絶滅と再導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 09:59 UTC 版)
本種は20世紀以降、ヨーロッパ各地で個体数が減少しており、とくに分布域の北部では減少が著しい。オランダでは1964年に、イギリスでは1979年に絶滅し、ベルギー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンではいくつかの地域個体群が現存するのみであるという。 イギリスでは、最後の生息地域として知られていたコーンウォール州北東部とデボン州北西部においても1960年代には絶滅が危ぶまれる状態となり、より効果的な保全を行うため、1970年代から本種の生態にかんする集中的な研究が行われるようになった。この研究と保全は結果的には間に合わず、本種はイギリスから一度姿を消すこととなるが、本種の生態にかんする知見の蓄積はその後、スウェーデンの個体群をイギリスに再導入する際に活かされることとなった。再導入は現在のところ成功をおさめており、近年ではイギリスの再導入地域が、ヨーロッパの中でもっとも本種の生息密度の高い場所となっている。保全のために重要なのは本種、および幼虫の食草や寄主アリの生息に適した草丈の低い草原環境の維持であり、再導入地域ではそのために低木の伐採や放牧などが行われている。地域ごとに生態に差が見られる場合があるため、イギリスで成功をおさめた保全計画がヨーロッパの他の地域個体群にそのまま適用できるわけではなく、また、イギリスにおいても気候変動などでふたたび個体数が減少に転じる可能性は残されており、今後の研究の進展や保全のゆくえが注目される。
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