武満 徹
日本を代表する作曲家。清瀬保二に短期間師事した他は、ほぼ独学で作曲を学ぶ。1951年、秋山邦晴、鈴木博義等と前衛芸術家グループ「実験工房」を結成。57年、来日中のストラヴィンスキーに《弦楽のためのレクイエム》を認められ、一躍楽壇に登場。その後67年には、尺八と琵琶とオーケストラのための《ノヴェンバー・ステップス》により、世界的にも認められた。生涯にわたってコンスタントに創作されたピアノ独奏曲からは、評論家・山根銀二に「音楽以前である」と評された《2つのレント》(50)に始まり、《ピアノ・ディスタンス》(61)以降の実験的創作期、そして《閉じた眼》(79)以降の「タケミツ・トーン」による円熟期、とその作風の変遷を見て取れる。映画音楽や文筆、また音楽祭等の企画の分野でも活躍し、社会的にも大きな影響力を持った。西洋の前衛的な手法を取り入れつつ、「水」「鳥」「庭」といった自然のイメージを内包した独自の音楽は、没後10年を過ぎた今なお、世界的にも評価が高い。
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