1972年のル・マン24時間レース 1972年のル・マン24時間レースの概要

1972年のル・マン24時間レース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/05 06:55 UTC 版)

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1972年のル・マン24時間レース
前年: 1971 翌年: 1973
1972年のコース

概要

1972年から車両規定が変更され、3リットル・スポーツプロトタイプのみが出走可能となり前年までの主役だったポルシェ・917フェラーリ・512Sなどの5リットル・スポーツカーはル・マン24時間レースから締め出されることになった。

この年の選手権において開幕から8連勝して、前戦のニュルブルクリンク1000kmでチャンピオンを獲得したフェラーリは、3月のルマン・テストデイに参加し、フェラーリ・312PBのテストを重ねるなど、出場は確実視されていたが、6月1日になって急遽不参加を表明した。理由として「312PBは1000kmレース参加を前提に開発を行ってきたため、24時間レースには出走できない」と発表した[1]。実際、テスト中の312PBにトラブルが発生したといわれている[2]。この決定はチーム監督のピーター・シェッティも直前まで知らされていなかった[1]

フェラーリの不参加で優勝候補の本命と目されたマトラは、ル・マン24時間レース制覇という目標のため、ニューマシンMS670を3台投入。予備としてMS660Cも持ち込んで万全を期した。その対抗馬として、1970年のル・マン24時間レース以来の出場となるアルファロメオが33TT3を持ち込んだ。

前年優勝したポルシェは前述の車両規定変更によりワークスチームが撤退、908910が複数のチームから出走。また、フォード・カプリRSとBMW2800CSが新設されたツーリングカー・クラスからエントリーした。

予選

マトラがポールポジションのフランソワ・セベール/ハウデン・ガンレイ組を筆頭に予選3位までを独占した。

決勝

優勝したマトラ・MS670、15号車

この年の名誉スターターであるフランス大統領ジョルジュ・ポンピドゥーの合図によりレースがスタート[3]。マトラの3台がスタート直後から飛び出したが、ジャン=ピエール・ベルトワーズのマシンが2周目にコネクティングロッドの破損のため出火しアルナージュ付近でリタイアとなった[4][5]。1時間終了時点の順位は1位がローラ・T280で、それを3台のマトラが追う状況。その後ローラが後退して、マトラ勢が首位を争う展開になった。翌11日の午前6時半過ぎにジィズ・ヴァン・レネップがドライブするローラがファステストラップを記録するが、7時50分にヴァン・レネップから交代したヨアキム・ボニエフェラーリ・365GTB/4との接触によってガードレール上を飛び越してしまい、それによりボニエが死亡する事故が発生した。

マトラはセベール組が首位を独走していたが、10時過ぎに降り出した雨による電気系統のトラブルによるピットインの間にアンリ・ペスカロロ組が首位に立ち、こののちセベールから交代したガンレイがスピンして再びピットに入り遅れた[6]

結果

ペスカロロ組が首位を守り切りセベール組に10周の差をつけてゴール。3位を走っていたMS660Cのリタイヤにより表彰台の独占を逃した[6]ものの、1 - 2フィニッシュでマトラがル・マン初優勝を記録した。フランス車がル・マン24時間レースを制するのは、1950年タルボ・ラーゴ以来であった[7]。優勝したヒルはモナコグランプリインディ500にも優勝経験があり、2018年現在唯一の世界三大レースを制したドライバーとなった。

マトラの対抗馬と目されていたアルファロメオはヴァッカレラ/デ・アダミッチ組が4位に入ったのみで他の2台はリタイヤという結果に終わった。

順位 クラス 号車 チーム ドライバー シャシ 周回数
エンジン
1 S
3.0
15 エキップ・マトラ-シムカシェル アンリ・ペスカロロ
グラハム・ヒル
マトラ・シムカMS670 344
マトラ・3.0リットルV型12気筒
2 S
3.0
14 エキップ・マトラ-シムカシェル フランソワ・セベール
ハウデン・ガンレイ
マトラ・シムカMS670 333
マトラ・3.0リットルV型12気筒
3 S
3.0
60 ジョー・シフェール・A.T.E.レーシング ラインホルト・ヨースト
ミシェル・ウエーバー
マリオ・カゾーニ
ポルシェ・908LH 325
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒
4 S
3.0
18 アウトデルタSpA ニーノ・ヴァッカレラ
アンドレア・デ・アダミッチ
アルファロメオ・ティーポ33TT3 307
アルファロメオ・3.0リットルV型8気筒
5 GT
5.0
39 シャルル・ポッジ ジャン=クロード・アンドリュー
クロード・バロー=レナ
フェラーリ・365GTB/4 306
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
6 GT
5.0
74 ノースアメリカン・レーシングチーム (NART) サム・ポージー
トニー・アダモヴィッツ
フェラーリ・365GTB/4 304
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
7 GT
5.0
34 スクーデリア・フィリピネッティ マイク・パークス
ジャン=ルイ・ラフォッス
ジャン=ジャック・コシェ
フェラーリ・365GTB/4 302
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
8 GT
5.0
36 エキュリー・フランコルシャン デレック・ベル
テディ・ピレット
リチャード・ボンド
フェラーリ・365GTB/4 301
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
9 GT
5.0
38 ノースアメリカン・レーシングチーム (NART) ジャン=ピエール・ジャリエ
クロード・ブシュー
フェラーリ・365GTB/4 297
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
10 T
3.0
54 フォード・モーター・カンパニー・ドイッチュランド ジェリー・ビレル
クロード・ブルゴワーニュ
フォード・カプリ2600RS 292
フォード・3.0リットルV型6気筒
11 T
3.0
52 フォード・モーター・カンパニー・ドイッチュランド ディエター・グレムサー
アレックス・ソーラー=ロイグ
フォード・カプリ2600RS 289
フォード・3.0リットルV型6気筒
12 S
3.0
68 ダッカムスオイル・モーターレーシング アラン・ド・キャドネ
クリス・クラフト
ダッカムス・LM
(ブラバム)
288
フォードコスワースDFV型3.0リットルV型8気筒
13 GT
3.0
41 Louis Meznarie シルベイン・ギャラン
ユルゲン・バルト
マイケル・ケイサー
ポルシェ・911S 285
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
14 S
2.0
27 ルネ・リゴネット - コダック ルネ・リゴネット
バリー・スミス
ローラ・T290 284
フォードコスワース・FVC型1.8リットル直列4気筒
15 GT
+5.0
4 ノースアメリカン・レーシングチーム (NART) デーブ・ハインツ
ロバート・B・ジョンソン
シボレー・コルベットZL1 284
シボレー・7.0リットルV型8気筒
16 GT
+5.0
32 クロード・デュボ ジャン=マリー・ジャクェミン
イヴ・デプレ
デ・トマソ・パンテーラ 282
フォード・5.8リットルV型8気筒
17 GT
3.0
46 ノースアメリカン・レーシングチーム (NART) ジャン=ピエール・ラフェッチ
ジル・ドンシュー
フェラーリディーノ・246GT 265
フェラーリ・ディーノ2.4リットルV型6気筒
18 S
2.0
24 ウィッキー・レーシングチーム ピーター・マトリ
Hervé Bayard
ヴァルター・ブルン
ポルシェ・907 252
ポルシェ・2.0リットル水平対向6気筒

周回数不足

Failed to cover 70% of winner's distance (240 laps)

順位 クラス 号車 チーム ドライバー シャシ 周回数
エンジン
19 S
3.0
67 Christian Poirot Christian Poirot
フィリップ・ファルジョン
ポルシェ・908/2 206
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒

リタイヤ

順位 クラス 号車 チーム ドライバー シャシ 周回数
エンジン
20 S
3.0
16 エキップ・マトラ-シムカシェル ジャン=ピエール・ジャブイーユ
デビッド・ホッブス
マトラシムカMS660C 278
マトラ・3.0リットルV型12気筒
21 S
3.0
5 エスクデリア・モンジュイック フアン・フェルナンデス
フランチェスコ・トレデメール
Eugenio Baturone
ポルシェ・908/3 ?
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒
22 S
3.0
19 アウトデルタSpA ロルフ・シュトメレン
ナンニ・ギャリ
アルファロメオ・ティーポ33TT3 263
アルファロメオ・3.0リットルV型8気筒
23 S
3.0
6 Hans-Dieter Weigel Hans-Dieter Weigel
ヘルムート・クラウス
ポルシェ・908/2 244
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒
24 GT
+5.0
29 グレデール・レーシングチーム アンリ・グレデール
マリー=クロード・シャルマッソン
シボレー・コルベット 235
シボレー・7.0リットルV型8気筒
25 S
3.0
17 アウトデルタSpA ヴィック・エルフォード
Dr. ヘルムート・マルコ
アルファロメオ・ティーポ33TT3 232
アルファロメオ・3.0リットルV型8気筒
26 GT
5.0
57 ノースアメリカン・レーシングチーム (NART) ルイジ・キネッティJr.
マステン・グレゴリー
フェラーリ・365GTB/4 226
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
27 S
3.0
8 エキュリー・ボニエ・スウィッツランド ヨアキム・ボニエ
ジェラール・ラルース
ジィズ・ヴァン・レネップ
ローラ・T280 213
フォードコスワースDFV型3.0リットルV型8気筒
28 GT
3.0
42 クロード・アルディ クロード・アルディ
ポール・ケラー
"Gédéhem"
ポルシェ・911S 208
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
29 GT
5.0
35 スクーデリア・フィリピネッティ ベルナール・シェネヴィエ
Florian Vetsch
Gérard Pillon
フェラーリ・365GTB/4 204
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
30 S
3.0
22 オトモビル・リジェ ピエール・モーブラン
ジャック・ラフィット
リジェ・JS2 195
マセラティ・3.0リットルV型6気筒
31 GT
+5.0
71 Ecurie Léopard ジャン=クロード・オーブリエ
"デプニック"
"シルベイン"
シボレー・コルベット 188
シボレー・7.0リットルV型8気筒
32 S
3.0
65 "Novestille" Louis Cosson
ジャン=ルイ・ラヴァネル
ポルシェ・910 188
ポルシェ・2.4リットル水平対向6気筒
33 S
3.0
56 クロード・ローラン クロード・ローラン
マーシャル・デラランデ
ジャック・マルシェ
リジェ・JS2 186
マセラティ・3.0リットルV型6気筒
34 GT
3.0
45 レイモン・トゥーロール "リー・バナー"
ドモニーク・バルディーニ
ポルシェ・911S 183
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
35 T
3.0
53 フォード・モーター・カンパニー・ドイッチュランド ヨッヘン・マス
ハンス=ヨアヒム・スタック
フォード・カプリ2600RS ?
フォード・3.0リットルV型6気筒
36 S
3.0
76 Jean Egreteaud Jean-Claude Lagniez
レイモン・トゥーロール
ポルシェ・908/2 83
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒
37 GT
+5.0
72 ジョン・グリーンウッド・レーシング ベルナール・ダルニッシュ
アラン・クディーニ
ジョン・グリーンウッド
シボレー・コルベット 82
シボレー・7.0リットルV型8気筒
38 S
2.0
23 ブライアン・ロビンソン ブライアン・ロビンソン
ジャン・ロンドー
シェブロン・B21 76
フォードコスワース・FVC型1.8リットル直列4気筒
39 T
3.0
49 チーム・シュニッツァー - モチュール ハンス・ヘイヤー
René Herzog
BMW 2800CS 70
BMW 3.0リットル直列6気筒
40 GT
3.0
44 ジャン・サージュ ジャン・サージュ
ゲオルグ・ルース
フランツ・ペッシュ
ポルシェ・911S 64
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
41 GT
5.0
37 マラネロ・コンセッショネアーズ ピーター・ウエストボリー
John Hine
フェラーリ・365GTB/4 72
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
42 GT
+5.0
28 ジョン・グリーンウッド・レーシング ジョン・グリーンウッド
Dick Smothers
シボレー・コルベット 53
シボレー・7.0リットルV型8気筒
43 GT
3.0
80 ポルシェ・クレマー・レーシングチーム ジョン・フィッツパトリック英語版
エルヴィン・クレマー
フアン・カルロス・ボラノス
ポルシェ・911S 39
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
44 GT
3.0
79 Jean-Pierre Gaban Hermes Delbar
ロジャー・ヴァン・ダー・シュリック
ポルシェ・911S ?
ポルシェ・2.4リットル水平対向6気筒
45 GT
+5.0
30 エスクデリア・モンジュイック ホセ・ジュンカデッラ
フェルナンド・デ・バヴィエラ
デ・トマソ・パンテーラ 36
フォード・5.8リットルV型8気筒
46 GT
+5.0
31 エスクデリア・モンジュイック ヘルベルト・ミューラー
コックス・コシェ
デ・トマソ・パンテーラ 36
フォード・5.8リットルV型8気筒
47 S
2.0
69 ミシェル・デュポン ミシェル・デュポン
Jean-Paul Bodin
シェブロン・B19/21 29
フォードコスワース・FVC型1.8リットル直列4気筒
48 T
3.0
84 Shark Team Jean-Claude Guérie
Jean-Pierre Rouget
フォード・カプリ2600RS 26
フォード 3.0リットルV型6気筒
49 S
3.0
7 エキュリー・ボニエ・スウィッツランド ヒューズ・ド・フィラント
Jorge de Bagration
Mário de Araújo Cabral
ローラ・T280 26
フォードコスワースDFV型3.0リットルV型8気筒
50 GT
3.0
40 ルネ・マッツィア ピエール・モーロイ
マルセル・ミジョー
ポルシェ・911S 27
ポルシェ・2.5リットル水平対向6気筒
51 GT
5.0
75 シャルル・ポッジ フランソワ・ミゴール
ダニエル・ルーヴェイラン
フェラーリ・365GTB/4 22
フェラーリ・4.4リットルV型12気筒
52 S
3.0
58 ボッシュ・レーシングチーム Walter Roser
オットー・ストゥパッヒャー
ポルシェ・908/2 11
ポルシェ・3.0リットル水平対向8気筒
53 S
3.0
21 オトモビル・リジェ ギ・リジェ
ジャン=フランソワ・ピオ
リジェ・JS2 7
マセラティ・3.0リットルV型6気筒
54 S
+3.0
33 ソシエテ・フランコ=ブリタニック ギ・シャスイーユ
ジャン・ヴィナティエ
デ・トマソ・パンテーラ 3
フォード・5.8リットルV型8気筒
55 S
3.0
12 エキップ・マトラ-シムカシェル ジャン=ピエール・ベルトワーズ
クリス・エイモン
マトラ・シムカMS670 1
マトラ・3.0リットルV型12気筒



  1. ^ a b 『オートスポーツ』、28頁。
  2. ^ 檜垣和夫 『スポーツカープロファイルシリーズ3 フェラーリ P / P2 / P3 / P4 / DINO / LM / 312P/PB / 512S/M』 二玄社、2007年、236頁。
  3. ^ クエンティン・スパーリング著、新宿仁成・野澤一幸訳 『ル・マン24時間レース 栄光の時代'70〜'79』 スタジオタッククリエイティブ、2012年、ISBN 978-4-88393-512-3、85頁。
  4. ^ 『オートスポーツ』、27頁。
  5. ^ 檜垣(2010)、85頁。
  6. ^ a b 檜垣(2010)、86頁。
  7. ^ 檜垣(1999)110頁。
  8. ^ a b c 檜垣(1999年)212 - 213頁。


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