塩崎恭久 人物・逸話

塩崎恭久

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人物・逸話

2006年2月5日、ミュンヘン安全保障会議にて
  • 高校時代は学生運動・学園紛争の全盛期にあたり、塩崎も革命的共産主義者同盟全国委員会[32][33]社会科学研究会に所属して、東京都立新宿高等学校では生徒会長も務めたが、学生運動への参加を嫌う学校側に対し、自由な運動の容認を要求し、制服や制帽、通信簿の廃止などを求めて校長室を数人で占拠して、10日間のストライキを行うなどした[34][35][36]
    • 高校時代にAmerican Field Service(AFS)で1年間のアメリカ合衆国留学を経験。その際、ベトナム戦争に反対する集会にも参加していた。帰国後は一つ下の学年に在籍し、同級生に坂本龍一音楽家)や馬場憲治写真家)、那須恵理子ニッポン放送アナウンサー)や野中直子(元文化放送アナウンサー)がいる。
    • 中学校時代は塩崎がブラスバンドの部長で、坂本は新入生として活動した[36]
    • 新宿高校での学生運動の中心は塩崎、坂本、馬場で、3人でバリケード封鎖等を行った。坂本から「どうせ、おまえはそのうち自民党の代議士になるんだろうから、そのときは応援に行ってやるよ」と言われていた。その後、坂本とは学生時代に女性問題をめぐって袂を分かっていたが、坂本がアカデミー賞を受賞した際に塩崎が祝いを送り、交流が再開。坂本は塩崎の応援演説へ駆けつけた[37]
    • 日本銀行時代にアメリカ合衆国に留学した際、大学の生協で当時(1980年)YMOのメンバーとして活動していた坂本のポスターを見つけ活躍を喜んだ半面、焦りも感じたと明かしている。2023年3月28日に坂本が闘病の末に死去するとツイッターで中学時代から続く親交を振り返り、「また会おう」と故人を悼んだ[36]
  • 日本共産党参議院議員筆坂秀世とは参議院議員時代、清水谷の参議院議員宿舎大浴場でしばしば談笑した、文字通りの付き合いの間柄だったという[38]
  • 内閣官房長官時代は午前5時に起床し、各方面に電子メールで指示を出すスタイルで知られ、土日返上で閣僚や官僚と打ち合わせを行う等、初入閣ながら精力的に仕事をこなした。官僚依存から脱却するための行政改革を推進し、事務方が上げた人事案を度々ひっくり返し、年金記録問題でも厚生労働省社会保険庁の尻を叩き続けたため、「官僚嫌いの長官」と恐れられていたといい、塩崎本人も「霞が関で最も嫌われる政治家」を自認していた[39]
    • 塩崎のこのような姿勢や政策立案能力については、国・地方行政改革担当大臣渡辺喜美らと共に、公務員天下り規制の強化に取り組み、自民党内の慎重派や官僚を相手に粘り強い交渉を展開して「男を上げた」との評価がある[40]一方、「安倍お友達内閣」の代表格との批判もなされた[41]
  • 日本共産党の機関紙しんぶん赤旗の報道によると、製薬大手の武田薬品工業株券を3630株(時価総額1680万円)保有している[42]。なお、2014年10月28日の参議院厚生労働委員会の塩崎への質疑において、「厚生労働大臣の所管業務にかかわる企業の)株式を保有するのは問題」との指摘を小池晃が行っている[42]
  • 「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の塩崎」のイメージを払拭するため、児童養護施設社会保障にも取り組んできたと強調しているが、衆議院厚生労働委員会における労働者派遣法改正案の質疑では、何度も答弁に窮し、野党から批判を浴びた[41]。また、2014年11月5日の衆議院厚生労働委員会で、厚生労働省の資料とは異なる答弁を繰り返したことなどに反発した野党が、11月7日の審議を欠席する事態となり、塩崎は答弁について謝罪した[43][44]
  • 第193回国会に提出された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)改正案」について、厚生労働省が改正の要旨に掲げた『相模原市障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう以下のポイントを留意して法整備を行う』など数カ所を、2017年4月13日の参議院厚生労働委員会で削除する異例の事態が発生、野党が「法案の中身が変わっていない」と共闘して反発し、4月20日に塩崎が「混乱を招き、ご迷惑を掛けたことをお詫びする」と、改正法案の趣旨説明をやり直して謝罪する事態となった[45]。これは、相模原事件受けた措置入院の在り方について、厚労省の審議会が出した中間取りまとめを、塩崎が指示して、自分の意向に合うよう大幅に書き換えさせてから、最終報告書を受け取った経緯があったためである[46]。改正法案は、参議院で可決されたものの、衆議院では可決されないまま国会の会期が終了し、9月28日衆議院解散によって精神保健福祉法改正案は廃案となった[47]

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  61. ^ (2ページ目)《官房長官、里親になる!?》「児相も僕のことは”里じい”だと…」大物政治家・塩崎恭久 が“里子”のために70歳以降の人生をささげるワケ | 文春オンライン


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