missile defenseとは? わかりやすく解説

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エム‐ディー【MD】


ミサイル防衛(Missile Defense : MD)

米国推進している、弾道ミサイルによる攻撃に対してミサイルレーザー兵器等で迎撃して防御する兵器システムもしくはその概念。本来は米国(現ブッシュ政権)における名称であるが、他国同様なシステム等の一般的な呼称にも使われるようになってきている。また、一般的な呼称としては「弾道ミサイル防衛Ballistic Missile DefenseBMD)」ともいう。なお米国におけるこの構想は、レーガン政権1981年1989年)の「戦略防衛構想Strategic DefenseInitiativeSDI)」を端緒として、その後、前ブッシュ政権1989年1993年)の「限定的弾道ミサイル対すグローバル防衛Global Protection Against Limited StrikesGPALS)」、クリントン政権1993年2001年)の「国家ミサイル防衛National Missile DefenseNMD)」及び「戦域ミサイル防衛(Theater Missile DefenseTMD)」、そして現ブッシュ政権2001年~)の「ミサイル防衛(MD)」と変遷してきている。米国は、大量破壊兵器等で武装したテロリスト等がもたらし得る破局的危害から米国民防護する諸政策の一環として2002年12月2004年から2005年までのミサイル防衛の初期配備決定した日本は、大量破壊兵器弾道ミサイル等の拡散進展踏まえ弾道ミサイル攻撃に対して国民生命財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であり、専守防衛旨とする日本の防衛政策にふさわしいものであることから、2003年12月弾道ミサイル防衛BMDシステムイージスBMDシステム上層大気圏外)とペトリオットPAC-3下層大気圏再突入時)による多層防衛システム)の整備決定した2007年12月には、日本初となるイージス艦こんごう」のミサイル迎撃実験成功させ、引き続き米国とのBMD協力係る取組強化加速させている。

ミサイル防衛

(missile defense から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 03:04 UTC 版)

ミサイル防衛(ミサイルぼうえい、英語: Missile Defense, MD)または弾道ミサイル防衛(だんどうミサイルぼうえい、英語: Ballistic Missile Defense, BMD)は、主に弾道ミサイルからある特定の区域を防衛すること及びその構想である。敵のミサイルを迎撃するミサイル防衛は時代と共にその名称が変遷して国家の安全保障にとって重要になってきている[1]


注釈

  1. ^ 元東京新聞論説委員の半田滋はSM3火星12双方の最高高度の差から、撃ち落とすのは不可能である旨や[11]、変則軌道で飛行するミサイルにはミサイル防衛が無力である旨も主張している[12]
  2. ^ 2008年2月に制御不能に陥った偵察衛星NROL-21を撃墜した際には、高度247km、低高度周回衛星であるので速度8km/s以上で要撃し、撃破している。
  3. ^ ただし、田岡俊次は「標的のデータが分かっているから当たって当然」、「実戦で相手はそれを通知しない」ことを指摘している[14]
  4. ^ イラク戦争時の迎撃実績は、15目標に対して9迎撃機会9撃破。うち2目標はPAC-3を4基発射、7目標はPAC-2・22基発射での撃破。残りの6目標は防空エリアを外れたため、交戦規則上射程外目標への空撃ち禁止のため迎撃せず標的は何れも砂漠に消えた。
  5. ^ なお、攻撃側の液体燃料弾道弾の即時使用信頼性は装備数の約3割とされ、配備数がそのまま完全に実効力のある攻撃手段となるわけではない。また防御側の現用のMDも、即応弾数ではなくレーダーの数によって同時対処数は制限されるため、即応弾数の数だけ同時対処できるというわけではない。
  6. ^ PAC-3開発時の推定ではあるが、早期警戒衛星の情報が無い要撃部隊単体での期待要撃率は早期警戒衛星の情報がある場合に比べて半減する物と考えられている。イラク戦争時の先例では比較的低速な短距離弾道ミサイルの弾着までの余裕は7分強あり、早期警戒衛星が敵弾道ミサイルの発射を確認するまで10秒以内、防空部隊への情報伝達は3.3分まで短縮され、防空部隊がレーダーで補足する前までに1分間の余裕が稼げたと伝えられている。
  7. ^ 海上自衛隊の基幹指揮回線である海上作戦部隊指揮管制支援システム(MOFシステム)はSUPERBIRD B2による衛星通信を使用するが、将来的にMOFシステムとJADGEシステムが連接された場合、これによって受信できる可能性も考えられる。
  8. ^ RIM-156 SM-2ERブロックIV、SM-6などの開発により、将来的には終末航程での交戦能力を付与する予定である。

出典

  1. ^ サウジ、イエメン武装勢力のミサイル迎撃 首都の宮殿を標的CNNニュース
  2. ^ 株式会社講談社 ブルーバックス「レーザーの世界」
  3. ^ Gorbachev's Reversal on Strategic Defense: An Opportunity for Bush
  4. ^ Limited Ballistic Missile Strikes. North Atlantic Treaty Organization.
  5. ^ 戦域ミサイル防衛』 - コトバンク
  6. ^ ロシアが誇る「無敵」核兵器をアメリカは撃ち落とせない”. Newsweek Japan (2018年3月7日). 2018年4月1日閲覧。
  7. ^ 中国が新型ICBM「東風41」を公開 全米を射程 - 日本経済新聞
  8. ^ a b c 防衛省、「レールガン」本格開発へ 極超音速兵器迎撃、対艦攻撃も:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2022年1月18日閲覧。
  9. ^ イージス・アショアが事実上の白紙撤回――「ミサイル迎撃は常に不利」米軍幹部が警告”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年6月16日閲覧。
  10. ^ 北朝鮮ミサイル、自衛隊の迎撃に現実味 技術向上で「困難」の見方も 時事通信 2023年4月15日07時14分配信
  11. ^ 半田滋 (2022年10月6日). “Jアラートは誤報、「火星12」は撃ち落とせない…北朝鮮「ミサイル発射」で判明した残念な現実”. 現代ビジネス. 講談社. p. 3. 2023年2月22日閲覧。
  12. ^ 半田滋 (2022年10月6日). “Jアラートは誤報、「火星12」は撃ち落とせない…北朝鮮「ミサイル発射」で判明した残念な現実”. 現代ビジネス. 講談社. p. 4. 2023年7月22日閲覧。
  13. ^ 能勢(2008)において、Jane's Strategic Weapon Systems Issue 47によるとの記述。
  14. ^ 田岡俊次 (2018年8月9日). “イージス・アショアが吹っかけられた「高い買い物」に終わる理由”. ダイヤモンド・オンライン. p. 5. 2019年7月29日閲覧。
  15. ^ 軍事研究』2008年7月号56ページによる。
  16. ^ 04年度:1,068億、05年度:1,198億、06年度:1,399億、07年度:1,826億 防衛省公式サイト 平成19年度政策評価 総合評価 弾道ミサイル防衛政策 参考
  17. ^ 防衛省技術研究本部機関評価報告書(平成22年8月25日)
  18. ^ 平成23年度 事後の事業評価 評価書一覧 将来光波センサシステム構成要素技術の研究
  19. ^ 防衛省技術研究本部 - H17/11:将来センサシステム(搭載型)の性能確認試験H19/12:AIRBOSS ミサイル標的の探知・追尾に2度目の成功
  20. ^ 平成18年度 事前の事業評価 評価書一覧 将来無人機構成要素の研究
  21. ^ 平成23年度 事後の事業評価 評価書一覧 早期警戒滞空型レーダ技術の研究
  22. ^ 平成21年度 事前の事業評価 評価書一覧 電波・光波複合センサシステムの研究
  23. ^ 図説 自衛隊有事作戦と新兵器 P.87
  24. ^ 総合取得改革に係る諸施策について(平成27年度概算要求) P.15
  25. ^ 平成27年度予算概算要求の概要 防衛省技術研究本部 P.5
  26. ^ a b c d 防衛省公式サイト 平成19年度政策評価 総合評価 弾道ミサイル防衛政策 参考
  27. ^ 弾道ミサイル防衛(BMD)について防衛省
  28. ^ 地上イージス1340億円 契約後、配備まで6年 防衛相発表2018年7月30日、産経ニュース
  29. ^ 米、陸上イージスの日本売却を承認 2基2350億円:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞 (2019年1月30日). 2019年1月30日閲覧。
  30. ^ 陸上イージス、撤回の方針決定 攻撃能力保有、議論へ”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞 (2020年6月24日). 2020年6月25日閲覧。
  31. ^ 岡部いさく (2006)
  32. ^ 自衛隊・防衛問題に関する世論調査 平成18年(2006年)2月
  33. ^ 韓国を操る中国――「三不一限」の要求
  34. ^ 米ミサイル防衛システム=THAAD韓国配備にまつわる攻防
  35. ^ THAAD:韓国防戦 中国一転圧力 対立封印、見通せず - 毎日新聞


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