ナイロビ 人口

ナイロビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/20 13:57 UTC 版)

人口

ナイロビはアフリカの都市の中でももっとも急速に成長した都市の一つである。1899年に建設されて以来、この地域で最も若い都市であるにもかかわらず東アフリカ最大の都市に成長した。2011年現在、ナイロビの人口増加率は年間4.1%である[19]。ナイロビの人口は、2025年までには500万人に達すると予想されている[20]

人口 人口増加数
1906 11,500 0
1911 14,000 2,500
1921 24,300 10,300
1926 29,900 5,600
1929 32,900 3,000
1931 47,800 14,900
1939 61,300 13,500
1944 108,900 47,600
1948 119,000 20,100
1955 186,000 67,000
1957 221,700 35,700
1960 251,000 29,300
1962 266,800 17,800
1965 380,000 113,200
1969 509,300 129,300
1979 827,775 318,475
1989 1,324,570 496,795
1995 1,810,000 485,435
1999 2,143,254 333,254
2005 2,750,561 607,307
2009 3,138,369 387,808[21]

経済

I&M銀行本社

ナイロビは東アフリカ最大の都市であり、多くの国際機関や企業が本部や支社をおいている。なかでも国際連合は、国連環境計画 (UNEP) や国際連合人間居住計画 (UN-HABITAT) の本部をこの地域に置き、さらにこの2機関の活動を支援するため1996年国連事務局の四つの主要事務所の一つとして国際連合ナイロビ事務局を設立し、環境と人間居住の分野に関する活動の本部とするなど、ナイロビを重要拠点都市のひとつとしている。この国連の諸組織は、経済や雇用の面でも大きな利益をもたらしている。日本の諸組織も、ナイロビか南アフリカヨハネスブルグにその機能をおくことが多い。

国際関係の諸組織が集積し、来客などの受け入れ態勢も整っていることから、ナイロビでは多くの国際会議が開かれ、これまでに多くの条約がここで締結された。オリンピック・シンボルの保護に関するナイロビ条約(1981年)やナイロビ実施要請(2009年)、海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(2007年)などナイロビの名を冠する条約も数多い。

ナイロビ証券取引所 (NSE) は、アフリカ有数の証券取引所の一つである。この証券取引所は、1953年に正式に設立された。現在では、アフリカで4番目の取引量と、アフリカで5番目のGDPに対する時価総額の割合を持つ証券取引所となっている.[22]

都市問題

ナイロビのの94%は市の北にあるAberdare山系から供給される。中でも最も重要な供給源はティカ・ダムである。しかし、取水された水のうち40%は配水中に失われてしまい、水道に接続している消費者のうち水の供給が受けられるのはわずか40%にすぎない。スラムには水道水の供給がほとんどないために、幸運にも水道水の供給を受けられるものや水売りから水を買わざるを得ず、水道料金よりもはるかに高い水代を払わねばならない。2009年7月には、深刻な水不足が続く中、トランスペアレンシー・インターナショナル・ケニアとケニアのNGOであるMaji Na Ufanisi(水と開発)の発表した報告書によってナイロビ市上下水道事業会社の取締役会が不正のために解任される事態となった。この報告書はナイロビを含むケニア国内5都市のメーターの不正検針や産業用水の不正転用、水道への不正な接続を見逃すための賄賂の授受を告発し、中でもナイロビで最も不正が激しいことを指摘していた.[23]

これに限らず、ナイロビ市政府は急増する住民に十分な行政サービスを提供することができていない。ケニア政府は独立以来一貫して都市重点政策を展開し、インフラ整備の大半を人口の10%台を占めるに過ぎない都市地域に振り向けてきたにもかかわらず、である。ごみの収集能力は1994年時点で1日800tから1000tの発生に対し回収能力は200tに過ぎなかった[24]。この状況は以後も根本的な改善はなされていない。停電も多く、住宅供給は間に合わずに市の人口の60%が可住地の5%に過ぎないスラムに住む事態となった。公共交通機関も十分ではなく、公営バスの不足の隙間を埋める形で1960年代よりマタトゥ(ミニバス、乗り合いタクシー)の普及が急速に進んだ。一方でモータリゼーションの進行によって自動車の数は大幅に増え、交通渋滞が激しさを増しており、大気汚染もはじまっている。

また、ナイロビは治安の悪さにおいても悪名高い。特に、1990年代より凶悪犯罪が急増、組織的、凶悪的な事件も目立つようになった。2013年9月21日には、比較的安全とされていたナイロビ中心部のウェストゲート・ショッピングモールに武装集団が乱入するテロ事件(ケニアショッピングモール襲撃事件)も起きた[25]。また2019年1月15日にも、同様に複合施設への襲撃が行われ21人が死亡する事件が発生している[26]


  1. ^ Population Distribution by Political Units”. knbs.or.ke. 2015年3月30日閲覧。
  2. ^ a b c d 『コンサイス地名辞典 外国編』、三省堂、1977年7月、P681。
  3. ^ Demographia: World Urban Areas & Population Projections
  4. ^ 2014 Global Cities Index and Emerging Cities Outlook (2014年4月公表)
  5. ^ 吉田昌夫『世界現代史14 アフリカ現代II』山川出版社、1990年2月第2版。p.122-123
  6. ^ United States Embassy. “Quiet Memorials Mark Fourth Anniversary of Embassy Bombing”. usembassy.gov. 2007年6月17日閲覧。 [リンク切れ]
  7. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/2355948?pid=2680117 「ケニア暴動、死者1500人以上」 afpbb 2008年02月26日 2014年11月6日閲覧
  8. ^ Population distribution by province/district and sex: 1979-199 censuses”. Kenya Central Bureau of Statistics. 2009年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月20日閲覧。
  9. ^ AlNinga. “Attractions of Nairobi”. alninga.com. 2007年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月14日閲覧。
  10. ^ Perceptive Travel. “Nairobi by Degrees”. perceptivetravel.com. 2007年6月14日閲覧。 [リンク切れ]
  11. ^ The East African (1998年11月2日). “Karura: Are We Missing the Trees for the Forest?”. nationmedia.com. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月14日閲覧。
  12. ^ 『新訂増補アフリカを知る事典』、平凡社、1991年9月1日新訂増補第1刷 p.310
  13. ^ Gaisma. “Nairobi, Kenya - Sunrise, sunset, dawn and dusk times, table”. gaisma.com. 2007年6月22日閲覧。
  14. ^ World Weather Information Service - Nairobi”. World Meteorological Organisation (UN) (2011年6月). 2010年5月9日閲覧。
  15. ^ Climatological Normals of Nairobi”. Hong Kong Observatory. 2010年5月9日閲覧。
  16. ^ Average Conditions Nairobi, Kenya”. BBC Weather. 2009年8月18日閲覧。
  17. ^ 「抵抗する都市 ナイロビ 移民の世界から」pp54-55 松田素二 岩波書店 1999年11月25日第1刷
  18. ^ 「ケニアを知るための55章」p264 松田素二・津田みわ編著 明石書店 2012年7月1日初版第1刷
  19. ^ CIA - The World Factbook”. Cia.gov. 2011年3月28日閲覧。
  20. ^ Build cities to contain population explosion(2007年5月28日時点のアーカイブ
  21. ^ 2009 Census results End”. knbs.or.ke (2010年8月31日). 2013年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月31日閲覧。
  22. ^ Millennium IT. “Live Trading commences at Nairobi Stock Exchange”. millenniumit.com. 2006年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月28日閲覧。
  23. ^ IRC E-source (2009年8月7日). “Kenya: Nairobi water board sent packing following reports on malpractices”. 2012年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月12日閲覧。
  24. ^ 「現代アフリカ都市社会論序説」p183 松田素二 「アフリカの都市的世界」所収 嶋田義仁・松田素二・和崎春日編 世界思想社 2001年6月10日第1刷
  25. ^ “ケニアでショッピングモール襲撃、26人以上が死亡か”. 産経ニュース (産経新聞). (2013年9月22日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/130921/mds13092121510007-n1.htm 2013年9月22日閲覧。 
  26. ^ ケニアのホテル襲撃、死者21人に 9・11生き延びた米国人も犠牲”. AFP (2019年1月17日). 2019年1月20日閲覧。
  27. ^ 田辺裕島田周平柴田匡平、1998、『世界地理大百科事典2 アフリカ』、朝倉書店 p180 ISBN 4254166621
  28. ^ 「ケニアを知るための55章」pp228-229 松田素二・津田みわ編著 明石書店 2012年7月1日初版第1刷
  29. ^ Estimated Road Distance Between Central Nairobi And Wilson Airport
  30. ^ ケニアで長距離鉄道が開通、地域経済活性化に期待 CNN(2017年6月2日)2017年6月3日閲覧
  31. ^ 中国、東アフリカで巨額の鉄道事業を受注”. AFPBB (2014年5月12日). 2018年6月24日閲覧。
  32. ^ 中国、東アフリカに鉄道建設へ 影響力拡大に動く”. 産経ニュース (2014年5月12日). 2018年6月24日閲覧。
  33. ^ 岩淵孝『地球を旅する地理の本3 西アジア・アフリカ』p178 大月書店、1993年4月。ISBN 4-272-50163-1
  34. ^ Sister Cities International”. Sister-cities.org. 2010年10月18日閲覧。






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