特別急行列車 特急乗務員

特別急行列車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 15:36 UTC 版)

特急乗務員

鉄道事業者によっては、特急列車に専用乗務員を充て、かつ特急乗務員専用行路を与えていることもある。特に運転士にいたっては、運転技術で選抜された者や、特別な研修・実地訓練を受けた者に対してその任務が充てられることがある。

  • JR各社
    • 在来線の場合:概ね制限はない(新任運転士でも乗務することがある)。
    • 新幹線の場合:在来線運転士を数年間経験し、選抜試験を通過して研修と実地訓練を受け、操縦免許の転換試験に合格した者。ただし例外もある。
  • 近畿日本鉄道の場合:運転士と車掌を5年以上経験した者で、研修と実地訓練を受けた者。
  • 京阪電気鉄道の場合:一般列車を半年以上乗務した者。(8000系0番台30番台使用で淀屋橋 - 出町柳の全区間運転列車のみ)
  • 南海電気鉄道の場合:南海本線では選抜された者。高野線では希望調査。
  • 西日本鉄道の場合:一般列車を1年以上乗務し、研修を受けた者。

鉄道以外における「特急」

特急バスの例:山陰特急バス(日本交通)

バスにおいても、特に停車する停留所を限定している系統が「特急」を名乗る場合がある(例:特急仙台・山形線山陰特急バス)。ただしその中でも高速道路を主として走行する物は「高速バス」と呼ばれることが多い。「高速バス」「急行バス」の項目も参照のこと。

ちなみに阪急バスでは、高速バスの方向幕表示を通常「高速 高知」「高速 長野」などと表示しているが(LED 幕車では行き先のみ表示)、スーパーノンストップ便に関しては「特急 福岡」「特急 有馬温泉」と標示し、「特急」を「高速」よりも格上の存在と位置づけている。

フェリーに関しては1971年から2005年まで、「特急」と冠した「大阪高知特急フェリー」が存在した。

日本国外の例

列車種別の分類は国や鉄道事業者によってまちまちであるが、そのうち他の列車より速い、専用車両を用いる、特別料金を必要とするなど、日本の特急に近い性格を持つもののことを、日本語で「特急」と表記することがある。ただし正確を期する必要のある場合には原語表記やその直訳、仮名転写などが用いられる。またTGVICEなどの高速鉄道の列車は「超特急」や「新幹線」と訳されることもある。

韓国では、1984年まで韓国国鉄において「トゥックプ(特急)」という種別が存在した。同年以降、長らく韓国に「特急」という種別は存在しなかったが、2017年より首都圏電鉄1号線京釜線京仁線)の速達列車として「特急」が新設された。なお、現在の韓国鉄道公社(KORAIL)の長距離座席指定列車であるKTXITX-セマウルなどの列車では、観光ガイドなどで便宜的に「特急」という表現が使われることがあるものの[36]、愛称が列車種別を兼ねているため、正式には「特急」の名称は使用していない。

米国には、特別料金を支払って乗車する上等客のみを扱う "LIMITED" (リミテッド)と呼ばれる豪華列車が1910年代から運転されたが、「特急」に該当する列車種別は無い。過去の代表的なリミテッドには、ニューヨーク・シカゴ間をノンストップで結んだ「20世紀特急」(20th Century Limited)やニューヨーク・ワシントンDC・シンシナティ・セントルイスを結んだ「ナショナル特急」(National Limited)があった。21世紀の現代にアムトラックが運行する列車の愛称にはレイクショア・リミテッドキャピトル・リミテッドのようにリミテッドを名乗るものがあるが、他の旅客列車と種別が異なるものではない。

欧州では、古くから日本の特急に相当する列車の運転が盛んである。イタリアでは1936年から電車による特急列車が運転された。1957年にはヨーロッパ各地を日帰りで行き来できるビジネスライクな TEE 列車網が整備され、これらの列車には特別急行券を必要とした。その後はインターシティ "InterCity (IC)" 列車に変更された。これは都市間連絡を主たる目的とする在来線優等列車であり、21世紀において欧州では TGV や ICE などのいわゆる新幹線タイプの特急列車が中心である。しかし、かつては「ラインゴルト」、「ミストラル」、「ゴールデンアロー」、「セッテベッロ」などの著名な特急列車が運転され、高速なだけでなく、その走行区間において最も豪華な列車として運転されていた。これらの特急列車はほとんどが一等(三等級時代は一、二等)のみで編成され、パーラーカーや食堂車やバー、ブチックやラウンジを備えていた。これらの列車には他の列車より高額であり、特別急行券を必要としていた。


注釈

  1. ^ 例外ではあるが2015年3月のダイヤ改正時点でも有料特急の所要時間が通勤快速と同等の路線がある(JR 京葉線 特急/東京 18:00 発→蘇我 18:33 着 所要時間 33 分 、通勤快速/東京 18:16 発→蘇我 18:49 着 所要時間 33 分)。また、特急停車駅の「海浜幕張駅」を通勤快速は通過するのも異例である[1]
  2. ^ 私鉄では速達列車は料金徴収の有無を問わず優等列車として扱われることもあるが、料金不要列車も優等列車の範疇に含めるかどうかは事業者によって異なり、京王電鉄のように料金不要列車には速達列車であっても優等列車という表現を用いない事業者もある(優等列車#私鉄も参照)。なお、料金徴収の特急列車が運行されている会社は、料金不要の最速種別は「快速急行」や「急行」となる。
  3. ^ なお、鉄道ファン1991年12月号のキハ80系・キハ181系の記事によると、当時の時刻表の編成図には、一等車は「ロ」、二等車は「ハ」、食堂車は「シ」と記載されていたため、編成は「ハ・ハ・ハ・シ・ロ・ハ」となり、「はっ、はっ、はっ白歯」と駄洒落めいた表現で編成内容を覚えることができたとされる。
  4. ^ 電源・荷物車込みとなるため車号番号としては14号車までとなる。
  5. ^ 「はやぶさ」自体は厳密には20系客車時代にも15両編成にもなったが、1両の長さが標準的なナハネ20形車両では20.5mであるが、1985年当時使用の24系25形で標準となるオハネ25形車両であると21,3mとなることから。
  6. ^ なお「彗星」の末期は多客時でも6両編成であった。
  7. ^ なお、「やまびこ」・「つばさ」の東京駅 - 福島駅間の17両編成でも車両の両数上同数となるが、E2系電車E3系電車E5系・H5系電車E6系電車の先頭車両の差により、「はやぶさ」・「こまち」となる。
  8. ^ 185系15両編成「踊り子」は1981年10月の列車設定当時より2021年3月13日改正まで在来線電車特急列車では最長だった。
  9. ^ 「みずほ」については「こだま」登場以降だが、運行当初は在来形車両での運行であるためこれに含める。
  10. ^ 例えば、「あさかぜ」は薄水色、「さくら」は桃色、「はやぶさ」は黄色、「みずほ」は水色で文字が黄色。
  11. ^ ちなみに行先表示器上では「各駅停車(快速)/相鉄線内特急」表示。
  12. ^ JRでいう「快速」に相当する。なお、小田急電鉄小田原線内において料金不要の「急行」として走る常磐緩行線も同様の記載があるが、小田急線内準急となる列車には記載がない。
  13. ^ ただ、当時は名古屋線大阪線で軌間が異なっていたため、伊勢中川駅での乗り換えを要していた。近鉄において名阪間の直通運転が可能になったのは1959年12月のことである(近鉄特急史も参照のこと)。

出典

  1. ^ JTBパブリッシング 『JTB時刻表』2015年3月号 京葉線のページを参照。
  2. ^ 『鉄道旅行案内. 大正5年版』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ 『鉄道省年報. 大正12年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ a b c 『鉄道省年報. 昭和4年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 決戦に備えて旅行を大幅制限(昭和19年3月15日 毎日新聞(東京) 『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p783 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  6. ^ 『鉄道省年報. 昭和5年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ PHP研究所 梅原淳『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 特急列車のすべて』p.78
  8. ^ 『貨物鉄道百三十年史(中巻)』日本貨物鉄道株式会社、平成19年(2007年)6月 平成19年(2007年)。 
  9. ^ a b 寺本光照「阪和線 列車運転史」『鉄道ピクトリアル』第728巻、鉄道図書刊行会、2003年2月、50頁。 
  10. ^ 寺本光照「阪和線 列車運転史」『鉄道ピクトリアル』第728巻、鉄道図書刊行会、2003年2月、51頁。 
  11. ^ PHP研究所 梅原淳『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 特急列車のすべて』2010年7月 p.30 - p.31
  12. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 1号 北海道―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、54-55頁。ISBN 978-4107900357 
  13. ^ a b 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 11号 中国四国―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、56頁。ISBN 978-4107900456 
  14. ^ a b c 2022年12月17日(土)初発より阪急全線(神戸線・宝塚線・京都線)でダイヤ改正を実施 ~2024年に京都線で座席指定サービスを開始します~』(PDF)(プレスリリース)阪急電鉄株式会社、2022年10月12日。 オリジナルの2022年10月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20221012051939/https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/dd2e3f9dbc4759095b47e378f4d54e59336a79ac.pdf 
  15. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 5号 首都圏私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、47頁。ISBN 978-4107900395 
  16. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 5号 首都圏私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、48頁。ISBN 978-4107900395 
  17. ^ a b 2019年3月16日(土) 東武東上線ダイヤ改正 東上線に新種別「川越特急」が誕生します (PDF) - 東武鉄道、2019年1月17日
  18. ^ 2022年3月12日(土)始発から京王線ダイヤ改正を実施します』(PDF)(プレスリリース)京王電鉄、2022年1月27日https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2021/nr20220127_daiya.pdf#page=42022年3月14日閲覧 
  19. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 6号 北信越―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、56頁。ISBN 978-4107900401 
  20. ^ a b 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、50頁。ISBN 978-4107900418 
  21. ^ a b 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、51頁。ISBN 978-4107900418 
  22. ^ 徳田耕一『名鉄の廃線を歩く』JTB、2001年、36頁。ISBN 978-4533039232 
  23. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、54頁。ISBN 978-4107900418 
  24. ^ 徳田耕一『名鉄 昭和のスーパーロマンスカー』JTBパブリッシング、2015年、75頁。ISBN 978-4533106392 
  25. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、53頁。ISBN 978-4107900418 
  26. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、55頁。ISBN 978-4107900418 
  27. ^ a b 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 7号 東海―全線全駅全優等列車』新潮社、2010年、48頁。ISBN 978-4107900418 
  28. ^ a b c 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、33頁。ISBN 978-4107900449 
  29. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、43頁。ISBN 978-4107900449 
  30. ^ a b c 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、48頁。ISBN 978-4107900449 
  31. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、51頁。ISBN 978-4107900449 
  32. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、57頁。ISBN 978-4107900449 
  33. ^ 週刊『歴史でめぐる鉄道全路線・大手私鉄No.10・京浜急行電鉄』
  34. ^ 今尾恵介、原武史(監修)『日本鉄道旅行歴史地図帳 10号 関西私鉄―全線全駅全優等列車』新潮社、2011年、55頁。ISBN 978-4107900449 
  35. ^ 『鉄道ジャーナル』鉄道ジャーナル社 1971年8月号(通巻52号)57頁、61-62頁
  36. ^ 一例として、ソウルから地方への行き方~鉄道編~ - コネスト
  37. ^ 路線図|京王グループ”. 京王電鉄. 2017年1月15日閲覧。
  38. ^ デビット・ベネット (2021年5月3日). “外国人が語る東京の「鉄道表記」難しすぎる問題”. 東洋経済オンライン. 2022年12月10日閲覧。





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