ガスかくさん‐ほう〔‐クワクサンハフ〕【ガス拡散法】
ガス拡散法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 07:43 UTC 版)
ウラン235とウラン238のわずかな質量比による拡散速度の差異を利用した同位体分離法である。圧縮機(コンプレッサー)によって、気化した六フッ化ウランを隔壁の設けられた気室に送り出し、内部で拡散させる。隔壁には数十Åの孔が無数に空いており、質量の小さいウラン235の化合物がわずかに多く孔を通り抜けるため、隔壁を通すことで元のガス流よりもわずかにウラン235の比率が多い濃縮流を得ることができる。拡散を一回行う場合の理想の分離係数(濃縮度)は a = 352 / 349 = 1.00429 {\displaystyle a={\sqrt {352/349}}=1.00429} であるが、実際には1.003倍程度になる。 こうして得られた濃縮流をさらに同じ工程にかけることによってガスのウラン235比率を上げて行く。 同時に、減損流(隔壁を通過せずウラン235の比率が減少したガス流)にも多くのウラン235が残されているため、施設をカスケードで構成し、減損流を再度濃縮工程にかける工夫が施されている。具体的には、本来廃棄される減損流を一段階前の濃縮工程の入力として再利用することである。 ガス拡散法では、原子炉で用いる濃縮度3%の低濃縮ウランを生成するにもカスケードを数百段以上組む必要があるため、消費電力、所要時間、ともに膨大になる。しかし、最も初期(第二次世界大戦中)に生産実証されたウラン濃縮技術であるため工業実績が高く、現在でもいくつかの濃縮プラントが稼働を続けている。
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