国語 (中国語) 国語 (中国語)の概要

国語 (中国語)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 05:46 UTC 版)

国語
國語、中華民國國語、台灣華語
発音 IPA: /ku̯ɔ˧˥ y˨˩˦/
話される国 中華民国
地域 中華民国台湾
および海外華人の一部
話者数
言語系統
公的地位
公用語 中華民国
統制機関 中華民国教育部終身教育司第四科
(旧教育部國語推行委員會
言語コード
ISO 639-1 zh
ISO 639-2 chi (B)
zho (T)
ISO 639-3 cmn
2010年台湾地区各郷鎮市区の人口中、6歳以上の人が家庭でその言語を使う割合(複数選択可)。
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国語
各種表記
繁体字 國語
簡体字 国语
拼音 Guóyǔ
注音符号 ㄍㄨㄛˊ ㄩˇ
発音: クオユイ
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概要

中華民国の公用語として定められた中華民国国語は、当時清国の官話を中心に、北京語・南京語などの中国各地の言語要素を組み合わせて生み出されたものである。

中国共産党河北省の方言に基づく新たな標準語として普通話を定めた一方、台湾に移った中華民国政府は中華民国国語を用い続けた。中華民国政府はその正統性を示すため、中華民国国語以外の言語を抑圧する政策を採っていた。

中華民国国語と普通話は、どちらも中国の標準語として位置づけられており、相互に理解可能であるが、中華民国国語は普通話と比べて「r化音」や「軽声」の使用頻度が低いなどの相違点がある。最も顕著な相違点は文字体系である。普通話は「簡体字」で記述され、発音の表記には「ピンイン」が用いられるが、中華民国国語は「繁体字」で記述され、発音の表記に「注音符号」が用いられる。

2000年代の台湾民主化運動以降、中華民国国語は台湾在来の言語の影響を強く受け、変化した。そのため中華民国国語という用語は徐々に使用されなくなり、台湾国語、あるいは台湾華語といった呼称が一般的になっている。台湾国語は台湾語客家語日本語オランダ語台湾原住民の諸言語などから多くの語彙や表現が取り入れられ、普通話と大きく異なる特徴を持つ言語となっている。

普通話との具体的な違い

歩きスマホに注意を呼びかけるポスターに見られる簡体字と繁体字の表現の差異。台湾などで用いられる繁体字の表現(左)では、「低頭族」のような新語が見られる。

中華民国(台湾)の公用語である中国語には、いま中国が流通している普通話ではなく、独自の「国語(繁体字: 國語)」を用いられる。国語という呼称は、清朝から中華民国となった時代に採用され、現代の台湾に引き継がれている。第二次世界大戦後も国共内戦を戦った中華民国の中国国民党は、毛沢東による中華人民共和国成立と前後して台湾に撤退したのち、中国語(国語)によって台湾の統治を行った。

英語では、「中国の普通話」も「台湾の国語」も同じ標準中国語とみなし、どちらの英語もマンダリンStandard Mandarin)と呼んで、区別していない。しかし、台湾人自身は英語で会話をする際に、自分が話す中国語を「Standard Mandarin」や「Chinese Mandarin」と呼ぶことが極端に少なく、殆どの人は「Taiwanese Mandarin」と言う。

ただし、中華民国国語には、大陸の普通話とは異なる次のような点がある。

  1. アル化を極力使わない。
  2. 軽声をあまり使わない。
  3. 一部の漢字の発音が違う。例:微(普通話:wēi、国語:wéi)、携/攜(普通話:xié、国語:)、垃圾(普通話:lājī、国語:lèsè
  4. 特に科学用語や歴史用語など、普通話と違う語彙を使用することもある。例:ケイ素(普通話:、国語:)、郵便配達員(普通話:邮递员、国語:郵差)、淮海戦役(普通話:淮海战役、国語:徐蚌會戰
  5. 日本式語彙を、大陸とは差別的に流用する。台湾では、日本との頻繁な交流によって、いち早く日本と共通語彙を使う傾向がある。ただし、近年は大陸が先に使い始めた日本式語彙を台湾では使わないことがある。例:便當弁当、普通話:盒饭)、、中国大陸ではこの単位を使わない)
  6. 台湾語由来の語彙を多用する。台湾語のままで発音するものもあれば、漢字の北京語音で発音するものもある。例:古早(台湾語:kó͘-chá、昔の)、鴨霸(台湾語:ah-pà、横暴な、理不尽な)、吐槽(台湾語:thuh-chhàu、愚痴る)

また、以下のようなものは、教育の場では正しいものと見なされないが、話者に福建省からの移民の末裔が多いことにより日常生活上では頻繁に遭遇する。

  1. そり舌音捲舌音)が不明瞭である。
  2. 唇歯音 fを無声声門摩擦音 hと発音する(台湾語に存在しない発音)。
  3. 過去形(肯定・強調)表現に「有+(動詞)」を使用することがある(台湾語由来)。
  4. 次のような揚子江以北には存在しない語気助詞を多用する。
    • 「―」(―lo : ―じゃん)
    • 「―哦」(―wo :―だよ)
    • 「―」(―yo :―よ)
    yo が日本語の影響によるものか福建語由来かは不明。

香港を含めた東南アジアの中国人系社会では、北京語を話す時は今でも台湾式に近いマンダリンを話す。これは、台湾の大衆娯楽やメディアの影響力、政治的・地縁的要素にもよる。




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