遠心分離法(Centrifuge)
遠心分離法
遠心分離法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 07:43 UTC 版)
ウラン235とウラン238のわずかな質量差を利用した同位体分離法である。気化した六フッ化ウランを遠心分離装置内で高速回転させると、質量の大きいウラン238は壁側に、質量の小さいウラン235は軸側に集まる。しかし、遠心分離機は高速回転しているため、回転軸付近の圧力はきわめて低く、そのままでは質量の小さいウラン、つまり濃縮ガスを回収できない。回転胴内には濃縮、減損ガスを回収するために、スクープと呼ばれる管が、上下端板付近に挿入されている。これらの構造を適当に選ぶと、向流とよばれる一種の対流が励起される。また回転軸方向に温度勾配をつけることによっても向流を生成できる。向流のため、濃縮ガスと減損ガスは、動径方向ではなく軸方向に分離され、上下端板付近からスクープで回収される。遠心分離機の分離係数は、理論的には回転胴の長さと、回転円筒の周速度の4乗に比例する。より高い分離係数を得るには回転胴を長くすればよいが、機械振動による共振問題が生じる。分離効率は回転数が高いほど向上する為、共振点を超えた回転数(スーパークリティカル)で運転するのが一般的である。もっとも、遠心分離大国であるロシアでは、サブクリティカルで、かつ胴長の短い、つまり低性能の遠心分離機を、多段に重ねて、多数台配置するという手法を採用している。遠心分離法はガス拡散法と比較すると、反復回数は30分の1以下に、濃縮に要するエネルギーは10分の1以下に抑えられる。設備容量の拡大が容易という利点もあり、ガス拡散法にかわる濃縮プラントとして実績をあげている。日本では、日本原燃株式会社が青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字野附において、1992年より同方式によるウラン濃縮工場を操業している。
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