ROS-Industrial
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 22:02 UTC 版)
「Robot Operating System」の記事における「ROS-Industrial」の解説
ROS-Industrialとは、ROSを産業用ロボット向けに拡張する取り組みである。ROSはサービスロボット研究の領域で広く利用されるようになった。ROSを利用した知能情報処理機能は産業用ロボット領域へも適用できるものであり、従来は技術的・コスト的に実現困難とされた機能の実装が期待されている。産業用ロボットの持つ信頼性とオープンコミュニティの柔軟性を組み合わせることで、ROSを用いたロボットアプリケーション開発を推進し、産業用ロボットの開発コストの低減や、新規事業化や次世代ロボット市場へのROS適用などを目指している。 ROS-Industorialは、オープンソースプロジェクトとして安川電機、ウィローガレージ社、そしてアメリカの独立非営利機関であるサウスウェスト研究所(英語版) (SwRI) によって共同で立ち上げられた。2012年1月、ROS-IndustorialのレポジトリがSwRIによってGitHub上に開設された。その後、2013年3月には、ROS-Industrialプロジェクトから発展的にROS-Industrial Consortium(ROS産業コンソーシアム)が設立された。コンソーシアムの中心メンバーは、アメリカではSwRI、ヨーロッパではドイツのフラウンホーファー研究所の生産技術・オートメーション部門 (IPA) 、アジア太平洋地域ではシンガポールのアドバンスト・リマニュファクチャリング・アンド・テクノロジー・センター (Advanced Remanufacturing and Technology Centre; ARTC) および南洋理工大学である。2018年10月現在、3M、ボーイング、エアバス、BMW、ボッシュ、シーメンス、ABB、キャタピラー、マイクロソフト、ユニバーサルロボットなどの民間企業のほか、ROS本体の開発を主導する「オープンロボティクス」もコンソーシアムメンバーである。 ROS-Industrialでの研究成果は原則として、BSDライセンスまたはApache 2.0ライセンスで公開される。ただし、ROS産業コンソーシアムには、Focused Technical Projects (FTP) と呼ばれる制度が設けられている。FTPは、コンソーシアム参加企業が特定のテーマを設定して構成する研究グループであり、グループ内で費用や設備を分担し、研究成果を共有する。FTPの研究成果は必ずしも公開されるわけではなく、FTPグループ構成メンバーの審議によって公開の可否やリリース時期を決めることができる。ROS-Industrialでの知財マネジメントに関する取り組みと言える。
※この「ROS-Industrial」の解説は、「Robot Operating System」の解説の一部です。
「ROS-Industrial」を含む「Robot Operating System」の記事については、「Robot Operating System」の概要を参照ください。
- ROS-Industrialのページへのリンク