ゴウザンゴマシジミ ゴウザンゴマシジミの概要

ゴウザンゴマシジミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/13 23:36 UTC 版)

ゴウザンゴマシジミ
ゴウザンゴマシジミ 成虫翅表, フランス
成虫翅裏
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 鱗翅目(チョウ目) Lepidoptera
: シジミチョウ科 Lycaenidae
亜科 : ヒメシジミ亜科 Polyommatinae
: ゴマシジミ属 Phengaris[2]
: ゴウザンゴマシジミ P. arion
学名
Phengaris arion (Linnaeus, 1758)[3]
シノニム
和名
ゴウザンゴマシジミ[4][5]

アリオンゴマシジミ[2]

英名
Large Blue[5]

分布

西ヨーロッパからロシア中国までの、旧北区のひろい範囲に分布する[6][7]ヨーロッパにおいては、ポーランドチェコスロバキアドイツフランススイスオーストリアユーゴスラビアスロベニアハンガリー、ロシア、ルーマニアウクライナトルコスペインブルガリアクロアチアイタリアリトアニアベルギーラトビアエストニアデンマークスウェーデンアルバニアギリシャフィンランドルクセンブルクから知られているほか、後述するように、オランダでは絶滅が確認され、イギリスでは絶滅後に再導入が行われている[7]東アジアでは中国のほか、モンゴル沿海州朝鮮半島北部などに分布するとされているが[4]、東アジアの個体群分類学的地位は安定しておらず[3][4][注釈 1]、とくに本種の分布域の東端は不確定である[7]

絶滅と再導入

本種は20世紀以降、ヨーロッパ各地で個体数が減少しており、とくに分布域の北部では減少が著しい。オランダでは1964年に、イギリスでは1979年に絶滅し、ベルギー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンではいくつかの地域個体群が現存するのみであるという[7]

イギリスでは、最後の生息地域として知られていたコーンウォール州北東部とデボン州北西部においても1960年代には絶滅が危ぶまれる状態となり[5]、より効果的な保全を行うため、1970年代から本種の生態にかんする集中的な研究が行われるようになった。この研究と保全は結果的には間に合わず、本種はイギリスから一度姿を消すこととなるが、本種の生態にかんする知見の蓄積はその後、スウェーデンの個体群をイギリスに再導入する際に活かされることとなった。再導入は現在のところ成功をおさめており、近年ではイギリスの再導入地域が、ヨーロッパの中でもっとも本種の生息密度の高い場所となっている[8]。保全のために重要なのは本種、および幼虫の食草や寄主アリの生息に適した草丈の低い草原環境の維持であり、再導入地域ではそのために低木の伐採や放牧などが行われている[5][8]。地域ごとに生態に差が見られる場合があるため、イギリスで成功をおさめた保全計画がヨーロッパの他の地域個体群にそのまま適用できるわけではなく、また、イギリスにおいても気候変動などでふたたび個体数が減少に転じる可能性は残されており、今後の研究の進展や保全のゆくえが注目される[8]

形態

成虫前翅表は光沢のある明るい青色で、外縁部の黒色帯によって縁取られる。縁毛は白い[6]。中室外側には列状の黒色紋があるが、個体変異が大きい[6][9]。あまり目立つものではないが性的二型が見られ、オスに比べてメスは一般に翅表が暗い傾向がある[9]。翅裏は灰色から灰褐色だが、後翅翅裏の基部から後縁にかけては青緑色がかった色彩を呈する[6]




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