アオギリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 06:02 UTC 版)
アオギリ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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Firmiana simplex
(2004年8月12日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Firmiana simplex (L.) W.F.Wight (1909)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
アオギリ、ケナシアオギリ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Chinese parasol tree |
分布
中国南部・東南アジア原産。日本では沖縄、奄美大島に自然分布し[9]、日本国外では中国、台湾、インドシナに分布する[6]。暖かい地域の沿岸地に生える[10][11]。日本へは極めて古くに渡来し、広く各地に植えられて本州、四国、九州にも分布し[12][7]、伊豆半島や紀伊半島などの暖地に野生化した状態でみられることもあるが[6]、多くは街路樹や庭木などにして植えられる[9]。
形態・生態
落葉広葉樹の高木で[9]、樹高は10 - 20メートル (m) になり、幹は直立する[6][8][5]。幹や枝の樹皮は緑色で、小枝は太い[9]。若木の樹皮は緑色で滑らかだが、生長と共に灰褐色を帯びて縦に浅い筋が入るようになる[5]。春に芽吹いて、赤色の芽を勢いよく伸ばしていく[12]。
葉は互生し、大きな葉身に長い葉柄がついて全体の長さは40 - 50センチメートル (cm) にもなり[12]、葉身は薄く卵形で掌状に浅く3 - 5裂(ふつう5裂)する[9][11]。葉身の基部は心臓形で、縁に鋸歯はない[11][12]。芽吹きはじめの葉は大きく、幼葉の表面、葉枝に淡い赤茶色の軟らかい毛があり、よく目立つ[9][5]。秋には黄色に紅葉し、柄つきのまま落葉する[12]。紅葉はやや薄い黄色に色づき、褐色を帯びるのが比較的早い[11]。
花期は初夏から夏(5 - 7月)で[6]、枝先に大形の円錐花序を出して[13]、黄白色の雄花と赤色の雌花が混じり、5弁の小花を群生する[9][14]。がく片は5個で、花弁はない。
果実は蒴果で草質、秋(9 - 10月ころ)に熟すが、完熟前に子房が5片に裂開し、それぞれ1片の長さが7 - 10 cmほどある舟の形のような裂片(心皮)になる[8]。その葉状の舟形片の縁辺に、まだ緑色のエンドウマメ(グリーンピース)くらいの小球状の種子を1 - 5個ほど付ける[6][13]。種子は球形で径4 - 6ミリメートル (mm)、のちに黄褐色から茶色に変化し、表面に皺があり硬い[9][13]。冬でも、さやが割れて縁に丸い種子を付けた実を見ることができる[5]。
冬芽は枝の先端に頂芽を1個つけ、側芽は互生する[10]。頂芽は径8 - 15 mm ほどある大きな半球形で、ビロード状の赤茶色の毛が密生した10 - 16枚の芽鱗に包まれている[10][5]。側芽は球形で小さく、枝に互生する[5]。葉痕上部に托葉痕がある[5]。葉痕はほぼ円形で大きく、小さな維管束痕が多数ある[10][5]。
よく水を吸い上げて、火に強い性質がある[7]。生命力が強く、潮水や潮風などの塩害や、大気汚染にもよく耐える[8]。
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未熟果はグリーンピースのような種子をつける
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Firmiana simplex - Museum specimen
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黄葉したアオギリ
注釈
出典
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana simplex (L.) W.F.Wight アオギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana platanifolia (L.f.) Schott et Endl. f. tomentosa (Thunb.) H.Hara アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana simplex (L.) W.F.Wight var. glabra Hatus. アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Firmiana platanifolia (L.f.) Schott et Endl. アオギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 100.
- ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 142.
- ^ a b c 辻井達一 2006, p. 127.
- ^ a b c d e f g h i j k 田中潔 2011, p. 132.
- ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 9.
- ^ a b c d e 菱山忠三郎 1997, p. 124.
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 64.
- ^ a b c d e 亀田龍吉 2014, p. 60.
- ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 117.
- ^ 菱山忠三郎 1997, p. 125.
- ^ 『埤雅』 巻14・釈木・桐 。"旧説、梧桐以知日月正閏。生十二葉、一辺有六葉。従下敷一葉為一月。有閏則生十三葉。視葉小者、則知閏何月。不生、則九州異君。"。
- ^ 『詩経』大雅・巻阿に「鳳凰鳴矣、于彼高岡。梧桐生矣、于彼朝陽。」とある。また『荘子』秋水篇に鳳凰は梧桐の木にしかとまらないと言う。
- ^ 『太平御覧』 巻579・琴下 。"『琴書』曰昔者至人伏羲氏王天下也(中略)削桐為琴。"。
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