減圧蒸留
【英】: vacuum distillation
常圧蒸留の塔底油として得られる常圧残油中には潤滑油原料、接触分解原料などの有用な高沸点留分が含まれている。この高沸点留分を得るためには、常圧下では常圧蒸留装置の操作温度域よりさらに高い温度を必要とするが、この温度域では残油の熱分解が起こり、実用的でない。そこで熱分解の起こらない温度域で高沸点留分を蒸留分別するために蒸留塔内の圧力を減圧して蒸留する操作を減圧蒸留という。この減圧蒸留操作を行う装置が減圧蒸留装置であり、通称、バキューム(vacuum)あるいはバキューム・ユニット(vacuum unit)と呼ぶ。この装置は、蒸留塔内の圧力が水銀柱で 10 ~ 60mm と真空状態であることを除けば、基本的には常圧蒸留装置と異なるところは少ない。減圧蒸留装置には蒸留塔の精留度の違いにより、粗精留を行う減圧ブラッシングまたはバキューム・フラッシャー(vacuum flasher)と精留度の高い潤滑油留分を取り出すための減圧精留がある。間接脱硫や接触分解などの原料は粗精留した留出油(通常、減圧軽油または真空軽油と呼ぶ)でよいので、通常、バキューム・フラッシャーの留出油として採取する。一方、潤滑油原料を採取する場合は、各潤滑油製品の粘度規格に適合する側線油(サイド・ストリーム)を得るための精留が必要であり、通常、減圧精留塔を使用する。減圧精留塔の側部からは、軽質、中質、重質の各留分が得られ、それぞれの留分が必要な精製工程を経たあと、潤滑油の基材となる。減圧蒸留塔の塔底油は C 重油の混合基材またはアスファルトの原料となる。なお、減圧蒸留装置も常圧蒸留装置と同様に、石油業法では特定設備として指定されている。 |
減圧蒸留(げんあつじょうりゅう)
蒸留
(減圧蒸留 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 16:57 UTC 版)
蒸留(じょうりゅう、蒸餾、蒸溜、英: Distillation)とは、液体を加熱して、出てくる気体を冷やして再び液体にして集める方法をいう。一般に、混合物を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮する操作で利用されることが多い。この場合は、通常、目的成分が常温で液体であるか、融点が高々100℃程度の固体の場合に用いられる。共沸しない混合物であれば、蒸留によりほぼ完全に単離及び精製することが可能であり、この操作を特に分留という。
注釈
- ^ 2006年まで、単式蒸留の焼酎は焼酎乙類、連続式蒸留の焼酎は焼酎甲類と称した。
出典
- ^ 長倉三郎、他(編)、「精留」、『岩波理化学辞典』、第5版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。
- ^ 創業から続く「木桶蒸留」の話|伝兵衛蔵だより|伝兵衛蔵|濵田酒造、現代の名工 晴れの栄誉! |報道発表資料|厚生労働省_別添 平成23年度 卓越した技能者表彰_p.27_第13部門_おけ・たる製造工_津留辰矢_2011年11月14日(現代の名工)
- ^ 八重山の酒造所特有の直火釜蒸留での泡盛造り 泡盛ナビ、直釜とは - 焼酎・泡盛用語 Weblio辞書
- ^ 蒸留酒器の分類とツブロの伝来 - 200611鹿児島民具学会、ツブロ式焼酎蒸留器 文化遺産オンライン
- ^ 焼酎の伝播の検証と,その後に於ける焼酎の技術的発展_東京農大農学集報,54(4),219-229(2010)_農林水産省農林水産技術会議事務局筑波事務所、【蔵見学】実践!明治の球磨焼酎~兜釜蒸留の再現! 2013年04月19日の記事 _ 球磨焼酎専門店一期屋、兜釜とは - 焼酎・泡盛用語 Weblio辞書
減圧蒸留
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 03:14 UTC 版)
詳細は「減圧蒸留装置」を参照 蒸留は、大気圧下で実施する常圧蒸留と、系内を減圧にして行う減圧蒸留がある。沸点の極めて高い物質や、熱によって分解・反応してしまう物質は、減圧蒸留することで加熱を抑制することができる。 蒸留酒の製造においても常圧蒸留と減圧蒸留が使い分けられている。減圧蒸留の方がC5アルコールやエステル分を含むフーゼル油よりも沸点が低いエタノールを効率的に分離できるため、くせが少なくキレのよい蒸留酒となる反面で、材料毎の風味は生かし辛くなり、芳醇さが減る。
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「減圧蒸留」の例文・使い方・用例・文例
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