持つ"レマニア1873のちバルジュー7750"を使用する"オールドナビタイマー"のみのラインナップとなった(現行ではオールドの文字が外されている)。2002年には50thアニバーサリー限定モデルが発売。

  1. ^ ブライトリングでは、機械式腕時計のほかにクォーツ式腕時計もクロノメーター取得を行っているが、他社では稀である。
  2. ^ a b c d e 『TIME OF LEGEND―THE BREITLING INSIDER』P2,15,42,164,255、2006年、レジスター。ISBN 978-4901638234
  3. ^ 1900年のLonginesの歴史 - 1900”. www.longines.com. 2021年2月2日閲覧。
  4. ^ スペシャル ファースト オメガ リスト-クロノグラフ コレクション | OMEGA®”. Omega. 2021年2月2日閲覧。
  5. ^ Kōkoku no naka no udedokei : ude no ue no dezain』Nakamura, Shozo., 中村省三.、Wārudofotopuresu、Tōkyō、2010年、24,28,91,146-152頁。ISBN 978-4-8465-2817-1OCLC 650209260https://www.worldcat.org/oclc/650209260 
  6. ^ 第一次世界大戦による腕時計の軍隊での普及”. セイコーミュージアム. 2019年12月10日閲覧。
  7. ^ Breitling Genève SAの会社登録情報”. 2014年5月3日閲覧。
  8. ^ スイス連邦工科大学 商標データベース”. 2014年5月3日閲覧。 Marken の Marken Nr 2P-324703 を参照
  9. ^ Montres Sicura SAの社名の変更履歴”. 2014年5月3日閲覧。
  10. ^ KELEKとは”. 2014年5月3日閲覧。
  11. ^ KELEKの企業登録情報”. 2014年5月3日閲覧。
  12. ^ BREITLING CHRONOMETRIE SAの企業登録情報”. 2014年5月3日閲覧。
  13. ^ Breitling Acquires Historic Brand Universal Genève, MONOCHROME, 2023年12月12日
  14. ^ [1]
  15. ^ メンバーズサロン2015
  16. ^ Breitling DC-3


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