クイーン (バンド) 日本との関係

クイーン (バンド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 08:08 UTC 版)

日本との関係

フレディ・マーキュリーのサイン

日本における来歴

1975年4月17日、初来日。当時、イギリスでは既にいくつかの楽曲が全英トップ10に入るヒットを記録しており、人気バンドの仲間入りを果たしていたが[注釈 4]日本での人気の過熱ぶりはそれを遥かに上回るものであった。空港には約1200人のファンが集結しパンク状態になった(「第1次クイーンブーム」)。到着後、メンバーは会見を行い、芸子らから茶を提供されたり、ファンからもらったけん玉で遊んだりするなどして、日本文化を満喫した。武道館公演では着物を着て演奏した。来日2日目の4月18日、メイとテイラーが滞在先のホテルの裏手にある東京タワーへ観光に行ったところ、100人以上の修学旅行生に囲まれ、その後ボディガードの助けを得てホテルに戻った[38][39]

1976年12月18日、5thアルバム『華麗なるレース』をリリース。サビ日本語歌詞を取り入れた楽曲「手をとりあって」がアルバムの最後に収められ、翌年に日本限定でシングルカットされた。

1977年少女漫画雑誌花とゆめ』10号に、バンド結成から来日公演までを描いた「キングスロードに赤いバラ」(みかみなち『上を下へのロックンロール』収録。白泉社)が掲載。

2004年、マーキュリー作の「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」(クイーンバージョン)を主題歌としたフジテレビテレビドラマプライド』が放映。ドラマの人気に合わせ、日本独自のベスト・アルバムジュエルズ』がオリコン1位を獲得し、180万枚を売り上げる大ヒットを記録する「第2次クイーンブーム」が起こった。クイーンに馴染みのなかった若年層のファンが増えたことで、日本でのクイーン人気が大きく上昇し、同年の日本ゴールド・ディスク大賞海外部門を受賞した。これについてメイは「クイーンのベスト・アルバムが日本で売れていることを聞いてとても驚いています。クイーンが日本にとって外国アーティストの中では大きな存在だということは知っていましたが、日本の音楽史の中ではクイーンは小さい存在だと思っていました。けれども今回のヒットで日本の大物アーティストと肩を並べられてとてもうれしいです」と語っている。『SmaSTATION-3』ではメイ、テイラーのインタビューが行われた[40]

2018年11月9日、クイーンを描いた伝記映画ボヘミアン・ラプソディ』が日本でも公開。2019年5月時点で日本国内の興行収入が130億円を突破する大ヒットとなり[41]、「第3次クイーンブーム」とも呼ばれる社会現象を巻き起こした[42]映画のヒットによりクイーン作品は急激に売上を伸ばし、翌年にかけてリバイバルヒットを記録。第33回日本ゴールドディスク大賞では、クイーンとしては14年ぶり2度目となる「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」(洋楽)の受賞を果たした。また、Billboard JAPANが発表した2019年上半期チャートのアーティスト部門では、あいみょん米津玄師に次いで3位を記録した[43]

2019年7月プラネタリウム作品「QUEEN -HEAVEN-」がプラネタリアTOKYOにて上映[44]

同年8月LINEの無料ゲームアプリ『LINE:ディズニー ツムツム』に、クイーンのメンバーが日本限定で登場[45]1980年代の姿と思われるクイーンのメンバーがゲーム内に登場し、ゲーム内BGMとして「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」「RADIO GA GA」が流れる演出がなされた。8月の期間限定キャンペーンであったが、翌年2020年1月、今度は1970年代のスタイルで再び登場。BGMとしては「ボヘミアン・ラプソディ」「地獄へ道づれ」が使われた。

2020年1月15日、日本のファンによる投票で収録曲が決められたベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ・イン・ジャパン』がリリースされた[46]。また同日、クイーン関連の貴重な歴史的な展示品を公開する展覧会「クイーン展ジャパン」が開催。株式会社クイーン・プロダクションの協力・監修のもと、集英社が主催した。

2023年11月29日、『第74回NHK紅白歌合戦』に、クイーン + アダム・ランバートとして特別企画で出場することが決定した[31]2024年1月17日には、日本のファンによる投票で収録曲が決められるライブ・アルバム『絆』がリリースされた[47]

日本文化への興味

クイーンのメンバーは、ツアー以外にも何度かプライベートで来日しており、日本文化に深い興味・関心を寄せている。美術学校で学んだ経験もあったマーキュリーは伊万里焼九谷焼などを趣味で収集しており、それらの目利きもできたという。また、自宅の庭に日本庭園を造っていた[48]新宿にはマーキュリー行きつけのゲイバーがあり、度々通っていたと思われる[49]。メイは来日した際、日本のが気に入ったが、大きすぎて持ち帰れないことに非常に残念がっていたという。


注釈

  1. ^ 1991年にエイズによるニューモシスチス肺炎で死去。
  2. ^ 1997年に事実上引退(ただし、正式な引退や脱退は表明されていない)。
  3. ^ 余談ではあるが、イエスのメンバーであるスティーヴ・ハウが「イニュエンドウ」でゲスト参加している。
  4. ^ なおしばしば「本国では当時そこまで人気が無かったが、日本では大人気だった」「日本での人気がきっかけで世界的バンドになった」などと語られることがあるが、これらは誇張された話であり事実に反する。

出典

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  3. ^ a b Stacey, Lee; Henderson, Lol, eds (2014). Encyclopedia of Music in the 20th Century. Oxfordshire: Taylor & Francis. p. 508. ISBN 978-1-135-92946-6 
  4. ^ Metzer, Greg (2008). Rock Band Name Origins: The Stories of 240 Groups and Performers. Jefferson, North Carolina: McFarland, Incorporated, Publishers. p. 152. ISBN 978-0-786-43818-1 
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  7. ^ Brueggemann, Tom (2019年6月5日). “'Rocketman' Is Another Hit Music Biopic, But Please Don't Think That Makes It a Trend”. IndieWire. https://www.indiewire.com/2019/06/rocketman-bohemian-rhapsody-elton-john-freddie-mercury-box-office-biopic-1202146662/ 2022年11月12日閲覧。 
  8. ^ St, 24/7 Wall. “The 100 most popular rock bands of all time”. Business Insider. 2019年1月31日閲覧。
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  44. ^ プラネタリウム作品『QUEEN -HEAVEN-』プラネタリア TOKYOにて上映
  45. ^ スマホゲーム『ツムツム』8・1からQUEENが登場 スキル使用で楽曲も流れる
  46. ^ バンド史上初!日本のファン投票によるベスト盤が発売決定!
  47. ^ クイーン、来年1月に日本限定ベストライブ盤「絆」リリース、150曲が対象、15日からファン投票開始”. スポーツ報知 (2023年11月15日). 2023年11月30日閲覧。
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  50. ^ “最新版、UKで最もヒットしたアーティスト・トップ100”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2005年12月13日). https://www.barks.jp/news/?id=1000016087 2020年6月2日閲覧。 





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