緑茶
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日本における緑茶
公益社団法人日本茶業中央会は緑茶の茶種を以下の17種類に分類しており、消費者庁の食品表示企画課による食品表示基準Ｑ＆Ａにおいても、同一の分類が採用されている[25]。以下はこの17種類を全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会の整理[37]に従って並べたものである：
| 蒸して殺青 | 煎茶(広義) | (普通)煎茶 |
| 深蒸し煎茶 | ||
| 蒸し製玉緑茶（グリ茶） | ||
| 番茶または川柳 | ||
| 被覆茶[39] | かぶせ茶 | |
| 玉露 | ||
| 抹茶 | ||
| 再加工茶 | ほうじ茶 | |
| 玄米茶 | ||
| 粉末茶 | ||
| 固形茶[注 2] | ||
| インスタントティー[注 2] | ||
| 副産物(出物) | 茎茶または棒茶 | |
| 粉茶 | ||
| 芽茶[注 2] | ||
| 釜炒りで殺青 | 釜炒り製玉緑茶（釜炒り茶） | |
| 複数茶種を混合 | 混合茶[注 2] | |
普及率は煎茶(56.7%)、碾茶（抹茶の原料、5.1％）、かぶせ茶（2.8％）、玉緑茶（2.2％）、玉露（0.8％）である（令和5年現在）[42]。
飲料傾向としては緑茶のリーフ茶（茶葉から淹れる茶の事[43]）が減少傾向なのに対し、ペットボトルなどの緑茶飲料は増加傾向で推移しており[42]、１世帯当たりの年間支出金額を両者で合計したものは11,000円程度で10年程度横ばいである（令和5年現在）[42]。
日本で生産される茶は緑茶で使われる中国種が多く、中でも「やぶきた」は62.2％を占める（令和4年度現在）[42]。これは「煎茶としての品質が極めて優れ、集約的管理を行えば高い収量を上げること」による[44]。
また抹茶用には「やぶきた」のみならず「あさひ」や「ごこう」のような品種が使われており[45]、さらに中国種とアッサム種の交雑種で紅茶などのために開発された「べにふうき」も栽培されている。
産地は生産量の多い順に静岡県、鹿児島県、三重県、京都府、福岡県であり、これらで全体の7割を占める（令和5年現在）[42]。生産する茶種は県より差がある：
| 県名 | 特徴 |
|---|---|
| 静岡県、鹿児島県、宮崎県 | 煎茶が主体 |
| 三重県、奈良県、福岡県 | かぶせ茶の生産が多い |
| 長崎県、佐賀県、熊本県 | 玉緑茶の生産が多い |
| 京都府 | 玉露や碾茶（抹茶の原料）の生産が多い |
日本の煎茶、玉露、および抹茶の製造工程は以下のようになる。なお以下の表で茶農家が「荒茶の製造工程」を実施して得られるのが「荒茶」で[46]、これを茶問屋が購入して以下の表の「仕上げ茶の製造工程」を行って得られる茶を「仕上げ茶」である[46]。
| 茶農家の作業 | 茶問屋の作業 | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 茶園での工程 | 荒茶の製造工程 | 仕上げ茶の製造工程（典型例[47]） | ||||||||||
| 覆下栽培 | 摘採 | 蒸し | 冷却 | 揉み | 乾燥 | 選別 | 煉り乾燥 | 切断・選別 | 乾燥 | ブレンド(合組) | 臼挽き | |
| 煎茶 | － | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | － | － | ◯ | ◯[注 3] | ◯ | － |
| 玉露 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | － | － | ◯ | ◯[注 3] | ◯ | － |
| 抹茶 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | － | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | － | ◯ |
緑茶の歴史
日本のお茶栽培は、1191年に臨済宗の開祖栄西禅師が長崎県平戸市千光寺と佐賀県脊振山（現・吉野ヶ里町）の山腹に宋時代の中国から持ち帰った種をまいたのが始まり。茶栽培を始めたのは佐賀県の旧・東脊振村の霊仙寺で、明恵が茶園をつくって栽培した粉末状の茶「抹茶」である。現代で日常的によく飲まれる「煎茶」は、1738年に山城国宇治田原郷湯屋谷村（現・京都府綴喜郡宇治田原町湯屋谷）の茶農家であった永谷宗円が15年の歳月をかけてその製法（青製煎茶製法）を生み出したことが始まりである。宗円は完成した茶を携えて江戸に赴き、茶商の山本嘉兵衛に販売を託したところ、たちまち評判となり、以後「宇治の煎茶」は日本を代表する茶となった。自身が開発した製茶法を、宗円は惜しみなく茶業者に伝えたため、「永谷式煎茶」「宇治製煎茶」は全国に広がることとなった。江戸時代には各地で喫茶の習慣が庶民にも広まったが、これは、京都で日本初の喫茶店「遊仙亭」を開いて庶民に煎茶を広めた「煎茶道の祖」と称されている佐賀県出身の売茶翁の功績が大きいといわれている。
開国から明治前半にかけては日本の主要輸出商品となり[48]、1882年には日本国内の生産量の82％が輸出されていた[49]。しかし、流通過程で混ぜ物がされた粗悪品による信用の失墜[49]や軽工業製品の輸出増加により、緑茶輸出の比重は低下していった。
注釈
出典
- ^ a b c d e #大森 第四章３節の「緑茶は「味」が勝負」より。本書では煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶のアミノ酸/カテキン/カフェインの含有量を紅茶と比較しているので、本項の以下の記述における「緑茶」はこれに準ずる。
- ^ a b c d e f g h i j k #大森 第４章２節の「緑茶らしい香りの成分」より
- ^ a b c #大森 第一章１節の「作り方で色も風味も変わる」と２節の「お茶における「発酵」とは」より
- ^ a b c #大森 第一章２節の『緑茶「非発酵茶」』の「(1)玉露」と「(5)抹茶」より
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- ^ #大森 第一章の『緑茶「非発酵茶」』の節の「(5)抹茶」より
- ^ #大森 第一章１節の「世界に広まった２つの種」の節より
- ^ #大森 第四章３節の「「本当の紅茶」の味を知っていますか？」より。
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- ^ 朝日新聞 2020/7/11
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