I–V曲線の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 02:56 UTC 版)
電子部品のI–V曲線の形からは、その部品の動作について多くの情報が得られる。さまざまな素子のI–V曲線を分類する軸として、以下のようなものが挙げられる。 能動素子と受動素子:I–V曲線がI–V平面の原点と第一および第三象限のみを通る場合、その素子は受動素子と呼ばれ、外部からの電力を消費しかしない。例として抵抗器や電動機が挙げられる。電流はつねに電場と同じ向きに流れ、電荷担体のもつ位置エネルギーは熱やその他のエネルギー形態へと変換される。 これに対して、第二および第四象限を通るI–V曲線は能動素子であり、電力を供給する。例として電池や発電機が挙げられる。素子がI–V平面の第二および第四象限にあたる動作条件にあるとき、電流は電場の向きに逆らって低電位の端子から高電位の端子へと流れており、電荷担体は位置エネルギーを得る。したがって、なんらかの形のエネルギーが電力へと変換される。 線形素子と非線形素子:電流電圧特性が直線により表わされる素子は線形素子と呼ばれ、曲線により表わされるものは非線形素子と呼ばれる。たとえば、抵抗器やキャパシタ、インダクタは線形素子であり、ダイオードやトランジスタは非線形素子である。正の傾きを持ち原点を通るI–V曲線を持つ抵抗器は線形抵抗器もしくはオーミック抵抗器と呼ばれ、電気回路中にもっともよく使われる種類の抵抗器である。この素子は広い範囲でオームの法則に従い、電流は印加電圧に比例し、直線の傾きすなわち抵抗値の逆数は定数である。ダイオードなどの非線形素子の電流電圧特性は曲線であらわされ、電流および電圧によって抵抗値は変化する。 負性抵抗と正性抵抗:I–V曲線が正の傾きをもつとき、それは正の抵抗値をあらわす。I–V曲線が単調増加しない場合、その素子は負性抵抗をもつ。I–V曲線が負の傾きをもつ領域ではその素子は負の微分抵抗をもち、正の傾きをもつ領域では正の微分抵抗を持つ。負性抵抗素子は増幅回路および発振回路に利用することができる。負性抵抗を持つ代表的素子はトンネルダイオードやガン・ダイオードが挙げられる。 ヒステリシスとsingle-valued[訳語疑問点]:ヒステリシスをもつ、すなわち電流電圧特性が現在の入力だけでなく過去の入力履歴に依存する素子は、閉ループのあるI–V曲線を持つ。閉ループの各分枝には矢印を付して方向を表わす。ヒステリシスを持つ素子の例として、鉄芯インダクタや鉄芯変圧器、サイリスタやDIAC、ネオン管などのガス封入管が挙げられる。 模式化されたトンネルダイオードの電流電圧特性。v1からv2までの影をつけられた領域が負性抵抗領域である。 DIACの電流電圧特性。VBOはブレークオーバ電圧をあらわす。 メモリスタの電流電圧特性。pinched hysterisis[訳語疑問点]を持つ。 ガン・ダイオードの電流電圧特性。ヒステリシスのある(矢印に注目)負性抵抗領域を持つ。
※この「I–V曲線の種類」の解説は、「電流電圧特性」の解説の一部です。
「I–V曲線の種類」を含む「電流電圧特性」の記事については、「電流電圧特性」の概要を参照ください。
- I–V曲線の種類のページへのリンク