【運輸8】(うんゆはち)
西安 運輸8
中国人民解放軍などで運用されている軍用輸送機。Y-8とも呼ばれる。
ソ連・ウクライナのアントノフ設計局が開発したAn-12「カブ」輸送機をコピーしたものであり、国産のターボプロップエンジンを搭載している以外はほとんど同じである。
1969年から西安飛機工業公司で開発が始まり、1974年12月に初飛行、1981年から陝西飛機工業公司で量産が開始された。
オリジナルのAn-12が生産中止となった後も、2001年までに75機以上が生産されたといわれている。
派生型として、早期警戒機型や洋上哨戒機型、ELINT機型などが製作された。
また、中国空軍以外にも、スリランカ、タンザニア、ミャンマー、イラン、ジンバブエなどに輸出されている。
スペックデータ
乗員 | 2~5名(形式によって異なる) |
全長 | 34.02m |
全高 | 11.6m |
全幅 | 38.0m |
主翼面積 | 121.9㎡ |
空虚重量 | 35,490kg |
最大離陸重量 | 61,000kg |
エンジン | 哈爾浜 渦奨6(WJ-6)ターボプロップ(4,250馬力)×4基 |
速度 (最高/巡航) | 660km/h / 550km/h |
航続距離 | 5,615km |
固定武装 | 23I型23mm連装機関砲×1基(軍用型) |
派生型
- Y-8:
An-12Bがベースの基本型(軍用輸送型)。
- Y-8DZ:
Y-8に電子偵察機材を搭載した型。
- Y-8A:
シコルスキーS-70C輸送型。
An-12BP同様の機体だが、西側の航空貨物規格に適合する改修が施されており、貨物室が若干拡大されている。
- Y-8B:
民間輸送型。An-12B同様の非武装モデル。
- Y-8C:
軍民両用の貨物室与圧型。現行生産モデル。
- Y-8D:
Y-8Bの輸出型。
西側製アビオニクスを搭載しており、搭載する電子機器によってD/DⅡ/DⅢのサブタイプに分けられる。
- Y-8E:
WZ-5(CH-1)ドローン母機。
前方の与圧客室内にコントロール機器が装備されており、両外翼下面にドローン各1機を吊り下げることができる。
- Y-8F:
B型の改良型で民間向け貨物輸送型。
通常貨物のほか、与圧/温度調節装置を装備しており、家畜輸送にも使用可能。
- Y-8G(Y-8EW/ECM):
別名「高新4号」と呼ばれる電子戦機型。
胴体側面に大型のフェアリングを設けており、電子戦用アンテナを装備していると推測されている。
- Y-8G(Ⅱ)(Y-8ACP):
別名「高新3号」と呼ばれる、Y-8F-200をベースに改造された空中指揮管制/通信中継機型。
- Y-8T:
Y-8F-400をベースに開発された空中指揮機型。
- Y-8H:
空中測量/写真偵察型。
- Y-8J洋上偵察機(Y-8ASA):
Skymasterレーダーを搭載する早期警戒型。
機首にレーダーを搭載しており、特徴的なレドームの形状から「大鼻子」の渾名がある。
- Y-8X(Y-8MPA):
Y-8Cベースの洋上哨戒機型。西側製の電子機器を搭載しており、機首にはリットンカナダ(現ノースロップ・グラマン社の一部門)製のAN/APS-504(V)3水上捜索レーダーが搭載されている。
- Y-8AEW:
Y-8F-400ベースの早期警戒機型。
原型機との変更箇所としては、ロートドームを装備した関係で、空力上の安定性を確保するため水平尾翼に翼端板が取り付けられている。
- Y-8JB(Y-8 SIGINT):
別名「高新2号」と呼ばれるSIGINT機型。
- KJ-200(空警200):
別名「高新5号」と呼ばれる早期警戒機型。試作1号機はY-8F-200、試作2号機と3号機はY-8F-600ベース。
胴体上部にスウェーデンのエリクソン社製PS-890エリアイ(Erieye)早期警戒レーダーに似た細長い箱状のアンテナ・フェアリングが装備されている。
本機の開発と平行して、IL-76輸送機ベースのKJ-2000(空警2000)が開発されているため、KJ-200はKJ-2000を補完してAEW任務や電子偵察任務に当たるハイ・ローミックス的な運用が行われると想定されている。
- Y-8ASW:
別名「高新6号」と呼ばれる対潜哨戒機型。開発中のため詳細不明。
- Y-8XZ(Y-8EW/ECM):
別名「高新7号」と呼ばれる機体。
電子情報収集か電子妨害型と見られているが、正確な任務については不明。
- Y-8ELINT/KZ-800:
マレーシアで開催された兵器博覧会で展示されたY-8ベースの電子情報収集型。
- Y-8救護型:
Y-8Cに各種医療設備を搭載した機体。
最大54名の負傷者の搬送が可能(座席に15名+担架に39名)。
- 運輸8のページへのリンク