COPD増悪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 17:06 UTC 版)
COPDの増悪とは、呼吸困難、咳、喀痰といった症状が日常の生理的変動を超えて急性に悪化し、安定期の治療内容の変更を要するもののことである。ただし、他疾患(心不全、気胸、肺血栓塞栓症など)の合併による増悪は除外される。増悪の頻度で最も多いのが呼吸器感染症と大気汚染であるが約30%で増悪の原因は特定できない。急性増悪時には医療機関でパルスオキシメトリー、血液ガス分析、胸部単純Xp、心電図、血液検査(血算、CRP、電解質、肝腎機能など)の検査が、必要に応じて胸部CTや血液培養、喀痰Gram染色と培養、肺炎球菌尿中抗原などの感染症検査、心臓超音波検査、血清BNP濃度測定、凝固能検査などが行われる。重症度は呼吸器学会のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(2014年1月現在 第4版)によって決められることが多い。 軽症 呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のうち1つと、5日以内の上気道感染、他に原因のない発熱、喘鳴の増加、咳の増加、呼吸数あるいは心拍数の20%以上の増加のつち一つ以上が認められる。 中等症 呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のうち2つ以上が認められる。 重症 呼吸困難の悪化、喀痰量の増加、喀痰の膿性化のすべてが認められる。 増悪と判断した場合は薬物療法、酸素療法、換気補助療法がおこなわれる。薬物療法ではABCアプローチ(抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイド)が用いられる。呼吸困難の第一選択は短時間作用性気管支拡張薬である。気管支拡張薬の吸入容量や回数を増加させる。効果が不十分な場合は短時間作用型抗コリン薬の併用を行い、これら治療を30分から60分ごと反復する。これらの吸入薬で効果不十分ならばテオフィリン薬の静脈投与を考慮する。安定期の病期がⅢ期以上の症例、呼吸困難が高度な症例、入院を要する症例では細菌感染がある場合もPSL30 - 40mg/dayの7 - 10日の投与が推奨されている。喀痰の膿性化が認められる場合は、細菌感染の可能性が高いため抗菌薬の使用が推奨される。
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