NASAでの実験機運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 02:51 UTC 版)
「OV-10 (航空機)」の記事における「NASAでの実験機運用」の解説
NASAでは各種実験機体および、機材としても運用された。 1972年からプロトタイプYOV-10(N718NA BuNo.152881)を利用して実施された低速飛行性能の増加実験では、フラップと主翼の間に油圧式の円柱シリンダーを追加しており、このシリンダーがフラップ稼動時に主翼上面側に可動することで、フラップが90度近い状態でも正常に空気を誘導し、高い低速度性能を発揮した。エンジンもアリソン社製T56 エンジンへ換装、プロペラも4翅の物に変更され、フラップへの送風量も増加されており、最終的にOV-10Aの失速限界が約40ノットに対し、主翼面積の小さいYOV-10でありながらも約30ノット(時速約55.6km)での低速飛行を成功させた。 1996年にはOV-10A(N636NA)を使用し、米空軍と共同で、デジタル音声認識システムの実験に使用された。この実験では同機に搭載されたISAバスコンピューター(Intel 80486搭載のAT互換機)とITT社製のデジタル音声認識ソフトウェア(VRS-1290)を使用し実施された。この実験は、通常航行速度・地上駐機・飛行中・4G程度までの旋回など、様々な環境下(パイロットの疲労状況も含め)での音声認識精度の確認実験となっており、ライト・パターソン空軍基地所属のパイロット12名、NASA所属のOV-10 パイロット4名が被験者として集められ、機上やラボまたはハンガーなどで、「Change Radar-mode」「Air-to-air-mode」などの、182種の航空作戦で必要とされるフレーズの認識テストを行った。初期の飛行中実験では55%程度の認識精度であったものの、ソフトウェアのノイズ除去などのパラメーター調整をITT社と連携して行い、最終的には地上で99.5%・通常飛行状態で97.3%・4G環境下で86%の精度での認識が確認された。最終的に得られたこれらの実験データは、音声認識の研究を行っている機関やコミュニティへ配布された。ちなみにVRS-1290の名称はITT社側で1,290語の認識を保証している事から来ている。 1999年には、CERES(雲および地球放射エネルギー観測システム)のポッドを主翼上面に追加搭載されたOV-10A(N524NA)が使用されている。 低速飛行実験機(N718NA) フラップを90度近くまで下げた状態(N718NA) 音声認識システムの実験機(N636NA) CERES ポッドを搭載したOV-10A(N524NA)
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