河井夫妻選挙違反事件
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事件の影響
地方政治家の辞職(東京第六検察審査会の議決より前)
東京第六検察審査会の議決後の辞職は「河井夫妻選挙違反事件#東京第六検察審査会の議決後の議員辞職」を参照。
- 2020年4月に広島県安芸太田町長の小坂眞治が[376][377]、6月には三原市長の天満祥典が[378]、7月には安芸高田市長・児玉浩が克行から不正な現金を受領したことを認めて辞職した[379]。他に広島県安芸郡府中町会議員の繁政秀子が6月に議員辞職した[380]。繁政は案里の後援会長だった[381]。更に7月15日、広島県北広島町で町会議長・宮本裕之が現金受領を認め、議員辞職を表明[382][383]。7月17日には安芸高田市議会の前議長・先川和幸、前副議長・水戸真悟、青原敏治の3人が議員辞職[384]。その後、このうち先川和幸は2020年11月の安芸高田市議会一般選挙に出馬、当選し安芸高田市議会議員に返り咲いた[385]。
- 2020年9月17日、安芸太田町議会本会議で全会一致で辞任が許可された矢立孝彦は議長辞任、また、矢立に議員辞職を求める辞職勧告決議案が議員提案されが、矢立と議長を除く10人で採決し、賛成4、反対6で否決され町議は続ける[386]。2021年3月28日に投開票された安芸太田町議会議員選挙で、矢立孝彦は再選した[387]。
地方議会の動き
地方政治家の辞職勧告決議案
- 可決
2020年7月10日、呉市議会は、河井克行から現金30万円を受け取ったことを認めた市議・土井正純に対する辞職勧告決議案を全会一致で可決した[388]。河井夫妻の大規模買収事件を巡り、地方議員の辞職勧告決議案が可決されたのは初めて[388]。
2020年8月7日、江田島市議会は、河井案里の事務所スタッフから現金10万円を受け取ったことを認めた市議・胡子雅信に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した[389]。
2021年2月22日、尾道市議会は、河井克行から現金30万円を受け取ったことを認めた市議・杉原孝一郎に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した[390]。
- 否決
2021年6月23日、広島市議会の共産党の5人は、河井克行元法務大臣から現金を受け取った今田良治市議について、現金の使いみちの説明を翻すなど市民や有権者を裏切ったとして議員辞職を求める決議案を広島市議会事務局に提出した[391]。提出された決議案は、開会中の定例市議会の最終日である25日に採決される見通し[391]。2021年6月25日、広島市議会で、共産党が提出した今田良治市議に対する辞職勧告決議案の採決行われ、自民党の会派などの反対多数で否決された[392][393]。
安芸高田市政の混迷
- 2020年7月に安芸高田市長・児玉浩が河井克行から現金計60万円を受け取ったことの責任をとり自ら辞職したことから、2020年8月9日に安芸高田市市長選が行われ、安芸高田市出身で元銀行員の石丸伸二[394]が児玉前市長の現金受領を受けて「新しい政治を始めよう」をスローガンに立候補し「コンプライアンスの徹底」や産業創出などを訴えて[395]、前市長継承路線の竹本峰昭前副市長を破り、2,732票差の8,076票で初当選した[396]。しかし、市政刷新したい石丸市長と安芸高田市議会とで対立が生じている[397][398][399]。議会で石丸市長が議場で答弁に立った際、ある安芸高田市議がいびきをかいて寝ていたとTwitterでつぶやいたことから、このつぶやきを問題視した安芸高田市議会は、非公開の協議会に石丸市長を呼び出し議員全員の前で説明を求めた[397][400][401]。そこで石丸市長はメディアの前で女性議員を名指ししたことから、女性議員は石丸市長に対し2021年6月9日広島地方裁判所に500万円の賠償を求める訴えを起こしたという事態に発展している[397]。また、石丸市長発案の全国公募で約4千人から選んだ副市長の人事案が市議会で2021年の3月と6月の3度にわたって否決されたなど、石丸市長と安芸高田市議会の対立は続いている[402][403]。
- 2022年3月7日に開かれた安芸高田市議会の本会議で、過半数を占める会派の山本数博議員は「抜本的な財政健全化が求められている状況や、多くの市民感覚に鑑みると、副市長を2人にする必要性は全くみられない」などと提案理由を述べ、副市長の定数を現行の2人から1人へと削減する条例改正案を提出し、議会は、賛成11、反対4の7票差で可決した[404][405][406][407][408]。石丸伸二市長は記者団に「賛成でも反対でもいいが、なぜ反対なのかその理由をつじつまが合うように説明し意見聴取の場を設けるよう求めてきた[404]。ただ、議会が対話を一切拒み、行き着いたのが今日(7日)で、この対応は不適切だ」「議会の暴走が極まったなと。私が進めようとしていた種々の改革にとって、非常にやりにくくなった」[406]と述べ、議会の対応は不適切だと批判した[404]。
- 関連テレビ番組
- ドキュメント広島『#新人市長 と議会のオキテ ~“つぶやき”が生んだ混乱~』(2021年5月2日、広島ホームテレビ)ナレーション:榮真樹(HOMEアナウンサー)
- テレメンタリー2021『#つぶやき市長と 議会のオキテ~400日の“議論”の行方~』(2021年11月10日、テレビ朝日)ナレーション:福山潤
- ドキュメント広島SP『#つぶやき市長と議会のオキテ 〜そこに“議論”はあるか〜』[409](2022年3月27日、広島ホームテレビ ※第28回PROGRESS賞受賞[410])ナレーション:榮真樹(HOMEアナウンサー)
- 関連映画
- 『#つぶやき市長と議会のオキテ【劇場版】』(2024年5月25日公開予定 全国で順次公開、上映時間:109分、配給:きろくびと、監督:岡森吉宏(広島ホームテレビ ディレクター))[411]
- 石丸市長と安芸高田市議会を追った広島ホームテレビ制作・放送のドキュメンタリー番組に未公開映像と追加取材したシーンが加えられた劇場版[412]。
広島県議会議員13人に対する広島県政治倫理条例に基づく広島県議会政治倫理審査会の設置
2021年3月4日、河井克行・案里夫妻から現金を受け取ったと検察から認定された広島県議13人について、広島県議会の民主県政会(14人)と公明党議員団(6人)の2会派が連名で、広島県政治倫理条例に基づく広島県議会政治倫理審査会の設置を広島県議会議長・中本隆志に請求した[413]。検察当局が立件しなかった広島県議13人は全員が議員辞職しておらず、広島県議会として経緯の説明を求める考え[413]。2007年の条例制定以来、初めて政治倫理審査会が設けられることになった。県議・犬童英徳(民主県政会)から審査請求書を手渡された中本議長は「時間をかけず、早期に開催したい」と意向を述べた[413]。
2021年3月5日、現金を受領したと検察から認定された県議13人について、広島県政史上初の広島県議会政治倫理審査会の設置が決定[414]。政治倫理審査会の委員の構成は最大会派の自民議連が6人、民主県政会が3人、広志会が2人、公明党が1人の計4会派12人[415]。3月12日に初会合を開く予定で正副委員長を決める[415][416]。
2021年3月10日、広島県議会政治倫理審査会が正式に設置された[417]。
2021年3月12日、広島県政史上初の広島県議会政治倫理審査会が広島県議会棟で開かれ、委員長に中原好治(民主県政会会長)が、副委員長に栗原俊二(公明党議員団団長)がそれぞれ選任された[418][419][420]。ともに審査を請求した会派から選ばれた[419]。広島県政治倫理条例では政治倫理審査会は原則、非公開と定められている[418]。
2021年3月26日、広島県議会政治倫理審査会の2回目の会合が開かれた。審査にあたっては被審査議員の出席を要請し、審査事項についての説明を聴取するとした[421]。また、中原好治委員長から、県議13人からの説明を報道陣に公開して実施すること、現金を受け取った経緯や違法性の認識があったかなどを質問形式でたずねること、実施時期については5月中旬、という案が出された[421]。委員長案は、4月の次回の政治倫理審査会までに各会派ごとで協議される[421]。
2021年4月26日、広島県議会政治倫理審査会の3回目の会合(非公開)が11人の委員が出席して開かれ、河井夫妻から現金を受け取ったとされる県議13人が説明する場を5月18日に開き、広島県民へ説明責任という点で報道陣に公開(WEB配信や一般公開はしない[422])することを全会一致で決定[423][424][425]。政治倫理審査会 中原好治委員長が、1人20分程度で、現金を受け取った場所や状況などについて質問する形式で行われる[423][424]。質問内容は審査会で詰めた上で、議員に事前に通告する[425]。質問内容は検討中で、委員長の案では受領に至った経緯や今後の対応などを想定している[426]。中原委員長は県議13人に、説明責任の重さを十分自覚し、政治倫理審査会で広島県民に納得いただける説明をしっかりすることを求めている[423]。
2021年5月11日、河井疑惑をただす会が5月18日に開かれる広島県議13人に対して聞き取りが行われる広島県議会政治倫理審査会を、インターネット配信など何らかの形で中継し一般公開するよう求める要望書を広島県議会中本議長と審査会中原委員長宛てに再度提出した[427][428]。4月に同様の要望書を提出したが回答がなかったため再度の提出となった[427][428]。
2021年5月18日、広島県議会政治倫理審査会の3回目の会合(報道陣にのみ公開)が広島県議会棟の委員会室で開かれ、検察が自民党系の広島県議13人を1人ずつ呼び出し入室させ、中原好治委員長(広島県議)が現金受け渡しの状況など事情を聴取した[429][430][431]。県議会が現金受領の経緯などを当事者に聞くのは初めて[430]。対象の県議には事前に質問内容が伝えられていたため用意した原稿を読み上げるだけで、質疑はほとんど行われなかった[432]。1人につき1人20分の予定だったが1人5分程度であった[433][434]。13人全員が現金の受け取りを認め、大半が謝罪や反省の言葉を述べた[430]。公職選挙法違反にあたる恐れがあると認めたのは9人で、違法性の認識を明確に否定したのは2人だった[435]。辞職を表明した県議はいなかった[430]。中本隆志広島県議会議長は「本人が出てきて皆さんの前でお話をさせていただいた。自分の今の気持ちを伝えたこのことは一応成果があったのではないかと思う」とコメントした[434]。
2021年6月14日、広島県議会政治倫理審査会の4回目の会合が開かれ、前回の審査記録の取り扱いについて協議し公開することを決定した[436][437]。中原好治委員長「審査会の記録は原則、非公表だが、審査会を(マスコミに対しては)公開で行ったことを踏まえ、記録を公開する。」[437]。近日中に広島県議会事務局で全文を閲覧できるようになる[436][437][438]。
2021年8月2日、政治倫理審査会6回目の会合が非公開で開かれ、オンライン形式で出席した地方自治に詳しい明治大学の牛山久仁彦教授から、政治倫理条例の意義などの説明があり判決とは切り離した結論が必要、検察審査会の動きなど司法の判断が今後進んでいくなか、政治倫理審査会は住民感情と乖離しないように判断していく必要があると指摘を受けた[439][440]。次回の会合は8月20日に開かれ、13の議員を処分するかどうかなど審査会としての結論に向けて協議する予定[439]。
2021年8月20日、政治倫理審査会7回目の会合が非公開で開かれ、県議13人について「公正を疑われるような金品の授受」を禁じる県議会政治倫理条例に違反していると認定し、一律で「文書警告」の措置にすべきだとの結論をまとめた[441][442][443]。辞職勧告がふさわしいという意見もあったが、東京地方検察庁が不起訴としたことから、最終的に全会一致で「文書警告」となった[442]。次回会合は9月3日開催を予定し、報告書が了承されたら、広島県議会 中本隆志議長に提出する[443]。報告書を受けて、中本議長が13人に対して文書警告を行う方針[443]。
2021年9月3日、政治倫理審査会の最終会合が非公開で開かれ、河井夫妻議員から現金を受け取った県議13人全員について政治倫理条例に違反したとして「文書警告が適当」とする最終報告書を採択した[444][445][446]。中原好治委員長は出処進退については本人が判断していくこととした[445][446]。会合後、報告書は広島県議会中本隆志議長に提出された[444][446]。中本議長は、報告書を県議13人に通知し、意見を聞いたうえで文書警告をする[444]。広島県は報告書を意見書提出期限の2週間を経過したのち公開する[445]。
2021年9月24日付けで広島県議会中本隆志議長は県議13人に対して警告書を発送した[447][448]。広島県政治倫理条例に基づく広島県議会政治倫理審査会が実施した調査や議論の経緯をまとめた報告書の公開も始まった[447]。
広島市議会で開かれた広島市議会議員13人による説明会
2021年1月、広島市議会議員の今田良治(自民党)が2020年11月の公判で、河井克行被告から現金50万円を受け取ったことを認め、その上で、自身の選挙区内の二つの市民団体に全額寄付したと証言したことに対して、「まちづくり団体への寄付が公職選挙法が禁じる選挙区内での寄付行為にあたる」とする広島市内の男性が警察に告発し同年2月に受理された[449][450]。
2021年3月29日、広島市には不公正な金品の受領を追及する政治倫理条例がない[451] が、広島市議会棟の1室で広島市議会議員13人による説明会が開かれ、河井克行元法相から現金を受け取った経緯などについて公開で説明する場が設けられた[452][453][454][455][456]。進行役は広島市議会議長山田春男が務めた[455]。説明会には現金受領を認めた広島市議会議員12人が出席し、体調不良で欠席した議員1人からは書面が提出され代読が行われた[454]。約40人が傍聴[455]。13人全員が現金受領の事実を口頭や文書で改めて認め、渡された時期や金額、その際のやり取りについて説明した[452]。うち2人の石橋竜史市議と木山徳和市議は「陣中見舞い」や「当選祝い」だったとして違法性の認識を明確に否定した[452]。辞職を表明した議員はいなかった[452][457]。終了後、進行役を務めた広島市議会山田春男議長は記者団に「一つの区切りと考える。本人たちが出席したのは大きな意義があった」と述べた[458]。公明党の碓氷芳雄幹事長は取材に、再発防止のために政治倫理条例の制定を求めていく考えを示した[458]。
2021年6月8日、広島市議会議員の今田良治(自民党)は2021年5月末までの数回の広島県警察の任意聴取に対し、現金を寄付したとする公判での証言を翻し、「寄付はしておらず、自分で使った」と話していることが報じられた[450][459]。今田市議は、裁判や広島市議会議員説明会での証言と警察の聴収とでは全く違う内容を話した。広島市議会の山田春男議長は8日、「連絡を受けていないので、詳細は分からない」としたうえで「3月29日にはきちんと説明をしていただいたので、その事実が違うのなら、何らかの対応を考えなければならないかなと思う。」とコメントした[450]。警察は近く、公職選挙法違反の疑いで書類送検する方針[449]。また、今田市議は裁判での証言を翻したことは偽証罪にあたる可能性がある[449]。
2021年6月10日、広島県警察は今田市議を公職選挙法違反の疑いで書類送検した[460][461][462]。今田市議が裁判での証言を広島県警察の聴収で翻したことについても、広島市の男性が偽証罪の疑いで県警に告発状を提出したことも報じられた[462]。
2021年6月15日、広島市議会定例会が開会し、今田良治市議が出席、書類送検後、初めて公の場に姿を現した[463]。報道陣の取材を受けた今田は、 「偽証したつもりはない」との認識を話した[464]。記者から市議会での説明会でも裁判と同じく「寄付した」と説明したことになぜそのような説明を?と問われたところ「それは、わたしにもわかりません」と答えた[464]。現時点での議員辞職は否定し[465][466]、「司法判断をみて考えたい」と話した[464][467]。
2021年6月16日、広島県警察は広島市議会議員今田良治が偽証した疑いがあるとする広島市民の告発状を受理した[468][469]。今後、捜査を進める予定である[468]。
2021年6月23日、広島県警察は広島市議会議員今田良治を河井裁判で嘘の証言をしたとして偽証の疑いで書類送検した[470][471][472]。今田市議が書類送検されたのは2021年6月10日の公職選挙法違反の疑いに続いて2件目となった。
2021年6月25日、広島市議会で、公明党が提出した今田良治市議に対して事実関係を説明するよう求める決議案の採決行われ、自民党の会派などの反対多数で否決された[392]。今田市議は、市議会に対し自ら説明する意思については、議長の判断に委ねるとした[393]。
2021年7月6日、広島地方検察庁は、今田良治市議の公職選挙法が禁じる選挙区内での寄付をした疑いと裁判で偽証した疑いを不起訴とした[473]。理由については「告発事実を認定するに足りる十分な証拠がない」としている[473]。また、告発事実に対する今田市議の認否について証拠に関わると差し控えた[473]。
尾道市議会議員1人に対する尾道市議会議員政治倫理条例に基づく尾道市議会政治倫理審査会の設置
- 2020年3月11日、尾道市議会本会議において、議員より「尾道市議会議員政治倫理条例」を提案し、賛成多数で可決[474]。本条例は同年3月12日に公布され、公布の日から施行[474]。条例制定の目的は、議員が政治倫理の確立に努めるとともに、市民の厳粛な信託に応え、民主的な市政の発展に貢献するため、議員政治倫理条例を制定された[474]。
- 2020年6月、河井克行から現金授受を報じられた尾道市議会議員杉原孝一郎は、朝日新聞の取材に「克行被告と面識はない。報道は事実無根だ」と否定[475]。尾道市議会にも同様の説明をした[475]。
- 2020年8月25日、河井夫妻被告初公判(東京地方裁判所)で、検察が冒頭陳述で河井前大臣夫妻から現金の提供を受けたと認定した100人の実名を読み上げたなかに、尾道市議会議員 杉原孝一郎 30万円があった[476]。
- 2020年8月26日、記者から嘘をついていたことを指摘され議員辞職の意向を質問された杉原孝一郎市議は「全くありません」と答えた[477]。
- 2020年9月11日、尾道市議会の求めに杉原孝一郎市議は応じて質疑を受け付けない非公開の説明会を開いた[475][478]。杉原孝一郎議員は、参議院選挙公示翌日の2019年7月5日に河井克行が自宅を訪れ、河井克行から推薦はがきの入った紙袋を渡された。河井克行が帰った後、現金入りの封筒も置いてあるのに気づき、土日を挟んで3日後に返却した、と説明[478][479]。「現金は3日後に返却した」「すぐに返却したので現金を受け取ったという認識はない」「法的にも道義的にも恥じる行為は一切ない」と説明した[475][478][480]。
- 2020年9月18日、河井克行から現金を渡されたことを認めた杉原孝一郎市議に尾道市議会福原謙二議長が厳重注意処分を口頭で伝えた[481]。杉原市議は「みなさんに迷惑をかけ、申し訳ない」と謝罪した[481]。
- 2021年2月3日、河井克行被告第36回公判(東京地方裁判所)で杉原孝一郎市議の供述調書を読み上げられた[482]。受け取った現金30万円について「検事の取り調べを受けた後に同額を現金書留で送ったが戻ってきた」「もろもろの生活費に使った」「9月に東京でラグビーワールドカップの試合観戦をしたときに一部を使った」[475]。
- 2021年2月15日、尾道市議会は、同月3日の河井克行被告第36回公判で検察側が読み上げた杉原孝一郎市議の供述調書の内容が、尾道市議会へのこれまでの説明と食い違っていたため会派代表者会議で対応を協議し、他の尾道市議が杉原孝一郎市議に事実を質問し確認する公開の説明会の開催を決めたが、杉原孝一郎市議は出席を拒否した[475][480]。
- 2021年2月22日、尾道市議会は、河井克行から現金30万円を受け取ったことを認めた市議・杉原孝一郎に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した[390]。
- 2021年3月22日、杉原孝一郎市議に対する尾道市議会政治倫理審査会が条例に基づき設置され第1回会合が開かれ[483]、委員長、副委員長を互選した[484]。杉原市議に出席を要請し、経緯の説明を求めることを決定[483]。
- 2021年4月下旬、尾道市議会政治倫理審査会は、杉原孝一郎市議に5月中旬に公開の場での説明することを要請[485]。
- 2021年5月26日、杉原孝一郎市議に対しての尾道市議会政治倫理審査会(吉田尚徳委員長)の第4回会合が非公開で開かれたが、杉原市議は出席を拒否した[486][487]。尾道市議会は杉原市議に対して辞職勧告決議案を可決しており、今後、政治倫理審査会は質問項目などを整理し、再度杉原市議に説明を求める方針[486]。
- 2021年8月30日、尾道市議会政治倫理審査会は、杉原孝一郎市議に対し審査会に出席して、2019年参院選を巡る大規模買収事件で現金を受け取った経緯を説明するよう求めることを決定。開催は9月下旬以降となる見込み[488]。
- 2021年9月、尾道市議会政治倫理審査会が開かれたが、杉原孝一郎市議は再び出席せず説明を拒否した[489]
- 2021年11月5日、尾道市議会政治倫理審査会が開かれたが、杉原孝一郎市議は出席を拒否した[490]。出席拒否は3回目となった[490]。10月22日付の文書で出席を要請したところ、杉原孝一郎市議は11月4日に尾道市議会事務局に欠席を伝えた[490]。理由の説明はなかった[490]。政治倫理審査会は改めて出席を要請する方針を決定した[490]。
- 2022年2月10日、尾道市議会から辞職勧告を決議され、東京第六検察審査会から「起訴相当」と議決された杉原孝一郎議員は、「検察の判断が出てから今後を考える」とコメントした[491][492]。また、尾道市議会が設置した政治倫理審査会について「自分の問題には合致しないので出席できない」という考えをコメントした[492]。
- 2022年3月9日、杉原孝一郎議員は、高本訓司議長に辞職願を提出し、当日の本会議で可決され辞職した[493]。高本訓司議長は、杉原から略式起訴になったことを報告され辞職したいとのことだったと明らかにした[493]。杉原は10回開かれた尾道市議会政治倫理審査会への出席を拒否し、説明責任を果たさないまま辞職となった[493]。
- 2022年4月21日、尾道市議会政治倫理審査会の山根信行委員長は、略式起訴されて罰金刑が確定した杉原孝一郎元市議に関する審議結果を報告書にまとめて尾道市議会高本訓司議長に提出し、杉原孝一郎に対する尾道市議会政治倫理審査会を解散した[494]。
鶏卵汚職事件
2020年7月4日、検察当局は河井事件の関係先として、鶏卵生産会社「アキタフーズ」の東京本社と広島県福山市の本社などを家宅捜索し[495][496][497]、アキタグループ元代表による「政界工作」の証拠を押収した[498]。この家宅捜索の余波として、アキタフーズは2020年8月5日付で、アキタフーズグループ代表が辞任し、グループ代表の長男はアキタフーズ社長職が解かれ生産管理部門担当の取締役に就き、アキタフーズ会長が後任の社長に就いた[499]。更に、2020年12月2日、アキタフーズグループ元代表が、鶏のバタリーケージを否定するアニマルウェルフェアのOIE国際基準案の撤回など、鶏卵業界への便宜を図ってもらう目的で、元農林水産大臣の吉川貴盛衆院議員(当時)に対し、大臣在任中に現金を提供した疑いで東京地方検察庁特別捜査部が動いていることが報じられた[500][501][502]。
鶏卵業界団体の役員を務めていたアキタフーズグループ元代表は河井克行の紹介で吉川農林水産大臣と知り合ったが[503][504]、吉川と克行は衆院初当選が1996年の同期で交流が長く、克行は2013年に農林水産副大臣に就任した吉川をアキタフーズグループ元代表に紹介しており[505]、吉川の提案で、2018年12月20日には、アニマルウェルフェアを推進する国際基準の撤回を求める日本養鶏協会(当時、アキタフーズグループ元代表が特別顧問)幹部、克行ら国会議員、及び農水省幹部、で三者会合が開かれた。その後2019年1月11日に、バタリーケージを否定する国際基準案に反対する意見が、日本からOIEに提出されることとなった[506]。
2020年12月22日、吉川は自身の健康状態を理由に衆議院議員を辞職した[507][508]。25日午前、東京地方検察庁特別捜査部は、衆院議員会館(東京・永田町)や札幌市の吉川の事務所などに収賄容疑で家宅捜索に入った。既に吉川の任意聴取も行っており立件を視野に押収資料の分析などを進める方針[509]。
2020年12月8日には、西川公也(元農林水産大臣)が「一身上の都合」で内閣官房参与を辞任[510]。同日、アキタフーズグループ元代表が西川公也にも現金数百万円を提供した疑いがあり、東京地方検察庁特別捜査部も把握し、現金の趣旨や参与の権限などを慎重に疑惑を捜査しているもようと報道された[510]。西川は2020年11月、取材に「政治資金規正法にのっとり、適正に処理している」と話し、不正な受領はないと説明したが、政党支部や資金管理団体の政治資金収支報告書に記載はなかった[511]。西川はアキタフーズグループ元代表からアキタ社所有のクルーザーで2020年7月3日に元農林水産官僚らとともに接待されていたことが判明[510][512]、また、西川は2018年1月からアキタ社の顧問を務め、別の政治家にアキタフーズグループ元代表を紹介するなどしていた[510][511]。西川は河井克行と当選同期で一緒に会食する間柄だった[513]。
2020年12月27日、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの元代表から現金を受領したとされる元法相で衆院議員河井克行の政治資金パーティーを巡り、パーティー券の購入者が偽装されていた可能性があることが報道された[514]。政治資金規正法では、1回で20万円を超すパーティー券を購入した人の氏名などを政治資金収支報告書に記載する必要があるが、アキタ社関係者は取材に克行側のパーティー券について「20万円を超えると名前が出るので、グループ会社7社を使っていた」などと証言した[514]。 多額のパーティー券を購入したアキタ社を収支報告書に登場させなかったり、金額を減らしたりするためだった疑いがあり、東京地方検察庁特別捜査部は本人名義以外での購入を禁じた規正法に抵触する可能性があるとみて、広島地方検察庁特別刑事部と共に克行側の認識などを調べているもよう[514]。
2021年1月15日、東京地方検察庁特別捜査部は、吉川貴盛元農林水産大臣を大臣在任の前後にも現金を提供され2020年までの6年間に現金総額1,800万円を渡されたうち、大臣在任中の500万円が大臣の職務に関する賄賂にあたると認定し収賄罪で在宅起訴し、アキタフーズグループ元代表も贈賄罪で在宅起訴した[498][515][516]。また、アキタフーズグループ元代表は、実際には会社が購入した吉川元農林水産大臣の政治団体のパーティー券300万円分と河井克行元法務大臣の政治団体のパーティー券234万円分を複数の社員などの名義で購入したように装っていたとして、他人名義での購入などを禁じた政治資金規正法違反の罪でも在宅起訴された[517]。1月17日、アキタフーズグループ元代表が平成31年3月に吉川に手渡し賄賂と認定された現金200万円について、吉川側が「資金が必要」と催促していたこと、吉川側の現金の要望を伝えたのは元法相で衆院議員の河井克行だったことが報じられた[505]。
西川公也元農林水産大臣は、大臣を辞任したのは5年以上前で収賄罪の時効をすぎていること、内閣官房参与で非常勤の国家公務員だったがアキタ社で顧問も務めており「給与」との切り分けが難しいこと、内閣官房参与は非常勤で職務権限が明確ではないことなどから、収賄罪などに問うのは難しいと判断された[516][518]。また、一時はアキタ社の顧問として贈賄側での立件も検討されたが立件されていない[518]。
2021年1月29日、農林水産省は、「養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会」を設置した[519]。委員会の構成メンバーは、井上宏(弁護士)、酒井健夫(日本大学名誉教授)、榊田みどり(農業ジャーナリスト)、谷口将紀(東京大学大学院法学政治学研究科教授)。座長は、委員の互選により選出される[519]。
2021年2月25日、農林水産省は、吉川貴盛元農林水産大臣への贈賄罪で在宅起訴された鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)前代表の接待を受けたとして、枝元真徹事務次官ら6人の幹部職員を処分し[520][521]、国家公務員倫理審査会の承認を得て処分を発表した[521]。国家公務員倫理法は国家公務員に対し、利害関係者の負担による会食を禁止している[520]。野上浩太郎農林水産大臣は閣僚給与1か月分を自主返納する[521]。
2021年6月3日、農林水産省の第三者委員会である「養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会」(座長:井上宏弁護士[522][523])は、収賄罪で元農林水産大臣の吉川貴盛被告が在宅起訴された汚職事件をめぐる報告書を野上浩太郎農林水産大臣に提出した[522][524]。第三者委員会は、一連の事件による元代表からの要望を受けた政策変更は確認されず、養鶏・鶏卵政策決定過程での判断がゆがめられた事実は認められなかったと報告した[523]。吉川被告らによる幹部職員に対する働き掛けがあったほか、吉川被告が同席した上で幹部職員への接待会食があったが、政策決定に影響を与えたとは認められなかったと結論付けた[522][523]。同日、野上農林水産大臣、農林水産省内で記者会見し、「二度と疑念を持たれることがないように国民の厳しい視線を意識し、公正な農林水産行政を心掛けたい」とコメントした[525]。
2021年6月28日、東京地方裁判所で開かれた初公判で、アキタフーズグループ元代表は、吉川貴盛元農林水産大臣に大臣在任中の2018年11月から19年8月にかけて養鶏業界に便宜を図ってもらう趣旨で3回にわたり現金計500万円を渡したとされる起訴内容を認めた[526][527][528][529]。弁護側も争わない姿勢を示した[527]。
2021年8月3日、吉川貴盛被告は東京地方裁判所(向井香津子裁判長)で開かれた初公判で「いずれも政治献金と受け止めていた」と起訴内容を否認し、無罪を主張した[530]。
2021年10月6日、東京地方裁判所(向井香津子裁判長)は「アキタフーズ」(広島県福山市)グループ元代表 秋田善祺被告に対し、「農林水産行政や国政に対する国民の信頼を大きく害した」として、懲役1年8月、執行猶予4年(求刑・懲役1年8月)の判決を言い渡した[531]。
2021年11月16日、東京地方裁判所で吉川貴盛被告の公判が行われ、証人として出廷した「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺前代表(贈賄罪などで有罪確定)が、吉川元農林水産大臣に大臣在任前後と合わせて14回にわたり計1800万円を渡したと認めたうえで、現金を渡した理由は「政治活動を支援するためだった」「タニマチ(有力支援者)的な気持ちからだった。お願いをするために金を渡したことはない」と説明し「贈収賄と言われればしようがない」と述べた[532]。
2022年3月23日、東京地方裁判所で吉川貴盛被告の公判が行われ結審した。検察側は「現金は養鶏業者に便宜を図ってもらおうと渡された。受け渡しには隠語が使われ、収支報告書に記載もしていない。賄賂の認識がありながら受け取ったことは明らかだ」[533]「現金はトイレの入り口で背広のポケットにねじ込まれるなど通常の寄付と考えると異常」[534]「農相でありながら、順法精神の欠如が著しい」[535]「農林水産行政の最高責任者である現職大臣が現金を受け取った事案で、収賄の悪質性が高い」[536]として、懲役2年6カ月、追徴金500万円を求刑[537]。弁護側は現金受領を認めた上で「応援の趣旨で受け取っていた。賄賂と認識していない」と無罪を主張した。吉川は、「(秋田から)現金を受け取ってしまったこと、政治資金規正法にのっとった処理を行わなかったことは最大の不徳の致すところ」と述べ、謝罪した[538]。
2022年5月26日午前、東京地方裁判所(向井香津子裁判長)は、東京都内のホテルや大臣室で3回にわたり大手鶏卵会社「アキタフーズ」(広島)の秋田善祺前代表(贈賄罪などで有罪確定)から計500万円を受領した吉川貴盛元農林水産大臣に、「家畜の飼育環境に関する国際的な基準案に国として反対するなど、養鶏業者に有利な取り計らいをしてほしいとの趣旨を含む現金だろうと認識していた」と指摘し、受け取った500万円すべてを賄賂だと認定した[539]。さらに、現金を受け取ったあと、元大臣がそれについて検討する会議の開催を職員に指示し、便宜を図ったことも認定した[539]。「養鶏業界に強い影響力を持つ元代表から多額の現金を繰り返し受け取ったことは、大臣の職務や農林水産行政の公正さを害する危険性が高く、非常に悪質だ。業界側から繰り返し陳情を受ける中で安易に収賄行為に及び、受け取った現金をすべて使った。高い倫理性などが求められる大臣としての自覚が欠けていたというほかない」として、懲役2年6か月、執行猶予4年、追徴金500万円の有罪を言い渡した[539][540][541]。判決について吉川貴盛元農林水産大臣は、弁護士を通じて「私の主張が受け入れられなかったことは誠に残念です。判決内容を精査し、弁護士とも協議のうえで適切に対応したいと考えています」とコメントを出した[542]。岸田文雄総理大臣は、衆議院予算委員会で「個別の裁判所の判断について、私の立場から政府としてコメントすることは控えなければならないが、本件で国民の政治不信を招いたことは重く受け止める必要がある。政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう襟を正し、緊張感をもって仕事に取り組むことが重要だ」と述べた[542]。
2022年6月8日夜、吉川貴盛元農林水産大臣は弁護士を通じてコメントを出し、「事実と異なる内容を認定した判決には大いに不満が残る」「体調も芳しくなく、これ以上、関係者の皆様にご心配やご迷惑をおかけすることはできない。こうした事情に 鑑み、控訴を断念する」と表明した[543]。検察側も控訴しなかったため、10日に判決が確定した[544]。
広島市の市民団体「河井疑惑をただす会」による告発状の受理
「河井疑惑をただす会」は広島県内の有権者により結成された[545]。
- 買収側に対する告発状
- 2019年12月2日、「河井疑惑をただす会」は、2019年7月の参議院選挙で初当選した河井案里の陣営が運動員へ違法な報酬を支払ったとして「河井疑惑をただす会」を中心とした有権者76人が、河井夫妻を公職選挙法などの疑いで広島地方検察庁特別刑事部に刑事告発状を提出[546][547]。告発状によると、河井克行と案里は出納責任者と共謀の上、「ウグイス嬢」にそれぞれ日当の上限の2倍にあたる3万円を支払ったとしており、また、克行が10月5日に北広島町の高速道路で運転手にスピード超過を指示し制限速度を60キロ上回る速度違反をした容疑[547][548]、案里が2019年春の広島県議会議員選挙で当選祝いや激励などの名目で複数の自民党県議に当選祝いなどの名目でそれぞれ現金50万円を渡した疑いでも告発している[547][548]。
- 被買収側に対する告発状
2020年9月、広島市の市民団体「河井疑惑をただす会」は、現金を受け取った広島県議や広島市議ら100人の刑事処分を求める告発状を広島地方検察庁特別刑事部に提出[549]。
2021年2月、広島市の市民団体「河井疑惑をただす会」は、溝手顕正ら5人への告発状を広島地方検察庁特別刑事部に提出[549]。
2021年3月5日、「河井疑惑をただす会」は告発状が受理されていた事を明らかにした。「河井疑惑をただす会」によると、2019年の参院選を巡って河井夫妻から現金を受け取った議員など100人について東京地方検察庁が、落選した溝手顕正が奥原信也県議に50万円を渡したなどとして溝手顕正など5人について広島地方検察庁が、それぞれ3月5日までに告発状を受理していたと明らかにした[545][550]。検察は起訴か不起訴処分かを判断することになる[545]。
2021年6月3日、「河井疑惑をただす会」は広島地方検察庁を訪れ、被買収者の県議や市議、後援会関係者など被買収者100人に対して、早急な起訴を求めて東京地方検察庁宛ての3度目の申入書を提出した[551][552][553]。
2021年6月22日、東京地方検察庁が被買収者側に再聴収を行っていることが報じられた[554][555][556][557]。判決は被買収者100人全員の現金授受について買収罪の成立を認めており、被買収罪の法定刑は3年以下の懲役か禁錮または50万円以下の罰金であり、現職の政治家が起訴されて罰金刑以上が確定すると公民権停止となって失職することとなる[558]。
2021年7月6日、東京地方検察庁特捜部は、公職選挙法違反(被買収)の疑いで告発された広島県の地方議員ら100人について、100人全員を不起訴とした[559][560]。東京地方検察庁の山元裕史次席検事は記者会見し、被買収側100人(広島県内の当時の首長や県議、市町議ら44人、後援会関係者50人と選挙スタッフ6人)の被買収罪の成立を認定した上で99人を起訴猶予、告発後に病気で亡くなった元東広島市議1人は容疑者死亡で不起訴にしたと明らかにした[559][561]。河井疑惑をただす会の事務局長は、「わたしたちは『河井疑惑を正す会』ですけど、これが『検察を正す会』にならんように検察には努力してほしい」とコメントし[562]、不起訴を不服として検察審査会に申し立てる方針[561]。
また広島地方検察庁特別刑事部は、溝手顕正が当選を目的とした選挙活動をしてもらうため秘書と共謀し奥原信也県議と小島敏文衆院議員と岡崎哲夫県議に現金を渡したなどとして公職選挙法違反の疑いで同地検に告発されていた件についても5人全員を不起訴処分とした[563]。
2021年7月9日、河井疑惑をただす会のメンバー6人は広島県庁で会見を開き、被買収側100人を不起訴処分とした東京地方検察庁の処分を不服として、早ければ来週にも検察審査会に審査を申し立てることを明らかにした[564][565][566][567]。また、現職だった溝手顕正など5人が買収目的で現金の受け渡しを行ったとして公職選挙法違反の疑いで告発に広島地方検察庁が不起訴にしたことについて、同じく検察審査会に申し立てることも明らかにした[564]。
2021年7月10日、広島弁護士会館(広島市中区)で河井疑惑をただす会が学習会「どこまで解明されたのか 政治とカネ 何が問題か」をオンラインで開催し、河井疑惑をただす会メンバーなど約100人が参加、神戸学院大学 上脇博之教授(憲法学)がオンライン出演して講演し解説、「検察は起訴猶予として不起訴処分にしたが、起訴猶予は犯罪が成立する証拠は十分にあるという意味だ」と指摘した[568][569][570][571]。
検察審査会に審査を申し立て
広島県内の地方議員など40人に対する申し立て
2021年7月15日、広島県内の地方議員など40人について刑事告発していた「地方議会をただす会」藤岡圭二会長が広島県庁で会見を開き、東京の検察審査会に対して不起訴処分となった地方議員ら40人を対象に不服として申立書を7月11日付で郵送、7月14日付で東京第6検察審査会に受理されたことを明らかにした[572][573][574][575][576][577][578]。会長は現役時代に公選法違反事件の捜査に当たった元広島県警刑事である[579]。
地方議員ら100人全員に対する申し立て
2021年7月30日、市民団体「河井疑惑をただす会」のメンバーを含む広島県内の有権者ら268人が、現金を受領した地方議員ら100人全員を不起訴とした東京地方検察庁の処分を不服として、東京検察審査会に申立書を送付した[580]。
2021年8月17日、市民団体「河井疑惑をただす会」は東京第6検察審査会に8月2日付で受理されたと明らかにした [581]。「河井疑惑をただす会」事務局長は「審査は非公開で、決定の通知が来るのを待つしかない。処分を求める署名運動を続け、より多くの市民の声を集めていきたい」と声明した。8月20日に「河井疑惑をただす会」は広島県議会前で疑惑解明の訴えをし、事務局長は「東京地検が100人を全員、不起訴にしたのは考えられない。時効が来年(2022年)3月から始まるということなので、審議を急いでほしい。」と訴えた[442]。
12月22日、河井克行から現金を受け取った100の不起訴処分が妥当かどうかを審査している東京第6検察審査会(審査員は選挙権を持つ国民の中からくじで11人を選出[582])は事件記録の読み込みを終えたことから、東京地方検察庁の担当検事に捜査の経緯や不起訴と判断した根拠について説明を求めたとみられ、近く議決を出す可能性がある、と報じられた[582]。被買収罪の時効が3年で、2022年3月23日以降に順次、時効が成立する[582]。東京第6検察審査会が起訴相当か不起訴不当と議決すれば検察が再捜査し、あらためて起訴か不起訴かを決めることになる[582]。
安倍晋三元首相に対する申し立て
2021年12月28日、東京地方検察庁は、広島買収事件に関する安倍晋三元首相の公職選挙法違反について嫌疑なしで不起訴処分とした[583]。
2022年2月7日、東京第三検察審査会は、安倍晋三元首相を刑事告発していた川上道大(日本タイムズ代表)の東京地方検察庁の処分に対する不服申し立てを受理[583]。
2022年3月16日、東京第三検察審査会は、安倍晋三元首相について「本件不起訴処分は相当」と議決した[583]。
東京第六検察審査会の議決
2022年1月28日、東京第六検察審査会は、被買収側100人のうち、35人について「起訴相当」、46人について「不起訴不当」、19人について「不起訴相当」と議決したことを公表した[584][585][586][587][588]。これを受けて東京地方検察庁特別捜査部は再び捜査を行い、起訴するかどうか改めて判断することになる[584]。仮に不起訴にしても、その後、検察審査会が「起訴すべきだ」という2回目の議決を出した場合は、強制的に起訴される[584]。地元議員ら40人について審査を申し立てた「地方議会をただす会」藤岡圭二会長は「市民の目で見て正しい判断がされたと思う。選挙違反を許すべきではない。当然の結果だ」とコメントした[589]。
2022年2月9日、市民団体「河井疑惑をただす会」メンバーは、東京第六検察審査会が「起訴相当」とした35人を即刻起訴し、「不起訴不当」とした46人についても再捜査して起訴するよう、東京地方検察庁と広島地方検察庁それぞれに宛てた意見書を発送した[590][591]。合わせて739筆の起訴を求める署名も提出した[590][591]。
東京第六検察審査会の議決後の議員辞職
2022年2月1日、検察審査会が「起訴相当」と議決した呉市議会議員 土井正純(音戸町議4期、呉市議5期目、無所属)は、朝一番で呉市議会議長 北川一清に「一身上の都合」を理由として辞職願を提出し受理され、北川一清議長は辞職を許可、東京第六検察審査会の議決の後に広島県内の議員で辞職したのは初となった[592][593][594][595]。北川一清議長は「先日の検察審査会の議決を受け、自らが判断されたものと受け止めております。今後とも、市議会一丸となって市民の信頼回復に努めてまいります」とコメントした[596]。土井正純の辞職を受けての補欠選挙は行われない[594]。
2022年2月4日午後、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島市議会議員 沖宗正明(6期目、無所属、推薦:公明党広島県本部[597])が、広島市議会議長に辞職願を提出し認められ辞職した[598][599][600][601][602]。議決を受けた議員の辞職は2人目で、広島市議としては初となった[602]。沖宗は記者会見を開き、「『起訴相当』という議決が出た時点で辞職を考えました」「私の行動によって多くの方に迷惑とご心配をかけたし、有権者の政治不信を助長したことは間違いない。それについては深くお詫びしたいと思う」「今日限り政界から引退をいたします」と説明した[602]。これに伴って広島市議会議員の安芸区選挙区は公職選挙法の規定に基づき、4日から50日以内に補欠選挙が行われる[598]。2022年2月9日、広島市選挙管理委員会は臨時会を広島市役所で開き、安芸区選挙区の補欠選挙を3月11日に告示、20日投開票という日程で実施することを決定した[603][604][605]。河井夫妻買収事件に絡んだ地方議会の補選は初めてとなる[606]。広島市選挙管理委員会 二國則昭委員長は「買収は選挙の中で最もやってはいけない犯罪」「(委員会としては)こういう形で補欠選挙が開かれるのは大変残念」とコメントした[604][605]。
2022年2月7日午後、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島県議会議員 高山博州(6期目、自民党)が中本隆志議長に辞職願を提出し受理され辞職が認められた[607][608][609][610][611]。高山議員は記者団に対し政界引退を表明し[612]、「政治不信を起こしたことは間違いなく大変迷惑をかけ、深く反省をしている。老兵は去るのみだ」とコメントした[607]。東京第六検察審査会の議決のあと辞職した広島県内の議員はこれで3人目となり、「起訴相当」と議決された現職の広島県議会議員10人では初となった[608][609][610][611]。公職選挙法の規定で、高山博州の県議会尾道市選挙区では、補欠選挙は行われない[613]。
2022年2月10日午後、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島県議会の平本英司議員(1期目、自民党)、岡崎哲夫議員(8期目、自民党)、下原康充議員(6期目、自民党)の3人は、中本隆志議長に相次いで辞職願を提出し受理され、辞職が認められた[614][615][616][617][618]。東京第六検察審査会の議決のあと、辞職した県内の議員は6人となった[614][616][616]。2月15日に定例会が始まる広島県議会は4つの空席という異例事態となる[617]。岡崎哲夫県議の辞職に伴い「府中市神石郡選挙区」は、4月1日までに補欠選挙が実施されることになる[616]。また、岡崎哲夫県議は政界引退を表明した[615][618]。 2022年2月15日午後、広島県選挙管理委員会は広島県庁で会合を開き、「府中市神石郡選挙区」補欠選挙を3月18日告示、27日投票の日程で行うことを決定した[619][620]。
2022年2月18日、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島市議会議員 木戸経康(2期目、自民党[621])が17日に佐々木議長に提出していた辞職願が本会議で全員一致で認められた[622][623][624][625][626]。東京第六検察審査会議決後の議員辞職は7人目、広島市議会議員では2人目となった[625][624]。
2022年3月2日、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された愛知県稲沢市の野々部尚昭市議(7期目、無所属)は稲沢市議会に辞職願を提出し、同日受理された[627]。野々部は2019年の第25回参議院議員通常選挙で、河井案里陣営の選対事務局長を務めていた[627][628]。
2022年3月9日、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された尾道市議会杉原孝一郎議員(向島町長1期、尾道市議5期目)は高本訓司議長に辞職願を提出し、当日の本会議で可決され辞職した[629][493][630][631][632]。尾道市議会 高本訓司議長は「(杉原市議から)略式起訴になったので辞職したいと。有権者のみなさまやわれわれ同僚議員に迷惑かけると(言っていた)。」と明らかにした[493]。
2022年3月10日、辞職願を9日に佐々木寿吉議長に提出していた広島市議会の豊島岩白議員(4期目、自民党)、海徳裕志議員(2期目、自民党)、今田良治議員(6期目、自民党)の3人が欠席するなか本会議で全会一致で認められ辞職した[633][634][635]。東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島県内の政治家の議員辞職は11人となった[633][634]。
2022年3月14日、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島市議会八軒幹夫議員が欠席するなか広島市議会本会議が開かれ、採決が行われた結果、異議はなく辞職が認められた[636]。広島市議会議員はこれで6人となった[636]。
2022年3月15日、東京第六検察審査会で「起訴相当」と議決された広島県議会の元議長(1989年から1991年)の奥原信也議員(12期目・自民党[637])、砂原克規県議(7期目・自民党[638])、宮本新八県議(6期目・自民党[639])、平本徹県議(2期目・自民党[640])の4人が辞職が広島県議会の本会議で採決され、異議はなく4人の辞職が認められた[641]。奥原信也県議は、「もう選挙に出ることはない」と政界引退を表明した[642]。
東京第六検察審査会の議決後の動き
2022年2月15日、広島県議会の2月定例会が開会し、中本隆志議長は開会あいさつで、県議10人を含む35人が起訴相当とされた検審の議決に触れ、「県議会として重く受け止める。改めて議員一人一人が襟を正し、より一層高い倫理観を持ち、県議会全体で県民の信頼回復に取り組みたい」と述べた[643]。辞職しなかった奥原信也県議は取材で進退について「検察が近いうちに判断するので、それに従いたい」「私は逃げも隠れもせん。検察の判断が出たら、また話す」と述べた[643]。また、同じく辞職しなかった渡辺典子県議は開会前の取材に「(河井夫妻側から)頂いた10万円は法にのっとって正しく処理している、という認識。これまでと主張は変えていない」と述べた[643]。起訴相当とされた後も、検察に改めて同様の説明をした[643]。「進退は私のタイミングで判断するが(主張が)認められない場合は考えないといけない」と答えた[643]。
2022年2月26日、再捜査を行っている東京地方検察庁特別捜査部は地方議員ら35人のうち30人余りを起訴する方針であることが報じられた[644][645]。買収を認めた議員らの多数については「略式起訴」とする方針で、買収を否認している数人は正式な裁判で罪を問うことを検討している[644][645]。「不起訴不当」とされた46人は、再び不起訴となる見通し[644][645]。その場合、検察審査会の2回目の審査は行われず、捜査は終わることになる[646]。
2022年3月2日、東京第六検察審査会が「起訴相当」と議決した広島市議のうち藤田博之、伊藤昭善、谷口修、三宅正明、木山徳和の5人が記者会見し、5人連名の共通コメントを発表した(5市議のコメント全文[647])[648][649][650][651]。
2022年3月4日午後、市民団体「河井疑惑をただす会」は、河井夫妻の大規模買収事件を巡り、3月2日に記者会見を開いた広島市議会議員が「買収の認識はなかった」などと表明したことについて、「議会を軽視する大きな問題だ」と広島市中区の街頭で批判した[652]。また、東京第六検察審査会から起訴相当と議決された地方議員など35人について、即刻、起訴するように求めた[652]。
2022年3月3日付で、東京地方検察庁は、東京第六検察審査会から「起訴相当」と議決された35人のうちの34人について、事件を広島地方検察庁に移送した[653][654][655]。東京地方検察庁特捜部は3月4日付で告発人に通知した[656]。起訴相当の35人は大半が容疑を認める一方で最初の捜査では容疑を認めながら否認に転じた地方議員もいる[656]、34人のうち再度聴取し、現金受領の違法性を認めた人は公職選挙法違反の罪で略式起訴する方針で[654]、否認するなどした場合は広島地方裁判所に起訴する方針[655]、広島地方検察庁は近く処分を明らかにするとみられる[654]、と報じられた。また、「起訴相当」と議決された残りの1人と「不起訴不当」と議決された46人については、東京地方検察庁が再び不起訴とする方針[655]。議員らを告発した「地方議会をただす会」藤岡圭二会長は「国民の皆がこれじゃいけないと思っている。正しい裁判をして正しく裁いてもらいたい」とコメントした[657]。
2022年3月9日、東京第六検察審査会から「起訴相当」と議決された広島市議会議員の藤田博之、伊藤昭善三、宅正明議員の3人が弁護士とともに記者会見を開き、「略式起訴には応じず裁判で戦う」として無罪を主張することを明らかにした[634]。9日、弁護士と検察を訪れたところ「弁護士同伴では略式起訴の手続きなどの説明はできない」と言われたことから藤田と伊藤は退席した[634]。三宅は、検察から略式起訴の手続きの説明を受けたうえで略式起訴には応じず裁判を受けると伝えた[634]。3人はいずれも「検察が不起訴から起訴へ方針を変えた経緯について明確な説明がなかった」として「裁判で経緯を明らかにしたい」と述べた[634]。また、河井克行元法務大臣から現金を受け取ったときには「選挙買収の認識はなかった」として、裁判では無罪を主張する[634]。3人は裁判で判決が確定するまで現職を続ける意向を表明した[658]。
2022年3月10日、市民団体 河井疑惑をただす会は、広島市議会の前で買収問題を追及する抗議活動を行い、広島市議会佐々木壽吉議長宛てに被買収議員全員の辞職議会改革を求める要望書を提出した[658][659]。
2022年3月14日、広島地方検察庁は、東京第六検察審査会から「起訴すべき」と議決された広島の地元議員らのうち、体調不良の1人を除く34人について、公職選挙法違反の罪で起訴した[660]。このうち25人は書面だけの審査で罰金刑などを求める略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は正式に起訴され公開の法廷で裁判が開かれる[660]。東京地方検察庁の森本宏次席検事は、臨時の記者会見を開き、議員ら34人を一転して起訴した理由を「検察審査会の議決は、国民の中から選ばれた人たちによる判断なので、それらをふまえて処分を再検討すべきと考えた。また、検察審査会の議決自体が理解できる内容だった」と説明した[660]。当初、現金を受け取ったとされる議員ら全員を不起訴にしたことについて、検察と議員らとの間で、事実上の「司法取引」が行われたのではないか、という質問に対しては、「事実上の『司法取引』は行っていない。そうした指摘が必ず出ると思っていたので、捜査は慎重にやってきたつもりだ。少なくとも議員らの取り調べでは、録音録画も行っている」と述べた[660]。議員らを告発した「地方議会をただす会」藤岡圭二会長は、起訴について「よく決断した」と評価した上で、「200万円以上の買収金を受けた議員が略式手続きで終わっていいものか。議員辞職すればそれでよいというものでもない」とコメントした[661]。
2022年3月15日朝、市民団体 河井疑惑をただす会は広島県議会棟の前に立ち、街頭活動を行い金権政治の一掃を求めた[662]。また、「起訴相当」の35人のうち検察が体調不良のため不起訴処分とした広島市議1人や「不起訴不当」と議決されたのち不起訴となった46人について、再捜査を求める抗議文を東京地方検察庁特別捜査部と東京第六検察審査会に提出すると取材にコメントした[662]。
同日、広島地方検察庁から在宅起訴された広島県議会議員の佐藤一直と渡辺典子は記者会見を開き、裁判では無罪を主張し争うと表明した(コメント全文[663])。
同日、広島市議会の5つの会派が在宅起訴された市議6人に対し「いったんは退くことが議員の責任の取り方ではないか」として、市議会に辞職勧告決議案を提出した[664]。
2022年3月16日、自民党広島県支部連合会は東京で会議を開き、起訴された議員への対応を協議した[665]。寺田稔会長は「党籍は残したいという意向の方もいるかもしれないが、これちょっとやはり意向を確認して、県連として考えないといけない」とコメントした[665]。
2022年3月17日、広島市議会で辞職勧告決議案は賛成多数で可決された[664]。石橋竜史市議はその場で「あらためて私は絶対に買収には手を染めていないとの激しい感情を覚えた次第です。あらゆる事象を公にしていきながら今回の大規模にわたる一件を必ずや未来の政治に社会に生かしたい。まずは引き続きご負託を頂戴した任期を謹んで全身全霊を注ぎ全うしたい」と辞職せず任期全うすると表明した[666]。藤田博之議員は「議会の信頼を回復するため一旦解散し、住民の意思が反映する選挙を行うべき」として市議会の解散を求める決議案を提出したが[666]、採決で賛成したのは藤田議員と伊藤昭善議員の2人のみで議案は否決された[667]。
同日夕方、広島市議会から辞職勧告決議を受けた広島市議会議員5人(伊藤昭善、木山徳和、谷口修、藤田博之、三宅正明)が弁護士とともに会見を開き「不当な決議だ」と訴え、議員辞職はせず、職務を全うしながら裁判で争うと表明した(共通コメント[668])[667]。
2022年3月18日、会期を15日から3日間延長して開かれた広島県議会本会議では、検察から在宅起訴処分を受け無罪を主張している佐藤一直県議と渡辺典子県議の2人に対する辞職勧告決議案を2つの会派(第2会派「民主県政会」と第3会派「公明党」[669])が提出し、決議案の採決が行われ、賛成多数で可決された[669][670][671][672][673]。閉会後、取材にそれぞれ応じた佐藤一直と渡辺典子は、県議を続けながら裁判を戦う意向をあらためて表明した[669][670][671]。
2022年3月23日付で、下原康充(元広島県議会議員)に罰金25万円、追徴金50万円の略式命令が出た[674]。略式命令が出された日付を報じられた中では初めての略式命令である。
2022年3月24日付で可部簡易裁判所(広島市)は、海徳裕志(元広島市議会議員)について、罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出した[675][676]。略式起訴された地元議員ら25人のうち初の発表となった[677]。
2022年3月28日、東京地方検察庁特別捜査部が現金を受け取った地方議員らへの捜査で河井克行元法相から話を聴いていたこと、広島地方裁判所での広島県議らの裁判にも証人として出廷する方向で調整していることが報じられた[678]。
2022年3月29日、略式起訴された一部の元議員は、5年間の公民権停止が受け入れられないとして、略式命令を拒否し裁判で争うことを検討している、と報じられた[679]。
2022年3月30日、自民党広島県連は自民党紀委員会(党紀委員長 松岡宏道 広島県議会議員)を開き、在宅起訴されている自民党所属の広島市議会議員である、藤田博之議員、木山徳和議員、谷口修議員、三宅正明議員、伊藤昭善議員の5人への対応を協議した[680]。5人に対して辞職を促す文書を出し、本人の意向を確認することを決めた[680]。5人が辞職も離党もしない場合、自民党広島県連は本人の意向を確認したうえで、除名か離党勧告処分を検討するとみられる[680]。また、党紀委員会では離党勧告や除名などの処分を行う前に、5人の意向を確認した上で4月8日に改めて会合を開いて対応を協議する[681]。党紀委員長の松岡宏道広島県議会議員は記者団に対し、「参議院選挙を控える中、党としてはいつまでも引っ張ることで、選挙に影響してはならない。大型連休前までに一定の結論を出していく」と述べた[681]。
2022年3月30日に略式命令(広島簡易裁判所 2022年3月25日付 罰金25万円、追徴金50万円)を受け取った八軒幹夫(元広島市議会議員)は即日納付し、取材に「罰金額や公民権停止期間に異論はない。自分の取るべき責任が具体的に出て、精神的に楽になった」とコメントした[682]。
2022年3月31日、自民党所属の広島市議会議員 谷口修が自民党広島県支部連合会に離党届を提出し受理された[683]。議員辞職はしていない。
2022年4月1日、広島地方裁判所は、砂原克規(元広島県議会議員)と藤田俊雄(元廿日市市議会議員)に略式命令を出したと発表し、略式起訴25人全員の略式命令の発表が行われた[684][685][686][687][688]。
2022年4月5日、自民党広島県支部連合会は広島市議伊藤昭善の離党届を受理した[689]。在宅起訴の自民党広島市議の離党は2人目となった[689]。
2022年4月6日、自民党広島県支部連合会は広島市議木山徳和の離党届を受理した[690]。在宅起訴された自民党広島市議の離党は3人目となった[690]。
2022年4月7日、自民党広島県支部連合会は広島市議の藤田博之と三宅正明の離党届を受理した[691]。自民党広島県支部連合会が離党を促す文書を送った自民党所属広島市議5人全員が離党した[692]。
同日、平本英司(元広島県議会議員)が、略式命令の内容の一部を不服として尾道簡易裁判所に正式な裁判を申し立てたと報じられた[693]。事実関係は争わないものの、公民権停止期間の短縮を求めたいとしており、正式な裁判を申し立てたことが明らかになるのは初めて[693]。
起訴相当35人
- 略式起訴25人
- 2022年3月23 - 25日付で、広島県内の各簡易裁判所が略式起訴した25人に対し略式命令を出し、公民権の停止期間は25人全員が原則通り5年だった[694]。命令を不服として正式な裁判を請求しなければ、命令を受け取った翌日から14日が経過すると刑が確定し公民権が停止され[694]、選挙への立候補や投票ができなくなる[675]。裁判所は受け取った金額や議員辞職の有無といった情状面を考慮して公民権停止期間を短縮するケースがあるが、25人は短縮されなかった[694]。
- 22人が略式起訴を受け入れ、3人(宮本新八元県議会議員、平本英司元県議会議員、木戸経康元広島市議会議員)が正式裁判を求めた。
- 2022年9月28日に元広島県議会議員 宮本新八の初公判が開かれる予定で、在宅起訴された9人を含む議員12人の中で最初となる[695][696]。
- 2022年9月28日、広島地方裁判所で元広島県議会議員 宮本新八の初公判が開かれた[697][698][699][700]。宮本元県議は1回目の現金について、「陣中見舞いとして受け取った」と述べて起訴された内容の一部を否認し、公民権停止の期間についても短くするよう求めた[697]。検察は「元議員は公職選挙法に違反すると認識していたため、受け取った現金について収支報告書などに記載していなかった」などと主張した[697]。
- 2022年9月30日、広島地方裁判所福山支部で元広島県議会議員 平本英司の初公判が開かれた[701][702][703]。平本元県議は起訴された内容について「間違いありません」と述べ、現金の授受を認める一方で、公民権停止の期間を短くするよう求めました[701]。平本被告は被告人質問で、公民権停止期間の短縮を求める理由について「5年後の広島県議会選挙にチャレンジしたい」と訴えた[704]。
- 2022年11月21日、広島地方裁判所福山支部(松田克之裁判長)で平本英司の論告求刑公判が開かれ結審した[705]。検察側は論告で「民主政治の根幹を危うくし、県議選で被告に投票した有権者の期待を裏切った」などと指摘し罰金15万円、追徴金30万円を求刑[705]。公民権停止期間を短縮すべき事情はないとした[705]。被買収側で裁判となった地方議員ら12人で結審は初めてとなった[705]。判決は11月11日に下る[705]。
現金受領当時 | 氏名 | 所属政党 | 選挙区 | 受領額 | 辞職および任期満了 | 略式命令 | |
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広島県議会議員 | 奥原信也 | 自民党 | 呉市 | 200万円 | 2022年3月15日に辞職[641] | 2022年3月24日付[706] 呉簡易裁判所[706] 罰金100万円、追徴金200万円 |
有罪確定[707] |
広島県議会議員 | 岡崎哲夫 | 自民党 | 府中市・神石郡 | 50万円 | 2022年2月10日に辞職[708] | 2022年3月25日付[706] 府中簡易裁判所[706] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[707] |
広島県議会議員 | 下原康充 | 自民党 | 東広島市 | 50万円 | 2022年2月10日に辞職[708] | 2022年3月23日付[674] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[709] |
広島県議会議員 | 宮本新八 | 自民党 | 山県郡 | 50万円 | 2022年3月15日に辞職[641] | 2022年3月24日付[710] 可部簡易裁判所[711] 罰金25万円、追徴金50万円 |
正式裁判請求[712] 2023年1月20日有罪判決 2023年2月6日までに有罪確定[713] |
広島県議会議員 | 砂原克規 | 自民党 | 広島市西区 | 50万円 | 2022年3月15日に辞職[641] | 2022年3月24日付[687] 広島簡易裁判所[684] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[707] |
広島県議会議員 | 平本徹 | 自民党 | 安芸郡 | 30万円 | 2022年3月15日に辞職[641] | 2022年3月24日付[706] 広島簡易裁判所[706] 罰金15万円、追徴30万円 |
有罪確定[707] |
広島県議会議員 | 高山博州 | 自民党 | 尾道市 | 30万円 | 2022年2月7日に辞職[714] | 2022年3月24日付[682] 尾道簡易裁判所[682] 罰金15万円、追徴金30万円 |
有罪確定[715] |
広島県議会議員 | 平本英司 | 自民党 | 三原市・世羅郡 | 30万円 | 2022年2月10日に辞職[708] | 2022年3月24日付[706] 尾道簡易裁判所[706] 罰金15万円、追徴金30万円 |
正式裁判請求[693] 2022年11月11日有罪判決 有罪確定[716] |
広島県議会議員 | 児玉浩 | 自民党 | 安芸高田市 | 60万円 | 2020年7月3日に安芸高田市長を辞職 | 2022年3月25日付[706] 三次簡易裁判所[706] 罰金20万円、追徴金60万円 |
有罪確定[707] |
広島市議会議員 | 海徳裕志 | 自民党 | 安佐南区 | 50万円 | 2022年3月10日に辞職[717] | 2022年3月24日付[675] 可部簡易裁判所[675] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[709] |
広島市議会議員 | 八軒幹夫 | 自民党 | 南区 | 50万円 | 2022年3月14日に辞職[718] | 2022年3月25日付[682] 広島簡易裁判所[682] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[715] |
広島市議会議員 | 今田良治 | 自民党 | 安佐北区 | 50万円 | 2022年3月10日に辞職[717] | 2022年3月24日付[674] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[707] |
広島市議会議員 | 豊島岩白 | 自民党 | 西区 | 50万円 | 2022年3月10日に辞職[717] | 2022年3月24日付[674] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[707] |
広島市議会議員 | 沖宗正明 | 自民党 | 安芸区 | 50万円 | 2022年2月4日に辞職[719] | 2022年3月24日付[706] 広島簡易裁判所[706] 罰金25万円、追徴金50万円 |
有罪確定[707] |
広島市議会議員 | 木戸経康 | 自民党 | 安佐北区 | 30万円 | 2022年2月18日に辞職[720] | 2022年3月24日付[706] 可部簡易裁判所[706] 罰金15万円、追徴金30万円 |
正式裁判請求[712] 2022年10月13日、罰金15万円、追徴金30万円求刑[721] 2023年10月26日有罪判決[722][723]。 2023年11月8日、広島高裁に控訴[724]。 2024年3月15日、控訴審初公判、即日結審[725][726]。 2024年5月24日、判決予定[727]。 |
三原市長 | 天満祥典 | 自民党 | 三原市・世羅郡 | 150万円 | 2020年6月30日に辞職 | 2022年3月24日付[706] 広島簡易裁判所[706] 罰金50万円、追徴金150万円 |
有罪確定[707] |
廿日市市議会議員 | 藤田俊雄 | 無所属 | 廿日市市 | 10万円 | 2021年に任期満了 | 2022年3月25日付[687] 広島簡易裁判所[684] 罰金10万円、追徴金10万円 |
有罪確定[715] |
尾道市議会議員 | 杉原孝一郎 | 無所属 | 尾道市 | 30万円 | 2022年3月9日に辞職 | 2022年3月24日付[706] 尾道簡易裁判所[706] 罰金15万円、追徴金30万円 |
有罪確定[707] |
呉市議会議員 | 土井正純 | 無所属 | 呉市 | 30万円 | 2022年2月1日に辞職 | 2022年3月24日付[706] 呉簡易裁判所[706] 罰金15万円、追徴金30万円 |
有罪確定[707] |
江田島市議会議員 | 胡子雅信 | 無所属 | 江田島市 | 10万円 | 2021年に任期満了 | 2022年3月24日付[710] 呉簡易裁判所[711] 罰金10万円、追徴金10万円 |
有罪確定[707] |
- 上記の地方政治家20人のほかに、当時の亀井静香の秘書1人[584]、当時の河井案里陣営スタッフ4人[584]の5人。
- 2022年3月25日までに裁判所は当時の河井案里陣営スタッフ2人それぞれに罰金50万円・追徴金約96万円の略式命令を出した[728]。
- 2022年3月28日までに簡易裁判所は、亀井静香の秘書に罰金100万円、追徴金300万円の略式命令を出した[729]。
- 2022年3月30日に裁判所は別の当時の河井案里陣営スタッフ1人に罰金30万円・追徴金60万円、また別の当時の河井案里陣営スタッフ1人に罰金30万円・追徴金約58万円の略式命令を出したことを明らかにした[730]。
- 2022年4月12日までに当時の亀井静香の秘書1人および当時の河井案里陣営スタッフ4人の5人への略式命令が確定し有罪となった[707]
- 在宅起訴9人
現金を受け取った当時 | 氏名 | 所属政党 | 選挙区 | 受領額 | 起訴 | 判決 | |
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広島県議会議員 | 佐藤一直 | 無所属 | 広島市中区 | 30万円 | 2023年4月9日広島県議選 立候補せず | 在宅起訴 | 2023年7月26日有罪判決→控訴する考え[731] 2023年8月9日、広島高裁に控訴[732] 2023年12月5日、控訴審、即日結審[733]。 2024年2月8日、広島高裁は1審判決を支持し控訴棄却[734][735][736][737][738][739]。 上告期限の2024年2月22日までに弁護側と検察側がいずれも上告せず判決確定、公民権5年間停止[740][741][742]。 |
広島県議会議員 | 渡辺典子 | 自民党 | 広島市安佐北区 | 20万円 | 現職 | 在宅起訴 | 2023年7月19日有罪判決→即日控訴[743] 2024年1月25日、控訴審、即日結審[744] 2024年4月18日、控訴棄却[745][746][747][748][749][750]。 2024年4月23日、上告[751]。 |
広島市議会議員 | 藤田博之 | 自民党を2022年4月7日に離党[691] | 広島市佐伯区 | 70万円 | 2023年4月任期満了し政界引退 | 在宅起訴 | 2023年7月30日 結審[752] 2023年8月31日、有罪判決 控訴する方針[753] 2023年9月11日、控訴[754] 2024年2月13日、控訴審初公判、即日結審[755][756][757][758] |
広島市議会議員 | 三宅正明 | 自民党を2022年4月7日に離党[691] | 広島市安芸区 | 50万円 | 現職 | 在宅起訴 | 2023年7月12日第3回公判 2023年9月19日、結審 2023年10月31日、有罪判決 2023年11月13日付けで控訴[766] 2024年3月18日、控訴審初公判、即日結審[767][768][769]。 2024年6月12日、判決予定[770]。 |
広島市議会議員 | 谷口修 | 自民党を2022年3月31日に離党[683] | 広島市安佐南区 | 50万円 | 2023年4月任期満了し政界引退 | 在宅起訴 | 2023年7月11日第3回公判 2023年9月22日、結審 2023年10月31日、有罪判決 2023年11月13日付けで控訴[766] 2024年3月12日、控訴審初公判、即日結審[771]。 2024年5月23日判決予定[772]。 |
広島市議会議員 | 伊藤昭善 | 自民党を2022年4月5日に離党[689] | 広島市安佐北区 | 50万円 | 令和5年4月9日広島市議選 落選 | 在宅起訴 | 2023年7月14日第3回公判 2023年9月25日、結審 2023年10月31日、有罪判決 2023年11月13日付けで控訴[766] 2024年3月14日、控訴審初公判、即日結審[773][774][775][776][777]。 2024年5月23日、判決予定[773]。 |
広島市議会議員 | 木山徳和 | 自民党を2022年4月6日に離党[690] | 広島市中区 | 30万円 | 現職 | 在宅起訴 | 2023年7月20日第3回公判 2023年9月22日、結審 2023年10月31日、有罪判決 2023年11月13日付けで控訴[766] 2024年4月23日、控訴審初公判、即日結審[778][779]。 2024年7月18日判決予定[778][779]。 |
広島市議会議員 | 石橋竜史 | 無所属 | 広島市安佐南区 | 30万円 | 2024年5月2日付けで失職 | 在宅起訴 | 2023年7月21日有罪判決→控訴検討[780] 2023年7月26日、控訴[781] 2023年11月9日、控訴審初公判、即日結審[782] 2023年12月20日、控訴棄却[783] 2023年12月26日、上告[784] 2024年4月15日付で上告棄却[785][786][787][788][789]。 2024年4月17日付で最高裁に異議を申し立て[785][786][790][790]。 最高裁は2024年4月30日付で石橋の異議申し立てを棄却し有罪判決が確定した[791][792]。2024年5月2日付けで失職し[793][792][794]、公民権が5年間停止された[795]。河井事件で議員を失職したのは安芸太田町議会議員に続いて2人目となった[791]。 |
安芸太田町会議員 | 矢立孝彦 | 無所属 | 安芸太田町 | 20万円 | 2023年12月1日付で失職[796] | 在宅起訴 | 2023年3月3日 一審 有罪判決[797] 2023年7月27日 広島高裁 控訴棄却[798] 2023年8月8日、最高裁に上告[799][800] 2023年11月15日付けで最高裁判所第三小法廷は上告を退ける決定をし、有罪判決が確定[801][802] 2023年11月20日までに最高裁に異議を申し立てた[803] 最高裁は2023年11月29日付で異議申し立て棄却決定、12月1日付で公民権5年間停止し失職[796]。 |
- 2022年7月12日、佐藤一直について、裁判所と検察官、弁護士が争点や証拠を整理する第1回公判前整理手続きが広島地裁で行われた[804][805]。
- 2022年8月12日、在宅起訴9人のうち大半の初公判が、争点を絞り込むための公判前整理手続きに時間がかかっているため、来年2023年になる可能性が高いと報じられた[806]。
- 不起訴1人
2022年6月、東京第六検察審査会は広島市議会議員児玉光禎に対する2回目の審査を行い、「起訴に至らず」と議決した[807]。議決では、「起訴した上でその責任を問うことが相当とも考えられる」と指摘した一方で、「病気で入院中であり、病状が改善する可能性は著しく低い」などとして、「起訴に至らず」とした判断について説明した[807]。
現金を受け取った当時 | 氏名 | 所属政党 | 選挙区 | 受領額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
広島市議会議員 | 児玉光禎 | 自民党 | 佐伯区 | 30万円 | 2023年4月任期満了し政界引退 | 不起訴(病気療養中)[808] |
補欠選挙
執行日 | 選挙名 | 投票率 | 定数 | 当選者 | 年齢 | 所属政党 | 得票数 | 得票率 | 得票順位/候補者数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年3月20日 | 広島市議補選 安芸区[809] (沖宗正明の辞職に伴う) |
20.60% | 1 | 西佐古晋平 (元広島市職員) |
43 | 無所属・新人 | 6,582票 | 51.4% | 1/4 |
2022年3月27日 | 広島県議補選 府中市・神石郡[810] (岡崎哲夫の辞職に伴う) |
38.17% | 1 | 山口康治 (元府中市議会議員) |
60 | 無所属・新人 | 7,616票 | 52.1% | 1/2 |
2022年4月15日 | 広島県議補選 山県郡 (宮本新八の辞職に伴う) |
─ | 1 | 本長糧太 (元社長) |
48 | 無所属・新人 | 無投票 | ─ | 1/1 |
2022年4月24日 | 広島市議補選 安佐北区 (今田良治、木戸経康の辞職に伴う) |
19.07% | 2 | 山下正寛 (社長) |
45 | 無所属・新人 | 6,335票 | 1/7 | |
三宅朗充 (社長) |
56 | 無所属・新人 | 4,322票 | 2/7 |
広島第一検察審査会の議決
2022年1月28日、広島の検察審査会は、溝手顕正元参議院議員、溝手顕正の秘書、奥原信也広島県議会議員、小島敏文衆議院議員、岡崎哲夫広島県議会議員の5人について「不起訴相当」と1月25日付で議決したことを公表した[811]。議決では「不起訴処分を覆すに足る証拠がない」としたうえで、選挙に関わる政党や議員など関係者に対し、「国民から厳しい視線が注がれていることを肝に銘じ公職選挙法の疑いをかけられることがないふるまいをお願いしたい」としている[811]。
参議院広島県選挙区
2020年10月時点で、河井案里は逮捕前日に自民党を離党してから4か月が経つが、自民党広島県参院選挙区第七支部(所在地は既に閉鎖された広島市中区の案里の地元事務所)は存続し支部長に留まっているという歪な状態であり、自民党広島県支部連合会は「離党者の党支部は速やかな解散が普通」と主張、決定権を持つ党本部は「検察の捜査で収支を確定できない」としていた[812]。
河井案里が2021年2月3日に議員辞職願を提出。同日の参議院本会議で辞職が許可された。
その後、2月5日午前0時に有罪が確定。当選無効に伴う再選挙は2021年4月25日に行われることとなった。
立憲民主党は2月から候補者の人選を進め、瀬戸内海放送出身のフリーアナウンサー・宮口治子や弁護士の郷原信郎ら3人の名前が浮上していた。郷原は3月9日、立候補しない意向を示し[813]、同党は3月14日、宮口を推薦候補として擁立することを決めた[814]。国民民主党は3月18日、宮口の推薦を発表した[815]。社会民主党は3月23日、宮口の推薦を決めた[816]。日本共産党は3月28日、宮口を支援すると明らかにした[817]。
日本維新の会の県支部である広島維新の会は2月から候補者公募を開始した[818] が、4月1日、擁立を見送ることを発表した[819]。
2月11日、れいわ新選組代表山本太郎は広島市南区で記者会見し、参議院広島県選挙区の再選挙(4月8日告示、25日投開票)に候補者を擁立すると発表し、全国公募を開始、公募は2月28日まで受け付け[820]。山本自身の出馬は公募の結果次第で「選択肢として排除しない」とし、野党統一候補を擁立する可能性も含みをもたせた[820]。しかし、3月26日に党として候補者を擁立することは断念すると表明した[821][822]。
2月19日、NHK受信料を支払わない方法を教える党は2月19日、党職員で元運送会社社員の山本貴平の擁立を発表[823]。
2月26日、元官僚の西田英範(広島市安佐北区出身[824]、退職時は経済産業省産業技術環境局基準認証政策課課長補佐[825])が広島市内で記者会見し、自民党公認で立候補することを表明した[826][827]。
4月8日、参議院広島選挙区の再選挙が告示[828][829]。自由民主党公認の西田英範(元経済産業省官僚 / 推薦:公明党)、諸派の政治団体「結集ひろしま」公認の宮口治子(フリーアナウンサー / 推薦:立憲民主党、国民民主党、社民党)、NHK受信料を支払わない方法を教える党公認の山本貴平(NHK受信料を支払わない方法を教える党職員)の他、いずれも無所属の佐藤周一(介護ヘルパー)、大山宏(元会社員)、玉田憲勲(医師)の新人6人が立候補を届け出た[828][829]。投開票は4月25日[828][829]。
4月11日、宮口治子が広島市内で行った街頭演説に、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が応援に駆けつけ登壇[830]。同日、西田英範がJR広島駅前で行った街頭演説に、公明党の山口那津男代表と自民党広島県連会長の岸田文雄前政調会長が応援に駆けつけ登壇した[830]。4月18日には、自民党の下村博文政調会長が広島市内のホテルで開かれた総決起大会に出席、立憲民主党の枝野幸男代表が呉市のJR呉駅前で街頭演説した[831]。4月23日には、宮口治子が広島市内中心部の商店街で行った街頭演説に、立憲民主党常任顧問の岡田克也と代表代行の蓮舫が駆けつけ登壇した[832]。河井夫妻買収事件に関わった広島県議や広島市議らは表立った選挙応援はしなかった[833]。
投開票日の4月25日、午後10時台に報道各社が宮口治子の当選確実を報じた[834][835][836][837][838][839]。この報を受け自民党西田陣営の選挙対策本部長宮沢洋一参議院議員は「最後の最後まで河井夫婦にたたられた」と本音を漏らした[840]。宮口治子のこの当選により、自民党が結党された1955年以降、保守地盤の厚い広島県選挙区で初めて自民党以外の候補による改選2議席の独占となった[841]。宮口治子は今後、前回の参院選で河井陣営に提供された1億5000万円についての説明責任などを追及していきたいとした[842]。
衆議院広島県第3区
2020年10月時点で、河井克行は逮捕前日に自民党を離党してから4か月が経つが、自民党広島県第三選挙区支部(所在地は既に閉鎖された広島市安佐南区の克行の地元事務所)は存続し支部長に留まっているという歪な状態であり、自民党広島県支部連合会は「離党者の党支部は速やかな解散が普通」と主張、決定権を持つ党本部は「検察の捜査で収支を確定できない」としている[812]。
克行の離党を受けて、2020年12月8日に自民党広島県支部連合会は次期衆議院議員選挙の広島3区の候補者となる党支部長候補を広島県議会議員の石橋林太郎(広島市安佐南区選出)に決定し、12月9日に党本部に支部長の変更を申請した[843][844]。公明党は副代表の斉藤鉄夫の公認を11月19日に決定、11月22日には公明党代表の山口那津男も現地入りして斉藤とともに事実上の選挙運動を本格化、12月20日広島市安佐北区で後援会の事務所開きをした[844][845]。野党側では立憲民主党が新人で元会社役員のライアン真由美の擁立を決定[846]。NHK受信料を支払わない方法を教える党は新人で党広報担当の新藤加菜も立候補の準備を進めていたが離職に伴い、ミュージシャンの矢島秀平を新たに擁立を決定[847][848]。
2021年2月5日、自民党と公明党は、広島3区の与党候補を斉藤に一本化し、石橋を比例中国ブロック単独で立候補することで合意[849]。また、2月8日、2019年7月の参院選広島選挙区の件と、2021年にある衆院選広島3区の候補者調整の件と2度にわたって党県連の意思を党本部に覆された責任を取るとして、自由民主党広島県支部連合会の宮沢洋一が会長を、宇田伸が幹事長を辞任する意向を固めた[850]。3月22日、広島県支部連合会の常任顧問会議で会長に推薦された岸田文雄(自民党前政調会長)は会長のポストを引き受ける考えを示した[851]。3度目の広島県支部連合会会長就任であり、派閥のトップを務めるベテラン議員の再々登板は異例の人事となる[851]。
2021年4月1日、衆議院本会議で全会一致で河井克行元法務大臣の議員辞職が許可された[126][127]。3月15日までに議員辞職すれば公職選挙法などにより参院選再選挙と同日に衆議院補欠選挙が行われることになっていたが、4月1日に辞職したため衆議院補欠選挙は行われない[852][853]。
2021年6月10日、自民党本部で行われた衆議院選挙小選挙区候補者の推薦内定式で、菅義偉自民党総裁が公明党副代表斉藤鉄夫に推薦内定証書を手渡した[854]。自民党が衆院解散前に推薦の内定を出すのは異例だが、公明党の強い要請で実現した[855]。
2021年10月19日、第49回衆議院議員総選挙が公示され、届け出順に、大山宏(無所属 新人)、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」矢島秀平(新人)、公明党 斉藤鉄夫(自民党推薦)、玉田憲勲(無所属 新人)、立憲民主党 ライアン真由美(新人)、日本維新の会 瀬木寛親(新人)が立候補した[856]。
2021年10月31日、広島第3区から初出馬の公明党副代表斉藤鉄夫(国土交通大臣)が97,844票を得て次点のライアン真由美(立憲民主党 新人)に4万票以上の差をつけて当選し、10選を果たした[857]。[858]。当初は自民党広島県連が広島3区の公認候補者とすることを前提に公募し選定したが、公明党斉藤鉄夫とのかねあいで比例中国に自民党より単独立候補した新人の石橋林太郎(元広島県会議員)は名簿1位で当選した[859] [860]。
広島県議会議員補欠選挙(安佐南区選挙区)
河井克行の自民党離党を受けて、自民党広島県支部連合会が次の衆議院議員立候補者を公募し広島県議会議員石橋林太郎に決定。
2021年7月、広島県議会議員2期目だった石橋林太郎は2021年10月31日投開票の第49回衆議院議員総選挙に立候補するため辞職した[861]。これにより広島県議会議員広島市安佐南区選挙区補欠選挙(欠員1)が行われることになった[862]。
2021年11月5日告示され、届け出順に、衆議院議員河井克行公設第2秘書だった伊藤守(無所属 新人)、市民団体「河井疑惑をただす会」事務局長だった山根岩男(諸派(党派:金権政治をただす市民の会[863]) 新人伊藤守(共産党広島県委員会推薦、元中国新聞労働組合書記長[864]・元日本新聞労働組合連合書記長[864])、2017年第48回衆議院議員総選挙で日本維新の会から広島2区に出馬して落選したことがある灰岡香奈(自民党 新人 公明党広島県本部推薦 元山口県和木町議会議員)の3人が立候補を届け出た[865]。
2021年11月14日、投開票され、灰岡香奈が3万961票を得て次点の伊藤守に1万7000票以上の差をつけて初当選した[866][867][868]。 投票率は28.46%だった[869]。任期は、2019年4月の広島県議選当選者と同じ2023年4月29日まで[870]。
インターネット上での工作に対する批判
2021年10月13日の参議院本会議代表質問において、森裕子立憲民主党副代表は自民党本部から河井陣営に渡った1億5000万円の資金がネット工作に使われたかを尋ねた[871][872]。
新聞労連ジャーナリズム大賞
- 2024年1月19日、第28回新聞労連ジャーナリズム大賞を、中国新聞「河井克行元法相の大規模買収事件への安倍政権幹部関与疑惑のスクープ」が受賞した[873]。
- 2024年1月23日、2023年度 新聞労連第28回ジャーナリズム大賞の表彰式が全水道会館大会議室であり、中国新聞編集委員室長と東京支社記者が出席し表彰を受けた[874]。
注釈
- ^ 本事件後に実施された第26回参議院議員通常選挙においても、自民党公認の宮澤洋一と無所属(結集ひろしま推薦)の三上絵里の2名がそれぞれ当選している。
出典
- ^ 「【速報】河井前法相夫妻を逮捕 参院選巡り買収の疑い【動画】」『中国新聞』2020年6月18日。2020年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月21日閲覧。
- ^ 「河井前法相夫妻逮捕 案里議員当選の参院選で買収容疑―地元県議らに現金・検察当局」『時事通信』2020年6月18日。2020年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月21日閲覧。
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- ^ 「第25回参議院選挙(広島選挙区)連合広島は「森本真治」の推薦を決定しました」日本労働組合総連合会 広島県連合会、2018年6月26日。2020年12月28日閲覧。
- ^ 「広島 開票速報-2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル」朝日新聞デジタル、2019年。2020年12月28日閲覧。
- ^ 「「官邸近ければ優遇か」案里氏に1.5億円、自民内反発:」朝日新聞、2020年1月25日。2020年6月28日閲覧。
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