コアラ
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人間との関係
“koala” の名前はダルク語の gula に由来するものである。元来、母音の /u/ はアルファベットで oo と綴られ、スペルは coola、koolah と表記されたが、表記ミスにより oa と変わった[25] 。この言葉は、"doesn't drink"(水を飲まない)を意味すると誤って言われている[25]。
コアラはクマの一種ではないが、18世紀後半にやってきた英語を話すヨーロッパ人入植者により、クマに似ていることから koala bear(コアラグマ)と呼ばれた。分類学的には不適切であるが、koala bear の名前は現在でもオーストラリア以外で使われている[26]が、この名称は不正確であるため、使うことは推奨されていない[27][28][29][30][31][要出典]。
他の英語表記には、クマを意味する “bear” をもとに、monkey bear(猿クマ)、native bear(固有のクマ)、tree-bear(木のクマ)などと呼ばれることがある[25]。また日本語ではコモリグマなどと呼ばれることがある。
森林伐採や山火事による生息地の破壊、毛皮用の狩猟、交通事故、イヌによる捕食などにより生息数は減少している[1]。オーストラリアコアラ基金は2021年9月20日、大規模な山火事や旱魃などにより過去3年でコアラの生息数は最大で5万8000匹、最少で3万2000匹へ減少し、128あった生息地のうち47で野生の個体がいなくなったと発表した[32]。
ヨーロッパ人の入植以前から、オーストラリア先住民が食糧としていた[9]。しかし、ヨーロッパ人到達の植民地化以降、特に1860年代から1920年代後半にかけてコアラの毛皮をとるために狩猟が行われており、イギリスのロンドンだけで毎年1 - 3万頭分もの毛皮が販売されていた[12]。たとえば1889年には30万頭分の毛皮がイギリスへ輸出され、また1920年代にはアメリカ合衆国への輸出がされていた[8]。一時的にではあるが1898年にはビクトリア州で、1906年にはクイーンズランド州でコアラの狩猟が禁止されたが、この間も狩猟が行われ、「ウォンバットの毛皮」として輸出されていた[12]。また、最盛期にあたる1919年にはクイーンズランド州では100万頭以上が、1924年にはニューサウスウェールズ州で100万頭以上ものコアラが毛皮のために捕獲され、また1927年には狩猟が許可された期間である約1か月間で58万5,000頭弱分ものコアラが捕獲され、毛皮がとられた[12][8][9]。このように捕獲がしやすかったコアラは次々と毛皮のために狩猟されていき、1930年代後半までには南オーストラリア州では絶滅の危機に瀕し、その他の州では急激に減少していた[7][12][8]。このような乱獲や開発による生息地の分断などにより、クイーンズランド州北部、南オーストラリア州、またニューサウスウェールズ州とビクトリア州の州境付近などで個体群が孤立した[9]。
その後、保護活動がなされ、ビクトリア州フィリップ島やフレンチ島などから、本土のビクトリア州、南オーストラリア州などに再導入されている[7]。特に南オーストラリア州には1920年代から1960年代にかけて、数度の再導入が試みられてきた[7]。
現在、コアラの個体数は、オーストラリア政府は判断をしていないが[7]、オーストラリアコアラ財団により10万頭以下であると予想されている[33]。資料によっては4万3,000頭とされることもある[34]。しかし、全ての地域で個体数を減らし続けているわけではなく、グレートディバイディング山脈西部のいくつかの個体群などでは個体数が増加し、分布域を広げている[7]。また南オーストラリア州においては、再導入の結果、ヨーロッパ人入植時よりも多くの個体数がより広範囲に分布している[7]。
一方で、再導入された島嶼部や自然分布以外の地域、分断された生息地などにおいて、コアラによるユーカリの食害が報告されており、問題となっている[7]。
保全状態の評価
オーストラリア政府の法律では、サウス・イースト・クイーンズランド地域の個体群を除き保護対象になっておらず、2010年9月30日までに再評価を行うとしている[7]。また、オーストラリア政府はコアラの保護政策を各州政府に任せている。クイーンズランド州ではサウス・イースト・クイーンズランド地域の個体群を危急種(Vulnerable)に、その他の地域のコアラを軽度懸念(Least Concern)に指定している[7]。ニューサウスウェールズ州はワリンガのピットウォーター地区と、グレート・レークスのティー・ガーデン地区およびホークス・ネスト地区のコアラを絶滅危惧(Endangered)に、その他を危急種(Vulnerable)に指定している[7]。ビクトリア州では野生動物全般を扱う法(Wildlife Act 1975)の下に野生動物の取引などを制限しているが、保全状態の評価はしていない[7]。南オーストラリア州もビクトリア州と同じように野生動物全般を扱う法(National Parks and Wildlife Act 1972)で野生動物や生息地の保護、取引や狩猟などの行為を制限している。近年まで希少種(Rare)とされていたが、2008年に指定から外された[7]。2022年2月11日にはニューサウスウェールズ、クイーンズに生息するコアラについて、近年の大規模森林火災などで絶滅の危険が増大したとして「絶滅危惧種」に指定したと発表。傍らで保護において全力を挙げる姿勢を鮮明にしている[35]。
アメリカ合衆国では絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律により、絶滅危惧種(Threatened)に指定された[7]。
コアラの飼育施設
コアラは動物の中でも非常に神経質で、人工施設内で飼育する場合は環境変化によってコアラ・ストレス・シンドロームを発症しやすく、飼育には細心の注意が必要とされる[36][37]。 日本では1984年に初めて輸入され、鹿児島市平川動物公園、多摩動物公園、東山動植物園で各2頭ずつ計6頭のオスの飼育が開始された[4]。このうち鹿児島市平川動物公園では、1986年に日本では初めて飼育下繁殖に成功した[4]。
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1980年までオーストラリア以外でコアラを見ることができたのは、1915年にコアラの飼育を始めたアメリカ合衆国のサンディエゴ動物園だけであり、コアラの生息数が減少してからはオーストラリア政府は海外へ輸出することを禁止していた[12]。1980年にオーストラリアの法律が改正され、1984年および1985年にオーストラリアのタロンガ動物園から日本の多摩動物公園、東山動植物園、平川動物公園の3園に贈られた[12][38]。
このときにユーカリが日本で育てられるかも調べられたほか、コアラが到着する3週間前には餌となるユーカリが輸入され、またそれと同時に、コアラにはどのような葉が適しているのか、一日にどのくらい食べるのかなど、様々な飼育方法などの情報が提供された[12]。このとき、日本では「コアラ・ブーム」が沸き上がることとなった[12]。オーストラリアからコアラが贈られた際、日本からはそのお返しにオオサンショウウオを贈っている[要出典]。
さらに翌年1986年に埼玉県こども動物自然公園、横浜市立金沢動物園(コアラ騒動)、1987年に淡路ファームパーク イングランドの丘、1989年に大阪市天王寺動物園、1991年に神戸市立王子動物園、1996年に沖縄こどもの国と増えている。または1998年に草津熱帯圏で期間限定でコアラ展を開催してコアラを展示していた。草津熱帯圏で飼育していたコアラは金沢動物園から借りたコアラである。2010年に沖縄こどもの国で飼育されていたコアラが死亡し[39]、2019年には、大阪市天王寺動物園のコアラがイギリスの動物園ロングリートサファリパークへ譲渡された[40][41][42][43][44]ため、2020年2月現在、日本国内でコアラを飼育している動物園は7園である[45]。
しかし、近年コアラの飼育数が減少しているため、全国のコアラを飼育する動物園が協同繁殖に取り組んでいる。最も問題となるのがコアラの餌で、前述のようにコアラはユーカリなど決まった植物の中からさらに特定の種類、しかも若い木の葉ではいけないなどの嗜好があり、大量に食べるため、合理的にコアラを飼育するには餌用のユーカリを専門に栽培する農家の存在と、ユーカリを年中安定して供給できる環境が必要である。また、初来日時のコアラ・ブームが去ってコアラの動物園などへの集客力がジャイアントパンダなどに比べて大幅に落ちている。
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Ara
(コアラ から転送)
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Ara(アラ、1990年2月11日 - )は、韓国出身の女優、ファッションモデルである。日本では芸名のAra、韓国では本名のコ・アラ(漢: 高雅羅、朝: 고아라)名義で活動している。
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