The Return of Sherlock Holmesとは? わかりやすく解説

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シャーロック・ホームズの帰還

(The Return of Sherlock Holmes から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/06 03:33 UTC 版)

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シャーロック・ホームズの帰還』(シャーロック・ホームズのきかん、The Return of Sherlock Holmes)は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編集。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、五つの短編集のうち3番目に発行された作品である。1905年の発行で、イギリスの『ストランド・マガジン』1903年10月号から1904年12月号にかけて発表された13の短編を収録している[1]。 『ストランド・マガジン』連載時にはシドニー・パジェットが挿絵を担当した。

日本語版では、訳者により『シャーロック・ホームズの生還』『シャーロック・ホームズの復活』などの訳題も使用される。

ホームズの死と復活

ドイルは『ストランド・マガジン』1893年12月号に発表した「最後の事件」でシャーロック・ホームズをライヘンバッハの滝に葬り、シリーズを終了させた。「最後の事件」発表後、読者や出版社からはホームズを復活させるよう幾度となく要望がなされたが、ドイルにその意思はなかった。新鮮なプロットを追い求めるのにうんざりしていたこと、ホームズシリーズばかりが注目を集め、自身の他の分野の著作が埋もれてしまっていることなどから、これ以上シリーズを書き続けるのは間違いだと考えていたためである[2]。1896年のスピーチ[3]では、ホームズを殺したのは自己防衛のための殺人であり、もしホームズを殺していなかったらホームズのほうが自分を殺しただろう、と述べている[4]

しかし、ホームズ復活の可能性は皆無というわけではなかった。1896年、ドイルは「競技場バザー」というシリーズの短いパロディを書く。1897年、ホームズを主役とする芝居の台本を書き、これは後にウィリアム・ジレットが台本を書き直して舞台化された。1898年には『ストランド・マガジン』に連載していた『炉辺物語』に含まれる短編「時計だらけの男」と「消えた臨時列車」の作中に、ホームズらしき人物を登場させている[5]。そして1901年、ドイルはホームズの登場する新作、長編『バスカヴィル家の犬』を『ストランド・マガジン』1901年8月号から1902年4月号にかけて連載した。事件の発生は「最後の事件」より前であり、ホームズが生き返ったわけではないが、再登場したホームズは以前と同様の優れた腕前を見せ、読者の変わらぬ支持を集めたのであった[4]

1903年、依然としてホームズの復活を拒絶していたドイルに対し、アメリカのコリアーズ社がシリーズの1作につき4000ドル(2000年代においては約3000万円の価値)という破格の提案をする。ついにドイルはこの提案を受け入れ、新たに8編の物語を書くという契約を結んだ。ドイルは執筆を開始し、ホームズが死んでいなかったことが明かされる「空き家の冒険」をはじめとする8編が、同年9月までに完成する。そして、短編としては9年10ヶ月ぶりとなる『シャーロック・ホームズの帰還』の連載が、アメリカの『コリアーズ・ウィークリー』1903年9月26日号とイギリスの『ストランド・マガジン』1903年10月号にて開始されたのであった。1903年の秋、ドイルはボーター選挙区で推薦を受けて政治活動を行なったが、翌年になると執筆に戻り、4編を追加で書き上げた。

さらに、ドイルは連載の契約とは別に、サミュエル・シドニー・マックルーア[6]と執筆の約束をしていた。マックルーアは短編の新連載か中編を希望していて、12編の新連載に対しては75000ドルを提示した。しかし、プロットを使い切ったと考えていたドイルは、再びシリーズを終了させる作品として執筆することにした。こうしてホームズを引退させる短編「第二の汚点」が執筆されたが、ホームズの引退はその死ほどの関心は得られなかった。「第二の汚点」は契約の問題などから、最終的には13編目の連載作品として『コリアーズ・ウィークリー』と『ストランド・マガジン』で発表されることになった。『シャーロック・ホームズの帰還』は全13編の連載となり、1905年に単行本として発行された[4]

収録作品

タイトルは『ストランド・マガジン』に掲載されたもの。日本語版では訳者により様々な訳題が使用されている。括弧内は掲載号。

脚注

  1. ^ ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』日暮雅通訳、河出書房新社、2002年、151-152頁
  2. ^ 『ティット・ビッツ』1900年12月15日号に掲載されたインタビュー「シャーロック・ホームズの真相」 - コナン・ドイル『まだらの紐 ドイル傑作集1』北原尚彦・西崎憲編、東京創元社〈創元推理文庫〉、2004年、332-340頁
  3. ^ 作家クラブでのスピーチ。『クイーン』誌1896年7月4日号に掲載された。
  4. ^ a b c コナン・ドイル著、リチャード・ランセリン・グリーン注・解説『シャーロック・ホームズ全集 第6巻 シャーロック・ホームズの帰還』小林司・東山あかね、高田寛訳、河出書房新社、1999年、659-686頁
  5. ^ 「競技場バザー」「時計だらけの男」「消えた臨時列車」はシリーズの外典とされている。
  6. ^ マックルーアは短編の版権を取得してアメリカの新聞各紙に配信するなど、ドイルと緊密な関係にあった。

「The Return of Sherlock Holmes」の例文・使い方・用例・文例

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