セビリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/20 05:23 UTC 版)
経済
セビリアはスペイン南部でもっとも人口の多い都市であり、セビリア都市圏はアンダルシア州の域内総生産(GRP)の約25%を占めている[21]。セビリア都市圏のすべての自治体は直接または間接的にセビリアに依存しているが、都市圏の小規模な自治体の経済を支配しているのは農業である。セビリア大学とパブロ・デ・オラビデ大学は多様な専攻を有するため、セビリアはアンダルシア州西部の重要な大学都市となっており、ウエルバ県やカディス県出身の大学生が多数居住している。
2007年以後に起こった世界金融危機以前、セビリアの中心市街地から離れたネルビオン区、エステ=アルコサ=トーレブランカ区、スール区などでは経済成長が著しく、これらの区では人口が大きく増加したうえに、新たな工業団地やビジネスパークが相次いで建設された[22]。
セビリアに拠点を置くアベンゴアは、エネルギー・情報通信・交通・環境などの分野の多国籍企業である。2014年時点では80か国以上で事業を展開しており、グループ全体で約20,000人を雇用している。1992年のセビリア万博会場跡地はカルトゥハ科学技術パークとして整備され、先端技術企業の研究開発センターなどが立地している。セビリア都市圏のラ・リンコナーダにはアンダルシア航空宇宙技術パーク(アエロポリス)があり、セビリア空港に近い工業団地に航空産業および宇宙産業の企業が集積している。
社会
観光
闘牛やフラメンコの本場で、スペインを代表する観光都市。セビリア大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館は世界遺産に登録されている。旅行ガイドブック出版社のロンリープラネットによると、セビリアは2018年に最も訪れるべき都市の第一位と報じられている[23]。
- セビリア大聖堂 - 1402年に建設が始まり、16世紀に完成した。バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を除けばカトリックの大聖堂としては世界一大きい。内部にはクリストファー・コロンブスの墓がある。
- アルカサル - スペイン王室の宮殿。イスラム時代の建築物の跡地に14世紀に建設された。ムデハル様式の代表例の一つ。
- インディアス総合古文書館
- トーレ・デル・オロ(黄金の塔)
- スペイン広場
- マエストランサ闘牛場
- セビリアの春祭り(フェリア・デ・セビージャ)
- セビリア美術館 - スルバランやムリーリョなどの作品を所蔵。
交通
- 航空
セビリア中心部から北東10kmの場所にはセビリア空港があり、所在地の名前を冠してサン・パブロ空港とも呼ばれる。1914年から軍用空港として使用されていたが、1919年にはマドリードとの間で初めて商業便の運航が開始された。1992年のセビリア万博の開催を前に、1989年にはセビリア空港が拡張された。2017年の旅客数は510万人であり、アンダルシア州ではマラガ=コスタ・デル・ソル空港に次いで2番目に旅客数の多い空港である。スペイン各地に向かう国内線に加えて、イギリスのロンドン、フランスのパリ、ドイツのフランクフルト、オランダのアムステルダム、ポルトガルのリスボン、スイスのバーゼルなどに向かう国際線も運航されている。
- 鉄道
1992年のセビリア万博の開催を前に、1991年にはコルドバを経由してマドリードに向かう高速鉄道AVEのマドリード-セビリア高速線が開業し、これに合わせて鉄道駅のセビリア=サンタ・フスタ駅も開業した。サンタ・フスタ駅はセビリア都市圏の近郊鉄道であるセルカニアス セビリアの中核となる駅でもある。セルカニアス セビリアは5路線計251kmを持ち、全路線がサンタ・フスタ駅を通っている。
2007年にはトラム(路面電車)のメトロセントロが開業し、中心市街地で1路線2kmが運行されている。2009年には都市鉄道(メトロ/地下鉄)のセビリア・メトロが開業し、3路線計18kmが運行されている。セビリア・メトロはスペインで6番目に建設されたメトロであり、スペインで5番目に乗客数の多いメトロである。
- 道路
セビリア市街地は直径約7kmの環状道路で取り囲まれており、この環状道路からはコルドバに向かうA-4号線、カディスに向かうAP-4号線、ウエルバに向かうA-49号線、メリダに向かうA-66号線、マラガ方面に向かうA-92号線などが放射状に延びている。また欧州自動車道路の幹線の1つであるE01号線の南側の起点が存在する。
2007年にはセビリア市街地でセビシという自転車シェアリングサービスが開始され、自転車を移動手段とする人は2006年から2011年までの5年間で10倍に増加している。2015年時点のセビリアで、徒歩以外の交通手段の中での自転車の交通分担率は9%に上るとされる。
教育
セビリアには2校の公立大学と1校の私立大学と1校の夏期専門大学がある。1505年にはローマ教皇ユリウス2世の教書によって、セビリア大学の前身となる学院の設立が認可され、正規の大学であるストゥディウム・ゲネラーレ(中世大学)となった。1950年代にはセビリア大学の本部が、18世紀の建築である王立タバコ工場に移転した。セビリア大学では約7万人の学生が学んでいる。
1994年には夏季専門大学としてアンダルシア国際大学が開学した。1997年にはセビリア2番目の公立大学として、パブロ・デ・オラビデ大学が開学した。その名称はペルー・リマ出身の政治家であるパブロ・デ・オラビデに因んでおり、約1万人の学生が学んでいる。2011年にはイエズス会による私立大学(カトリック大学)として、アメリカ合衆国シカゴにあるロヨラ大学の姉妹大学であるアンダルシア・ロヨラ大学が開学した。
セビリアにはフランス人学校・ドイツ人学校・イギリス人学校がある。ドイツ人学校のドイチュ・シューレ・セビリアは1921年に設立され、2016年には741人の生徒が在籍していた。
文化
オペラ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの『フィガロの結婚』と『ドン・ジョヴァンニ』、ジョアキーノ・ロッシーニの『セビリアの理髪師』、ジョルジュ・ビゼーの『カルメン』、ジュゼッペ・ヴェルディの『運命の力』、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの『フィデリオ』、セルゲイ・プロコフィエフの『修道院での婚約』など、セビリアはいくつものオペラの舞台となっている。
小説
1613年に刊行されたミゲル・デ・セルバンテスのピカレスク小説『リンコネーテとコルタディーリョ』はセビリアを舞台としている。17世紀の伝説上の人物であるドン・ファンはセビリアで活躍したとされている。1898年に刊行されたピエール・ルイスの小説『新カルメン』は主にセビリアを舞台としている。
スペイン広場は、映画『アラビアのロレンス』、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のロケ地となった。1995年に刊行されたアルトゥーロ・ペレス=レベルテの小説「La piel del tambor」はセビリアを舞台としている。
サッカー
セビリアには、サッカークラブのレアル・ベティスとセビージャFCが本拠地を置いており、両クラブともにスペインリーグのラ・リーガ(西: LaLiga)に所属している。
レアル・ベティスは1935年に設立され、60,720人収容のエスタディオ・ベニート・ビジャマリンをホームスタジアムとしている。セビージャFCは1946年に設立され、45,500人収容のエスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンをホームスタジアムとしている。スペインで開催された1982 FIFAワールドカップでは、2つのスタジアムがいずれも試合会場となった。
セビージャFCは『UEFAヨーロッパリーグ』において圧倒的な強さを誇っており、大会最多となる6度の優勝を成し遂げている。特に2013-14大会から、2014-15大会、2015-16大会と史上初となる大会3連覇を果たしている。
- ^ “Población, superficie y densidad por municipios” (スペイン語). INE(スペイン国立統計局). 2013年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月6日閲覧。
- ^ ABC of Spain 「セビージャ観光のノウハウ」 Spain News.com
- ^ 川成洋『スペイン文化読本』丸善出版、2016年、175頁。ISBN 978-4-621-08995-8。
- ^ M. Kottek; J. Grieser; C. Beck; B. Rudolf; F. Rubel (2006). “World Map of the Köppen-Geiger climate classification updated”. Meteorol. Z. 15 (3): 259–263. doi:10.1127/0941-2948/2006/0130 2009年4月22日閲覧。.
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- ^ “Highest Temperature Extremes”. NOAA Satellite and Information Service. 2012年8月29日閲覧。
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- ^ “Caen copos de nieve en Sevilla tras 50 años”. ラ・バングアルディア. 2018年10月7日閲覧。
- ^ “Sevilla cumple sesenta años sin ver la nieve en sus calles”. ABC. 2019年9月23日閲覧。
- ^ “Últimas 10 nevadas sobre Sevilla”. Foro de Tiempo.com. 2018年10月7日閲覧。
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- ^ Poblaciones de hecho desde 1900 hasta 1991. Cifras oficiales de los Censos respectivos.
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- ^ 芝修身『古都トレド 異教徒・異民族共存の街』昭和堂、2016年、pp.130 -131
- ^ 関哲行ほか『世界歴史大系 スペイン史 1 古代~中世』山川出版社、2008年、p.168
- ^ 小林一宏「アルフォンソ10世」『スペイン・ポルトガルを知る事典』平凡社、2001年、pp.20-21
- ^ 欧州理事会の開催 閣僚理事会の再編に合意 労働政策研究・研修機構
- ^ Brendan Sainsbury (2012年1月6日). “Travel - Seville goes green”. BBC. 2012年1月19日閲覧。
- ^ “Sevilla aporta la cuarta parte del PIB y es la capital económica de Andalucía”. ABC de Sevilla (2005年2月20日). 2019年9月23日閲覧。
- ^ “Atlas de la provincia de Sevilla”. Map:Innovación tecnológica. Diputación de Sevilla, Junta de Andalucía. 2013年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月23日閲覧。
- ^ Lonely Planet's top 10 cities to visit in 2018 CNN travel 2017年10月24日
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