MH-53J ペイブロウIIIE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:57 UTC 版)
「MH-53 (航空機)」の記事における「MH-53J ペイブロウIIIE」の解説
1980年4月のライスボール作戦の失敗はアメリカ軍の特殊作戦部隊にとって大きな教訓となったが、同作戦に動員されたRH-53Dヘリコプターとその乗員が特殊作戦のための装備・要員ではなかったことが失敗の大きな原因になったと指摘されたこともあって、これに続く第2の作戦として計画されたハニーバジャー作戦では空軍のHH-53H部隊が投入されることになり、この時点で可動状態にあったHH-53Hの全てにあたる9機とHH-53B/C 6機が動員される計画であった。後に人質が解放されたため、ハニーバジャー作戦が実行に移されることはなかったものの、その作戦のために準備を重ねたことは、アメリカ軍の特殊作戦能力を大きく向上させていた。 HH-53H部隊の場合、この準備の過程でCSAR任務にとどまらない総合的な特殊作戦に習熟したことで、以後、様々な特殊作戦に投入されるようになっていった。この結果、ハニーバジャー作戦のために動員された9機のHH-53Hはそのまま戦術航空軍団(TAC)に移管されて特殊作戦に供されるようになっており、CSAR任務のための機体が極めて手薄になっていた。これを補うため、軍事空輸軍団は、上記のCH-53C 2機のペイブロウIII規格への改修に続いて、更に25機のH-53の改修を要望したが、この際、ペイブロウIII規格だけでなく、それを更に強化したペイブロウIIIE(Enhanced)規格への改修も検討されるようになった。 IIIE規格では、ドップラー・慣性航法装置のリングレーザージャイロを更新するなどアップグレードを図るとともに衛星測位システムも更新し、FLIRシステムを改良するとともにコクピット照明を暗視装置対応とした。また赤外線妨害装置(IRCM)や電波妨害装置(ECM)、チャフ・フレア発射機など自機防御装置の装備の統一も図られた。機体構造においては装甲の強化が図られたほか、メインローターブレードはチタン複合材のものに換装された。後には、艦上運用を想定して、ローターブレードの折りたたみ機能も付加されている。 ハニーバジャー作戦の準備を通じて、ペイブロウIIIの有用性が広く認識されていたこともあって、既存機のMH-53J規格への改修は議会からも支持された。1986年から1990年にかけて、HH-53B/CおよびCH-53C計31機がMH-53J規格に改修された。またこれとあわせて、HH-53Hのうちこの時点で生き残っていた11機も同規格に改修された。
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