フウ フウの概要

フウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 07:20 UTC 版)

フウ
Liquidambar formosana(2009年12月4日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ユキノシタ目 Saxifragales
: フウ科 Altingiaceae
: フウ属 Liquidambar
: フウ L. formosana
学名
Liquidambar formosana Hance (1866)[1]
和名
フウ(楓)、サンカクバフウ(三角葉楓)、タイワンフウ(台湾楓)、イガカエデ(伊賀楓)、カモカエデ(賀茂楓)、オカツラ(男桂)
英名
Formosa Sweetgum、Formosan gum、Chinese Sweetgum

種小名 formosana は「台湾の」の意味。属名の Liquidambar はリキッド・アンバー(「液体の琥珀」の意)で、その樹皮から香りのよい樹脂が採れることにちなむ[4]。そのため、中国名では楓香樹の名がある[4]。また中国名の別名では漢字で「楓」(楓樹[1])と書き、和名はその音読みを由来とする[2]。日本では古来、「楓」の字を「カエデ」と訓むが、本来の楓は本項目のフウのことを指し[4][2]、カエデを表す漢字は槭である。

分布・生育地

原産地は台湾中国南東部[5][3]日本には江戸時代中期、享保年間(1716 - 1736年)に渡来し、珍しい樹として江戸城日光に植えられたのが始まりである[5]。植栽は日本全土に分布し[2]関東地方以南で使われている例が多い[5]

特徴

落葉広葉樹の高木[3]。幹は真っ直ぐに伸び、高さ20 - 25メートル (m) ほどになる[6]。原産地では40 - 60 mのものもある。樹皮は灰色から灰褐色で、縦に浅い筋が入り、老木になると縦から網目状に裂ける[6]

状にふつう3裂し、しばしば5裂や複雑な裂け方をする葉もみられる[7]葉縁に細かい鋸歯がある[3]。葉の形はカエデにやや似ている[2]。枝の同じ場所に葉が対生するカエデとは異なり、フウは枝に互生する[2]紅葉し、赤色や橙色、黄色に色づく[3][2]葉柄托葉がつくため、枝には托葉痕はない[6]

雌雄同株は雌雄とも球形で花被がない。、新葉が出るとともに咲く。

初夏には枝先に小さなイガのような若い果実がつく[2]。果期は秋の紅葉のころで、光沢のある褐色で、細かいと隙間がある球状の集合果成熟する[4]。果実は蒴果[6]。冬でも果実は枯れ葉とともに残ることもある[6]

冬芽は長さ5 - 10ミリメートル (mm) で卵形から長卵形をしている鱗芽で、11 - 18枚の芽鱗に包まれている[6]。芽鱗には薄茶色の汚れたような毛がある[6]。枝先につく頂芽は、側芽よりもやや太い[6]。葉痕は半円形から三角形で、維管束痕は3個ある[6]

トウカエデに似ている。樹皮とくきの形で見分けがつく。

利用

秋にはきれいな紅葉を見せるので人気があり[4]、暖地で庭木街路樹、公園樹として利用される[3]中国では独特の香りのある樹脂を「楓香脂」として薬用にする。


注釈

  1. ^ 最新の分類体系であるAPG体系ではフウ科であるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではマンサク科に分類される[1]

出典

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Liquidambar formosana Hance フウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 亀田龍吉 2014, p. 50.
  3. ^ a b c d e f 林将之 2008, p. 30.
  4. ^ a b c d e 辻井達一 1995, p. 177.
  5. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 176.
  6. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 217
  7. ^ 亀田龍吉 2014, p. 57.


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