P4X266発表以前の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/10/30 05:15 UTC 版)
「VIA Apollo P4X266」の記事における「P4X266発表以前の状況」の解説
P4X266の発表以前、インテルは10年ぶりに投入した新アーキテクチャNetBurst世代のメモリ技術として、Rambus社の主導するRDRAMを推進していた。しかしRDRAMは従来のSDRAMと比較して非常に高価なメモリであることに加え、1999年にインテルが投入したRDRAM対応チップセットIntel 820の失敗の記憶などから市場では敬遠されており、Pentium 4プラットフォームの普及は遅れていた。 状況を挽回すべく、2001年3月にインテルはPC133 SDRAMに対応したIntel 845 (A-Stepping)を投入する。インテルの狙い通り、比較的廉価に最新のPentium 4システムを構築できるIntel 845は好評を博し、Pentium 4の普及も徐々に進み始めた。しかし初期世代でも3.2GB/sと広帯域なFSBを特徴とするNetBurstマイクロアーキテクチャに対し、帯域幅1.06GB/sのPC133 SDRAMでは明らかに性能不足であり、RDRAMを使用した場合に比べ最大で十数%もの性能差がつく状況であった。 当時、インテルと競合するAMD社のAthlonプラットフォームでは、SDRAMの倍の帯域幅を持つDDR SDRAMが性能とコストのバランスに優れたメモリとして実績を上げていた。このため、市場はDDR SDRAMに対応したPentium 4用チップセットを待望していたが、インテルはあくまで次世代メモリ技術はRDRAMであるとしてDDR SDRAMへの対応に慎重な姿勢であった。 VIAはDDR SDRAMに対応したAthlonプラットフォーム向けチップセットApollo KT266をいち早く投入するなど、DDR SDRAMを推進する最有力なチップセットベンダであった。しかしCyrix IIIで参入したP6互換プロセッサのバスライセンスを巡ってインテルとの訴訟を抱えており、Pentium 4のバスライセンスについてもインテルからの使用許可は得られていなかった。両社はバスライセンスの問題を回避すべく複数回の交渉を行ったが合意には至らず、VIAはP4X266を自社傘下の企業であり98年にインテルと10年間のバスライセンス契約を結んだS3 Graphicsがリリースする製品であるとすることで問題の回避を狙った。しかし、インテルはそれを認めない姿勢をとっていた。 VIAはインテルのRDRAM対応チップセットIntel 850との比較デモを行うなどしてP4X266のアピールを行っていたが、この時点ですでにインテルとの間にバスライセンスに関わる問題が発生することは確実と見られていた。
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