ナイロビ 教育

ナイロビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/20 13:57 UTC 版)

教育

ナイロビには、いくつかの大学がある。最も古い大学は、イギリス領時代の1956年に王立技術大学 (Royal Technical College) として設立されたナイロビ大学である。1963年の独立とともにナイロビ大学はウガンダのマケレレ大学およびタンザニアのダルエスサラーム大学ともに東アフリカ大学の一部となったが、1970年に3大学は独立して独自の卒業証書を授与するようになった。ついで、1972年にはケニヤッタ大学が設立された。1980年代までは長らくナイロビにある大学はこの2校のみ、ケニア全土でも4校であったが、その後各地の師範学校や技術専門学校が国立大学に昇格し、ナイロビでもジョモ・ケニヤッタ農工大学が誕生した。さらに私立大学が急増し、ストラスモア大学、アライアント国際大学(ナイロビキャンパス。本校は、アメリカカリフォルニア州サンディエゴにある)、デイスター大学、アフリカナザレネ大学などが設立された。

ナイロビで最も古い図書館は、中心部にあるマクミラン記念図書館である。1931年に建設され、1962年にナイロビ市議会へと移管された[27]

言語

ナイロビにおいて使用される言語は、公的な場面においては英語、日常的な場面においてはスワヒリ語キクユ語が多い。英語は2010年まで唯一の公用語であり、現在でも役場や職場などでは英語を使用するのが一般的である。これに対し、日常会話ではスワヒリ語が共通語となっている。これは、19世紀以降ケニア全土にリンガフランカとしてのスワヒリ語使用が広まり、国内の各民族が集中する首都ナイロビにおいてどの民族も使用することができる唯一の言語だからである。もっとも、ナイロビで話されるスワヒリ語は標準スワヒリ語からはかなりかけ離れたものであり、ナイロビ・スワヒリ語とも呼ばれる方言が使用されている[28]。また、ナイロビはもともとキクユ人の居住する地域の中央部に建設されており、住民としてはキクユ人が最大勢力である。そのため、キクユ語を主に使用する住民も数多い。

1970年代ごろから、上記のナイロビ・スワヒリ語とはまた別の、シェンと呼ばれるスワヒリ語の方言がナイロビにおいて発生した。シェンとはスワヒリ語と英語の合成語であり、その名のとおりスワヒリ語のナイロビ方言に英語やルヒヤ語キクユ語カンバ語ルオ語といった近隣諸民族の言語の語彙を多く導入したもので、マタツ(乗り合いタクシー)の運転手などから若者言葉として広まり、音楽などのポップカルチャーやテレビ、ラジオなどにも使用されるようになった。

交通

空路

ケニヤッタ国際空港

外国からの窓口として、1958年に建設され、市の中心部より15km南東にあるジョモ・ケニヤッタ国際空港があるが、ジェット機の時代になる前は1933年に建設された市の中心部から南に4kmはなれた[29]ウィルソン空港英語版(現在は国内線用空港)が使用されていた。1930年代から1940年代にかけて、イギリス南岸のサウザンプトンから南アフリカのケープタウンに向かうイギリスの旅客機や郵便機の中継地であった。このルートでは、イギリスからケニア西部のヴィクトリア湖に面する港湾都市キスムまでは飛行艇が使用され、そこから南では飛行場の航空機が使用された。ジョモ・ケニヤッタ国際空港は、現在東アフリカ最大の拠点的空港として各地に路線が開かれており、ケニア航空やフライ540、ジェットリンク・エクスプレスといった航空会社のハブ空港となっている。

バス

市内の公共交通はケニア・バス・サービスなどの会社組織のバス、ならびに個人経営が多い『マタトゥ』と呼ばれる小型バスが担っている。マタトゥは1960年代後半より公共交通の未整備を補完するために出現したもので、現在では中心部から市内各所に路線網を伸ばしている。マタトゥの路線は固定されているが、時刻は固定されていない。まとまったバスターミナルはなく、行き先ごとに発着場は異なっている。大型バスのほかに、国内各地や国境までの長距離マタトゥも頻発している。

鉄道

朝夕の中心部混雑はひどく道路整備が急務である

植民地時代に建設されたウガンダ鉄道のナイロビ駅がある。かつては、モンバサ駅行きの列車が週に数便出ており、所要時間は1日以上かかるものであった。近郊路線としての機能はない。

2017年中国の出資で近代化が図られ、モンバサ・ナイロビ標準軌鉄道として再出発。所要時間は4時間半に短縮されたが、旅客扱いの有無は不明[30]。これをさらにウガンダから南スーダンまで延伸する契約を東アフリカ諸国は中国と交わしている[31][32]

道路

宗主国イギリスと同じく、自動車は左側通行。モンバサからウガンダ国境へ抜ける国道が幹線で、市内を貫いている。中心部では片側2車線である。

市内中心部の道路はほぼ舗装されているが、舗装の傷みの激しい場所もある。信号機は数が少なく、交差点の交通の整理はイギリス式にラウンドアバウト(ロータリー)でなされている。


  1. ^ Population Distribution by Political Units”. knbs.or.ke. 2015年3月30日閲覧。
  2. ^ a b c d 『コンサイス地名辞典 外国編』、三省堂、1977年7月、P681。
  3. ^ Demographia: World Urban Areas & Population Projections
  4. ^ 2014 Global Cities Index and Emerging Cities Outlook (2014年4月公表)
  5. ^ 吉田昌夫『世界現代史14 アフリカ現代II』山川出版社、1990年2月第2版。p.122-123
  6. ^ United States Embassy. “Quiet Memorials Mark Fourth Anniversary of Embassy Bombing”. usembassy.gov. 2007年6月17日閲覧。 [リンク切れ]
  7. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/2355948?pid=2680117 「ケニア暴動、死者1500人以上」 afpbb 2008年02月26日 2014年11月6日閲覧
  8. ^ Population distribution by province/district and sex: 1979-199 censuses”. Kenya Central Bureau of Statistics. 2009年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月20日閲覧。
  9. ^ AlNinga. “Attractions of Nairobi”. alninga.com. 2007年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月14日閲覧。
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  11. ^ The East African (1998年11月2日). “Karura: Are We Missing the Trees for the Forest?”. nationmedia.com. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月14日閲覧。
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  23. ^ IRC E-source (2009年8月7日). “Kenya: Nairobi water board sent packing following reports on malpractices”. 2012年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月12日閲覧。
  24. ^ 「現代アフリカ都市社会論序説」p183 松田素二 「アフリカの都市的世界」所収 嶋田義仁・松田素二・和崎春日編 世界思想社 2001年6月10日第1刷
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  26. ^ ケニアのホテル襲撃、死者21人に 9・11生き延びた米国人も犠牲”. AFP (2019年1月17日). 2019年1月20日閲覧。
  27. ^ 田辺裕島田周平柴田匡平、1998、『世界地理大百科事典2 アフリカ』、朝倉書店 p180 ISBN 4254166621
  28. ^ 「ケニアを知るための55章」pp228-229 松田素二・津田みわ編著 明石書店 2012年7月1日初版第1刷
  29. ^ Estimated Road Distance Between Central Nairobi And Wilson Airport
  30. ^ ケニアで長距離鉄道が開通、地域経済活性化に期待 CNN(2017年6月2日)2017年6月3日閲覧
  31. ^ 中国、東アフリカで巨額の鉄道事業を受注”. AFPBB (2014年5月12日). 2018年6月24日閲覧。
  32. ^ 中国、東アフリカに鉄道建設へ 影響力拡大に動く”. 産経ニュース (2014年5月12日). 2018年6月24日閲覧。
  33. ^ 岩淵孝『地球を旅する地理の本3 西アジア・アフリカ』p178 大月書店、1993年4月。ISBN 4-272-50163-1
  34. ^ Sister Cities International”. Sister-cities.org. 2010年10月18日閲覧。






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