Human68kの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 01:44 UTC 版)
「Human68k」の記事における「Human68kの特徴」の解説
Human68kは、ストレージのファイルシステムにはMS-DOSのFAT12/16を応用し(但し完全な互換性は無い)、システムコールのファンクションナンバーも概ねMS-DOSに倣うなど、バイナリ・ソースとも互換性は無いものの、その構造は明らかにMS-DOSを模倣した構造であった。 また、システムの構成も、MS-DOSと酷似していた。MS-DOSのシステムファイルは入出力サブシステムIO.SYSとカーネルMSDOS.SYSで構成されるが、単一アーキテクチャをターゲットとしたHuman68kでは異なるアーキテクチャへの移植を全く考慮する必要が無かったため、また入出力サブシステムはそのほとんどがROMで搭載されたIOCSによってまかなわれていた事もあり、IO.SYSに相当するモジュールは存在しない(IOCSのバグをパッチしたり、アクセスの遅いROM上のIOCSをメモリ上にコピーして高速化したり、アルゴリズムを改善して処理を高速化するパッチなどが、デバイスドライバの形としては存在した)。 Human68kのコマンドインタプリタはCOMMAND.Xであり、MS-DOSのCOMMAND.COMに相当する。コマンドはMS-DOSよりも改善されていた。 MS-DOS環境では、このCOMMAND.COMを含め、実行バイナリのロード時にバイナリをリロケートする必要がない(これはセグメント+相対アドレスによって実メモリ空間にアクセスする86系のアドレッシングアーキテクチャに起因し、その64kB(キロバイト)空間の壁が大きいデメリットだった16ビット(64kB(キロバイト))幅のセグメント内相対アドレス空間の制約とトレードオフの関係にあるメリットであった)が、COMMAND.Xを始めとするアプリケーションやコマンド等の非リロケータブルバイナリでは実行前にリロケート処理を行う必要があるため、特にチャイルドプロセスなどでこのCOMMAND.Xが頻繁にロードされる際のオーバーヘッドは無視できないものであった。このため、後にリロケータブルバイナリ化されたCOMMAND.Rがフリーソフトとして開発された他、実行ファイルのバインド機能が対応された際にはCOMMAND.Xが常駐部とインターフェース部に別れバインドされた物に替わり、チャイルドプロセスでの起動の場合は不要部をメモリ上にロードする必要がなくなる等といった対策が取られた。 デバイスドライバの組み込みにも、MS-DOSと同様にCONFIG.SYSファイルへの記述が必要であり、その書式もMS-DOSに倣う繁雑で難解なものであるが、後のバージョンではMS-DOSに実装された選択起動などの機能を独自に拡張して実装するなど、MS-DOSの進歩に合わせた拡張も行われた。
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