化学的消化
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化学的消化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 09:47 UTC 版)
唾液 唾液に含まれるアミラーゼによって、デンプンが、マルトースとデキストリンに分解される。米をかみ続けると甘く感じるのはマルトースの影響である。 胃液 胃液に含まれるペプシノーゲンが塩酸と反応してペプシンとなり、タンパク質をペプトンに分解する。 胆汁 胆汁は脂肪を乳化し、消化しやすくする。 膵液(すいえき) 膵液はアミラーゼ、トリプシン、ペプチターゼ、リパーゼなどの消化酵素を含み、三大栄養素全ての消化に関わる。アミラーゼがデキストリンを二糖類のマルトースに分解する。トリプシンがペプトンをトリペプチドやジペプチドやアミノ酸に分解し、ペプチターゼがポリペプチドをアミノ酸に分解する。リパーゼが脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する。なお、胃液に含まれる塩酸を中和し、むしろ腸内を弱塩基性にする作用もあり、膵液に含まれる消化酵素は、弱塩基性で作用を発揮しやすいようになっている。 腸液 炭水化物は膵液でマルトースまで分解され、最終的に小腸の上皮細胞に存在するマルターゼによって単糖類のグルコースに分解される。また、小腸の上皮細胞では、デンプンの分解産物の一部を分解するためのイソマルターゼ(英語版)、ショ糖を分解するためのスクラーゼ、乳糖を分解するためのラクターゼ、トレハロースを分解するためのトレハラーゼなどの二糖類加水分解酵素により、単糖類のグルコース、フルクトース、ガラクトースなどにまで分解されて初めて腸管からの吸収が可能となる。 大腸 大腸の主要な機能は食物の難消化性成分(いわゆる食物繊維)の腸内細菌による分解産物の吸収、水分および塩分の吸収である。大腸が分泌する弱塩基性の大腸液には消化酵素が含まれず、これは粘液として大腸壁の保護や内容物の輸送を促す作用を担う。その代わり、大腸内での物質の分解は腸内細菌が行う。つまり、小腸までで消化できなかった物を、腸内細菌に分解してもらうわけであり、これを発酵作用と呼ぶ。腸内細菌による分解を通じて物質を吸収可能な分子にまで変換させるのである。その過程で酪酸や酢酸などの有機酸や、メタンなどの気体が生じる。また、アミノ酸の分解においてインドールやスカトールなども生じ、これらが排泄物の臭いの一因となる。 大腸の組織(大腸上皮細胞)の代謝には、腸内細菌による発酵作用で生成されて吸収された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源として直接利用され、さらに余剰部分が全身の組織のエネルギー源として利用される。ウマなどの草食動物ではこの大腸で生成された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源になっているが、ヒトでも低カロリーで食物繊維の豊富な食生活を送っている場合には、この大腸での発酵作用で生成された短鎖脂肪酸が重要なエネルギー源となっている。また、腸内細菌の活動によって生成されるビタミンがあることも知られている。
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