魚類のせっそう病菌とは? わかりやすく解説

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魚類のせっそう病菌 [Aeromonas salmonicida]

 魚類病原体として1890年初めドイツ報告され淡水性または遡河(そか)性のサケ科魚類特有の病原細菌である。現在はオーストラリアとニュージーランド以外の全世界分布し、その被害大きく最も重要な魚病細菌一つである。この魚病感染発病した体側部に"せっそう(?瘡)"(furuncule)とよばれた半球状の膨隆体ができること特徴で、病名もそれに由来している。
せつそう病日本ではサケ科魚類養殖始まった1929年頃からヤマメ(サクラマス)、ヒメマス(ベニザケ)、アマゴ(ビワマス)、カワマスイワナ(アメマス)に発生し最近はギンザケ被害増加している。ほとんど全てのサケ科魚類がこの細菌感染するが、ニジマス比較的かかりにくい。この魚病が最も多発する時期5~6月次いで9~10月である。
症状急性の場合にはわずかに発赤出血みられる程度であるが、死亡率きわめて高い。亜急性または慢性になると体側部に膨隆体が現れて、じょじょ内臓筋肉(えら)、血管などが冒されて、ついには組織破壊され敗血症死亡する原因菌運動をしないエロモナスであるから非運動性エロモナス敗血症ともよばれている。
予防法としてワクチン実験的注射免疫効果はあり、欧米では注射ワクチン市販されている。治療法はおもにサルファ剤抗生物質などの化学療法剤が有効であるが、近年薬剤耐性菌問題がおきている。
せっそう病は病保菌がいる環境水中だけに生育していることから偏性病原菌に近い細菌で、空気有無によらず生育できる通性嫌気性グラム陰性運動しない桿菌(1×2μm)である。20-25、pH7付近塩分0-3%でよく生育する。この細菌メラニン似た水溶性褐色色素培地産生することが特徴である。また、タンパク質脂質分解し哺乳類魚類赤血球強く溶解(溶血)するが、褐色色素産生しない菌種(A.salmonicida var.achromogenes,A.salmonicida var.masoucida)も分離されている。ほとんど全ての菌株は共通のO抗原をもち、その病原性白血球溶解因子溶血毒素(サルモリジンなど)、タンパク質分解酵素その他の酵素や、細胞表面物質としてリポ多糖タンパク質などが関係する考えられている。
なお、ヘラブナ紅斑性皮膚炎原因菌褐色色素わずかに産生しキンギョ穴あき病(潰瘍性せつそう病)の原因菌色素産生しないせつそう病変異株である。




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