邯鄲

デジタル大辞泉

かん‐たん【^×邯^×鄲】

読み方：かんたん

直翅(ちょくし)目カンタン科の昆虫。体長約1.5センチ。体はスズムシに似て細長く、淡黄緑色。山地の草の間に多く、8〜11月ごろに成虫になり、雄はルルルルルと連続した音で鳴く。《季 秋》「—に鳴きつつまれて老躯濡る／風生」

かんたん【邯鄲】

読み方：かんたん

中国河北省南部の工業都市。製鉄・機械工業が発達。また、綿花・小麦の集散地。戦国時代に趙(ちょう)の都となり、華北の経済・文化の中心地として繁栄した。人口、行政区133万（2000）。ハンタン。

謡曲。四番目物。「邯鄲の枕」の故事に取材したもの。

長唄・常磐津(ときわず)・地歌などの曲名。を題材としたもの。

三島由紀夫の戯曲。をモチーフとする1幕の近代劇。昭和25年（1950）、雑誌「人間」に発表。同年、劇団テアトロトフンが初演。「近代能楽集」の最初の作品。

歴史民俗用語辞典

邯鄲

読み方：カントウ（ｋａｎｔｏｕ）

室町時代から江戸時代の縞、格子の織物。

別名 間道、広東、漢東、漢島

世界宗教用語大事典

かんたん 【邯鄲】

中国河北省南部の商業都市だが、沈既済の小説『枕中記』の邯鄲の夢（枕）で有名。出世を望んで邯鄲に来た青年盧生が、栄華が思い通りになるという枕を道士から借りて仮寝し、栄枯盛衰五十年の人生を夢見たが、覚めると粥がまだ炊き上がらない束の間のことであったとの話。盛衰のはかなさを教えている。日本の能に脚色され（四番目物）、盧生が仏道の師を求めて歩き、宿の女から枕を借りる筋になっている。

短編小説作品名辞典

邯鄲

作者福永武彦

収載図書福永武彦全集 第7巻 小説 7
出版社新潮社
刊行年月1987.3

邯鄲

作者吉田健一

収載図書日本幻想文学集成 16 吉田健一 饗宴
出版社国書刊行会
刊行年月1992.12

邯鄲

作者乙川優三郎

収載図書代表作時代小説 平成15年度
出版社光風社出版
刊行年月2003.5

収載図書武家用心集
出版社集英社
刊行年月2003.8

収載図書武家用心集
出版社集英社
刊行年月2006.1
シリーズ名集英社文庫

動物名辞典

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

コオロギ科の昆虫

学名 Oecanthus longicauda

隠語大辞典

邯鄲

読み方：かんたん

1. 盧生が邯鄲の旅店にて粟飯一炊の間に五十年の長き生涯の夢を見たと云ふ故事より宿泊する事、転じて枕を云ふ。又旅館に止宿して客人の金品を窃取する事をも云ふ。又これを「かんたんし」とも云ふ。又「かんたんば」と云へば旅館を云ふ。
2. 泊る、外泊、切る。〔香具師・不良〕
3. 盧生が邯鄲の旅店にて粟飯一炊の間に五十年の長き生涯の夢をみたという故事より宿泊すること。転じて枕をいう。又旅館に止宿して客人の金品を窃取することもいう。「かんたんし」ともいう。

分類 香具師／不良

邯鄲

読み方：かんたん

1. 旅人宿ニテ同宿人ノ物品ヲ窃取スルコトヲ云フ。〔第一類　言語及ヒ動作之部・京都府〕
2. 通行人ニ尾行シテ宿屋ニ同宿シ其人ノ隙ヲ窺ヒ金品ヲ窃取スルヲ云フ。〔第一類　言語及ヒ動作之部・大阪府〕
3. 旅館ニ客人ノ風ヲ装ヒ止宿シテ、家人其他熟睡ノ時機ヲ窺ヒ、他ノ客人ノ寝室ニ忍入リテ枕頭ニ差置キタル金品衣服等窃取スルヲ云フ－邯鄲夢ノ枕ヨリ出ヅ。〔第三類　犯罪行為〕

分類 京都府、大阪府

邯鄲

読み方：かんたん，がんたん

1. 就寝ノコトヲ云フ。〔第一類　言語及ヒ動作之部・長野県〕
2. 睡眠スルコトヲ云フ。〔第一類　言語及ヒ動作之部・福島県〕
3. 人ノ睡眠シタルコトヲ云フ。〔第一類　言語及ヒ動作之部・山形県〕
4. 就寝睡眠。〔第四類　言語動作〕
5. 寝る。
6. 〔的〕寝ること、宿泊ること。
7. 泊る。
8. 寝ること。
9. 寝る。本庄、前橋　不良犯罪者仲間。
10. 寝ること、又は枕。〔一般犯罪〕
11. 泊る、眠る。「かんたん（邯鄲）は夢の枕」という中国の故事より。〔盗〕

分類 ルンペン／大阪、不良犯罪者仲間、山形県、犯罪、的、盗／犯罪、福島県、長野県、香具師

邯鄲

読み方：かんたん

1. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・大阪府〕
2. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・埼玉県〕
3. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・三重県〕
4. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・愛知県〕
5. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・静岡県〕
6. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・宮城県〕
7. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・福井県〕
8. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・石川県〕
9. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・島根県〕
10. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・岡山県〕
11. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・徳島県〕
12. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・大分県〕
13. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・茨城県〕
14. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・福岡県〕
15. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・滋賀県〕
16. 枕ノコトヲ云フ。〔第二類　金銭器具物品之部・北海道〕
17. 枕をいふ。盗賊語。又宿屋に同宿して、人の物盗むを－又は邯鄲ガヘシといふ。
18. 枕のことをいふ。邯鄲の夢。即ち盧生が道士呂翁の枕を借りて仮寝せし間に富貴栄華の夢を見たといふ故事に基ゐたもの。枕のことを邯鄲台ともいふ。〔犯罪語〕
19. 犯罪にて枕のことをいふ。邯鄲の夢。即ち虚生が道士呂翁の枕を借りて仮寝せし間に富貴栄達の夢を見たといふ故事に基いたもの。又枕のことを邯鄲台といふ。
20. 〔隠〕犯罪語で枕のこと。邯鄲の夢の故事に基く。
21. 枕。
22. 枕のことをいふ。
23. 宿泊する事を云ふ。
24. 宿泊。中津　博徒、不良、虞犯仲間。
25. 〔犯〕枕のこと、蘆生の邯鄲の夢の事から出た語。

分類 ルンペン／大阪、三重県、北海道、博徒、不良、虞犯仲間、埼玉県、大分県、大阪府、宮城県、岡山県、島根県、徳島県、愛知県、滋賀県、犯罪、犯罪者、犯罪者／露天商人、犯罪語、盗賊語、石川県、福井県、福岡県、茨城県、静岡県

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季語・季題辞典

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

コオロギ科の昆虫。からだは淡黄色またはかすかに緑色を帯びた黄色で美しい

季節 秋

分類 動物

歌舞伎・浄瑠璃外題辞典

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

初演 正徳5.7(大坂・沢村長十郎座)

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

初演 弘化3.7(江戸・市村座)

音曲 常磐津・長唄・河東

古典文学作品名辞典

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

分野 謡曲

年代 成立年未詳

作者 作者未詳

近代文学作品名辞典

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

作者 田川飛旅子

初出 昭和50年

ジャンル 句集

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

作者 野上弥生子

初出 大正9年

ジャンル 戯曲

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

作者 福永武彦

初出 昭和40年

ジャンル 小説

邯鄲

読み方：カンタン（ｋａｎｔａｎ）

作者 三島由紀夫

初出 昭和25年

ジャンル 戯曲

ウィキペディア

邯鄲市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2022/10/27 06:34 UTC 版)

邯鄲市（かんたん/ハンダン-し、簡体字: 邯郸、拼音: Hándān）は、中華人民共和国河北省南部に位置する地級市。京広線の沿線にあり、石炭業のほかセメント製造、鉄鋼業、紡績業、電子産業などが盛んであり、その交通の便から工業全体が伸びている。

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邯鄲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2022/08/07 04:58 UTC 版)

「近代能楽集」の記事における「邯鄲」の解説

「邯鄲」（かんたん）は1950年（昭和25年）、雑誌『人間』10月号に掲載された。三島は、原典『邯鄲』との違いについて、〈解釈は一見顛倒してゐるが、それは生活感情が顛倒してゐるせいで、謡曲の作者も現代に生れてゐれば、かういふ主題の展開法をとつたであらう〉とし、現代化するにあたり主題の展開を変化させている。 盧生は悟りに到達する前に邯鄲の枕に頭を横たへるが、次郎は悟後の心境で枕に伏し、むしろ邯鄲の枕といふ神秘を実験してやらうといふ探求心あるひは好奇心にかられてゐる。最初から懐疑が信仰の邪魔をしてをり、それを考へると悟達の心境といふものも、信によつてではなく、懐疑によつて到達されたものらしい。その少年がどういふ経緯を経て「生きたい」と叫ぶにいたるかが、新曲の主題である。 — 三島由紀夫「作者の言葉――邯鄲覚書」